ここからは、できるだけ条件をそろえて各モデルのバッテリー駆動時間を横並びで比較していく。各モデルに付属するリチウムイオンバッテリーの仕様は以下の通りだ。第2回に写真付きで詳しく触れているので参照してほしい。
各モデルに付属するリチウムイオンバッテリー | ||||||
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製品名 | メーカー | 電圧(ボルト) | 容量(mAh) | 容量(Wh) | 駆動時間 | 装着時の本体重量 |
LaVie J LJ750/LH | NEC | 7.2ボルト | 7800mAh | 56.16Wh | 約6.5時間 | 約1.279キロ |
VAIO type G VGN-G2KAN | ソニー | 10.8ボルト | 5800mAh | 62.64Wh | 約11.5時間 | 約1.143キロ |
VAIO type T VGN-TZ72B | ソニー | 10.8ボルト | 5800mAh | 62.64Wh | 約11時間 | 約1.22キロ |
dynabook SS RX1/T7E | 東芝 | 10.8ボルト | 5800mAh | 62.64Wh | 約11時間 | 約1.059キロ |
Let'snote LIGHT CF-W7 | パナソニック | 10.8ボルト | 5800mAh | 62.64Wh | 約10時間 | 約1.249キロ |
FMV-BIBLO LOOX R70Y | 富士通 | 7.2ボルト | 8700mAh | 62.64Wh | 約11.7時間 | 約1.27キロ |
6台のモバイルノートPCはDVDスーパーマルチドライブを内蔵しているため、今回は同一のDVD-VideoをWindows Media Player 11で全画面再生し続け、バッテリーが切れてシャットダウンするまでの時間を計測した。電源管理の設定は、消費電力の計測時と同じ2パターンだ。液晶ディスプレイの輝度が高いうえに、光学ドライブが常に動作するため、通常カタログに記載されるバッテリー駆動時間の計測方法よりもかなり厳しい条件になる。
通常カタログに記載されるバッテリー駆動時間の計測方法とは、「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver1.0)」のことだ。具体的には、液晶ディスプレイの輝度を20カンデラ/平方メートル以上としてMPEG-1ファイルをバッテリーが切れるまで連続再生した場合の時間と、最低輝度の状態でバッテリーが切れるまで放置した場合の時間を足して、2で割った時間を「バッテリー駆動時間」としている。
しかし、実際の利用シーンでは、液晶ディスプレイの輝度をもっと上げることがほとんどで、しかもシステムにかかる負荷はMPEG-1ファイル再生より大きくなるケースもよくあるため、バッテリー駆動時間の長さは公称値のようにはいかない。仮に、Webブラウズやオフィススイート中心に使い続けたとしても、バッテリー駆動時間は公称値の5〜6割程度と考えておいたほうが無難だろう。
バッテリー駆動時間の計測結果は以下のグラフに示した。
計測結果を見ると、最もバッテリー駆動時間が長かったのはVAIO type G VGN-G2KANで、その後をVAIO type T VGN-TZ72Bがわずかな差で追っている。これらは前述したように、消費電力の低い基本設計が生かされた形だ。第6回で実施したパフォーマンステストではいまひとつの結果だったVAIOの2台だが、そのぶんバッテリー駆動時間ではアドバンテージを発揮している。
第2グループは、Let'snote LIGHT CF-W7、FMV-BIBLO LOOX R70Y、LaVie J LJ750/LHの3台だ。6台の中で最も大容量のバッテリーを装備しているのはFMV-BIBLO LOOX R70Yだが、実際のバッテリー駆動時間はLet'snote LIGHT CF-W7にかわされて4位となった。LaVie J LJ750/LHはバッテリー容量が少なく、バッテリー駆動時間の公称値が約6.5時間と短い割にはかなり健闘している印象だ。
dynabook SS RX1/T7Eは消費電力の計測値が高かったが、やはりバッテリー駆動時間も控えめな結果となった。ただし、dynabook SS RX1/T7Eは、自動的にシャットダウンへ移行するバッテリー残量レベルの設定を最低2%までしか下げられないので、0%まで下げられる他機種よりテスト環境が若干不利になっている。
もっとも、今回はDVD-Videoの連続再生に限ったバッテリー駆動時間の評価なので、条件が違えば、順位は異なる可能性がある。例えば、テスト結果が振るわなかったdynabook SS RX1/T7Eの液晶ディスプレイを100カンデラ/平方メートル程度に設定し、バッテリーが切れるまでアイドル状態で放置したところ、駆動時間は5時間27分まで延びた。さらにdynabook SS RX1/T7Eは、液晶ディスプレイのバックライトをオフにできるため、晴天下の屋外で使う場合はバッテリー駆動時間の延長が可能だ。
実際の運用では、状況に応じてバッテリー駆動時間とパフォーマンスの優先順位を決め、不要な積極的にオフにするなど、自分だけの省電力設定を確立するのがスマートな使い方と言えるだろう。
次回はついに最終回を迎える。最終回ではこれまでの検証結果を振り返り、全8回に渡った特集を総括したい。続きはこちら。
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