ドコモは、22日、横須賀の「横須賀リサーチパーク(YRP)」で、記者説明会を開催。同社の研究開発方針や、新サービスの「タップでコンシェル」、フィールドテストが開始されるグリーン基地局、LTE Advancedへの取り組みなどを解説した。
ドコモの研究開発センターには、「約800名が勤務しており、一部は東京だが大半はYRP。ほとんどは商用サービスに提供するネットワーク、端末の要素技術、ソフトの開発に携わっている」(ドコモの取締役常務執行役員 研究開発センター所長 尾上誠蔵氏)。通信技術では世界的に有名な同センターだが、ドコモは、総合サービス企業への脱皮を目指し、上位レイヤーと言われるサービスの強化にも積極的だ。研究部門も、これに対応して「核となるモバイルはちゃんと発展させつつ、それ以外の事業領域もやっていく」(同)。
また、尾上氏は研究内容だけでなく、「開発手法そのものも変革していきたい」といい、次のように語る。
「開発手法そのものにも新たなやり方を取り入れた方がいいのではないか。スピード感を重視した開発、いわゆる『アジャイル開発』にも取り組んでいる。体制が一気通貫、プロセスも一気通貫の小さなチームで、とりあえず早く作ってリリースし、フィードバックを得たい」
このアジャイル開発の一環として生まれたのが、26日から試験提供が開始される「タップでコンシェル」だ。タップでコンシェルとは、「予測により、目的の操作を数タップで実現する」(先進技術研究所 コミュニケーションメディア研究グループ 飯塚真也氏)ことを目指して開発されたアプリのこと。「しゃべってコンシェル」から得られた統計データやアプリ内に蓄積したデータに基づき、時間帯やユーザーに応じた情報が提示される。
しゃべってコンシェルには、ユーザーのあいまいな発言を解釈するエンジンが採用されている。これによって、例えば「お腹がすいた」と言えば、周辺のレストランの情報を検索するといったように、自然言語で端末を操作することが可能になる。ここから得られた利用情報から、時間帯ごとに利用される機能の確率を導き出し、タップでコンシェルの予測に活用している。
このデータに加え、「アプリを使えば使うほど、生活パターンや特徴が反映される、学習の仕組みを入れている」(飯塚氏)ため、提案される機能や情報の内容は徐々に正確になる。また、動画やニュースの最新情報は、dメニューと連携し、トレンドを取得しているという。
タップでコンシェルは、片手で操作がしやすいよう、UIにもこだわった。「操作パネルはわざと画面の下半分にしている。ディスプレイのサイズが大きくなっているが、そういった端末であってもとっさに操作できる」(飯塚氏)。
サービスの対象となるのは、Android 2.3以上のOSを採用したドコモのスマートフォン。ただし、残念ながら「トライアルという性質で、性能の検証が不十分な段階」(飯塚氏)であるため、らくらくスマートフォンには非対応となる。「操作が複雑と感じているお客様に向けて開発した」(同)アプリなだけに、本サービス開始時にはぜひ対応してほしい。また、現時点では使える機能が限られており、サードパーティのアプリと連携しないのも課題だと感じた。例えば、地図はGoogleマップのアプリではなく、Web上のものが開かれる。こうした意見や試験提供で集めた声を生かし、より魅力的なサービスに成長することを期待したい。
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