第3回 “打ち合わせ”で分かった、ハイブリUltrabook搭載キーボードの「ちょうどよさ」「dynabook R822」ロードテスト(2/2 ページ)

» 2013年04月17日 16時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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「タブレットスタイル」を改めて考える

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 さて、こちらも実利用において実感したことだが……正直に言うと、タブレットスタイルは打ち合わせ以外に活用シーンがない。

 自宅でリラックスする際はより軽いタブレットやスマートフォンのほうがラクだし、動画の再生においても立てられる普通のノートPCスタイルのほうが便利だ。ただ、これもピュアタブレットではないコンバーチブル型ならではの使い勝手と言えるだろう。

 筆者は、Nexus 7にしてもiPadにしても結局は別売りのスタンドやケースを用意し、机上では立てかけて閲覧する使い方である。自宅ではこれでよいが、スタンドは毎日携帯はしないし。それだったら1台に集約できる万能なコンバーチブル型の方がよいと感じられる。

 やはりさまざまなファイルを扱い、何かをPCで作成する業務において、アプリ選択に困らないことはWindowsタブレットを使う大きなメリットだ。実際には、確かに動画を見るならメディアプレーヤー、Webメールを読むならChromeブラウザといった具合にアプリケーションを選んでいるだけだが、基本的に操作はこれまでと同じであり、知識も応用できる。Android/iOSタブレットで悩んだ「手探りでアプリケーションを入れ、試して、消して、次をまた試す」という“試し”のプロセスは必要なく、すぐ実践投入できる。

 このほか、内蔵SSDに入りきらなくなったデータは、NAS(ネットワークHDD)に放り込んでおけば普通にWindowsエクスプローラから参照できる。言ってしまえば、オープンソースのアプリケーションをクラウドストレージに放り込んでさえしてしまえば、多少の設定変更こそ必要かもしれないが同一の環境を簡単に複製できる。そんなレガシーなやり方ではなく、新しいシーン・使い方に慣れろという声はあるだろう。もちろんプライベートならそうするが、業務用となると遊びでは許されないので話は別である。

変形ギミック、パフォーマンスに影響なし

 最後にタブレット時のパフォーマンスも少しチェックしておきたい。ノートブック形状とタブレット形状で、パフォーマンスに差があるのかと思うかもしれないが、実際に違うこともある。例えばインテルの第3世代Core iシリーズには「Configurable TDP」と呼ぶ機能があり、本体形状ごとにTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)設定を可変する仕組みも取り入れられる。

 ただ、dynabook R822はそうした機能は利用していないようだ。ただし、形状ごとに熱処理の能力は異なるわけで、Core iシリーズのようにTurbo Boostが効くCPUではわずかに差が出るものと思われる。そのあたりを調べてみた。

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 まずWindowsエクスペリエンスインデックス値に変化はなかった。これは当然だろう。Configurable TDPなどでダイナミックに変更しない限り、大きな数値として表れることはないと思われる。

 一方でPCMark 7では若干低い値が出たが、これも誤差範囲だ。Overallで見れば25ポイント程度の差になったが、各テストを詳細に見ていくと一長一短の結果で、どちらかが明確に高いスコアになることはなかった。突き詰めていけば5ポイント程度の差はあるのかもしれないが、体感できるものではない。

photophoto タブレット状態でのWindowsエクスペリエンスインデックス値とPCMark 7のスコア。Windowsエクスペリエンスインデックスは変わらず、PCMark 7も誤差の範囲でしか違わない

 では動作時の温度はどうだろう。非接触温度計で液晶面の各部の温度を計測してみた。キーボード面と1度程度しか変わらないが、微妙に高い傾向ではある。タブレットスタイルの場合、前回計測したキーボード面はこの内側にあることを考えると、もう少し高い値になっているのかもしれない。ま、若干高くはなるが、本体冷却性能に影響が出るほどではないというあたりだろうか。

dynabook R822高負荷時のディスプレイ面温度
  ディスプレイ面左部 ディスプレイ面中央部 ディスプレイ面右部
ディスプレイ面上段 26度 26度 26度
ディスプレイ面下段 26度 28度 28度
ディスプレイ面下段 26度 34度 28度
室内温度25度

 ということで、ひとまずスタイルの違いによるパフォーマンス差は確認できなかった。タブレットスタイルでも普通にフルパワーといったところだ。ちょっと負荷の高いJavaScriptを多用したWebサイトを表示するような状況でも、十分なレスポンスが得られることだろう。

 一方で、タブレットスタイルは表示・閲覧が主体であるため、基本的にCPU負荷は高くはならない。時間あたりの消費電力は低いので、熱設計にも余裕が出るだろう。もちろん負荷をかけるPCMark 7テスト実行中も、動作音が気になるほどではなかった。どちらのスタイルでも、負荷をかけてもかなり静かなので、自宅で作業する際に落ち着いて作業ができる。

photo 喫茶店のテーブルでオンラインゲームを遊んでみたが、パフォーマンスは十分。ゲームのUIによっては十分にタッチ操作だけで進められるのが新しい体験だ。視野角が広いので、2人対戦型のゲームも楽しいかもしれない。その点で、12.5型サイズのちょっと大きめな画面はよくあるタブレットより狭苦しさがない

 (続く)

 次回は「いざ、実践へ」実際にどのように活用していくかを紹介していこう。


東芝ダイレクト




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