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» 2012年08月03日 17時08分 公開

石野純也のMobile Eye(7月23日〜8月3日):速度、エリア、料金――決算会見で見えてきたドコモ/KDDI/ソフトバンクのLTE戦略 (1/2)

7月23日から8月3日にかけて、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの決算会見が行われた。ここでは今秋〜冬における各社のLTE戦略の一端も語られたので、エリアや料金を中心に、その内容をまとめた。

[石野純也,ITmedia]

 7月23日から8月3日にかけての2週間は、大手3キャリアがそろって第1四半期決算を発表した。決算会見では、4月から6月にかけての実績が判明したとともに、秋冬にかけて激化すると思われるLTE競争に向けた取り組みもあらためて解説された。そこで、今回の連載では、3社が打ち出しているLTEのロードマップや戦略などをまとめて掲載する。秋冬の重要なテーマになるだけに、予習の意味も込めて今から注目しておきたい。


第1四半期でXiは332万契約を突破、地方都市では112.5Mbpsサービスも開始予定のドコモ

 NTTドコモは、7月27日に決算会見を開催。LTE方式を採用するXiの契約状況や、今後の展開などを解説した。ドコモの代表取締役 加藤薫氏によると、Xiの契約数は「6月までで332万契約、現在(7月27日)で350万を上回っている」とのこと。「34万台ぐらい販売できている」と好調な「GALAXY S III SC-06D」などがXi契約の増加を後押ししているようだ。加藤氏は「端末、エリア、料金とあらゆる面で先行している」と、LTEでは他社をリードしていることを強調。エリアについては「第1四半期末で約1万の基地局を建て、今年度中には2万1000局まで広げる」(同)といい、その際の人口カバー率は70%程度となる。設備投資は、年度末までに累計で2900億円の見込みだ。

photophoto NTTドコモ 代表取締役社長 加藤薫氏(写真=左)。夏モデルも好調で、Xiの増加を後押ししている。中でもSamsung電子製の「GALAXY S III SC-06D」は、27日時点ですでに34万台を販売したという(写真=右)
photo 3Gバイト以上は128Kbpsに速度が制限されるか、2Gバイトごとに2625円の追加料金が必要となる「Xiパケ・ホーダイ ライト」は、10月から導入する

 10月からは、新たに3Gバイトの容量制限を設けた月額4935円の「Xiパケ・ホーダイ ライト」を導入する。7Gバイトの「Xiパケ・ホーダイ フラット」が5985円(現在はキャンペーンで4935円となる)のため実質的な値下げとも言えるが、「データ利用料が中程度のユーザーにも使っていただけるため、すそ野の拡大に寄与し、トータルでは増収につながる」という戦略だ。実際、Xiパケ・ホーダイ ライトは、フィーチャーフォン向けの「パケ・ホーダイ ダブル/ダブル2」の上限である4410円よりは525円高く設定された。フィーチャーフォンでパケット代が上限に達していなかったユーザーがXi対応のスマートフォンに移行すれば、525円以上の増収にもつながるというわけだ。3Gバイトという容量については、テザリングや動画視聴などを多用しなければ、十分と言えるだろう。加藤氏が「利用量がよく分からないままXiのスマートフォンを使う方は、ライトを選ぶと思う。比率的には3Gバイトの方が多くなる」と述べているように、ドコモも今後はXiパケ・ホーダイ ライトが主力になると見ているようだ。

 Xiの速度については現状、一部エリアのみが下り最大75Mbpsで、屋外の大半が下り最大37.5Mbpsとなるが、ドコモでは2012年度の第3四半期に1.5GHz帯の周波数を利用し112.5Mbpsに対応する予定だ。現状より高速になるのは、1.5GHz帯では15MHz幅を利用できるためだ。ただし、1.5GHz帯という周波数は地方都市限定となり、「東京や大阪などの大都市は無理なので、人口カバー率はそれほど高くない」(同)。加えて、いわゆる“プラチナバンド”と呼ばれる800MHz帯でも、2012年度第3四半期にLTEサービスを開始する。

photo Xi契約数は2012年度末までに1000万を計画している。対応周波数も、第3四半期には拡大する。

 後述するように、秋にはKDDIやソフトバンクもLTEサービスを導入する。これによって競争がより激化することは必至だ。一方で加藤氏は、ドコモの優位性は先行してLTEを運用してきたノウハウにあるとし、次のように語る。

 「先行的なメリットは、まだまだ薄れるものではない。容量、スループット、つながりやすさは、基地局をどう配置し、どうチューニングするのか。割(新たな基地局)を入れたりするときに、トータルでどのくらいのチューンナップをしていくのかが、事業者の能力。そういう面での優位性は、できる限り続けていきたい」

 なお、端末については「冬モデルで対応していく」(同)。既存の機種がそのまま新周波数帯に対応するわけではない点には、注意しておきたい。

800MHz帯のLTEに自信をのぞかせるKDDI、料金は値上げの予定か

 7月25日には、KDDIが決算会見を行い、計画通りに進捗している「auスマートバリュー」や「auスマートパス」の実績をアピールした。

photo KDDI 代表取締役社長 田中孝司氏

photophoto auスマートバリューの狙いや、現時点での契約数を明らかにした
photo スマートフォンに出遅れていた分、今の時点で享受できているARPU増が大きい。LTEの導入で、この傾向に拍車がかかるのかもしれない

 LTEについては、4月の決算会見や夏モデルの発表会などで発表しているとおり、秋から800MHz帯を基盤バンドとしつつ、2GHz帯、1.5GHz帯でも展開する。当初は12月と案内されていたが、開始は秋に巻き上げた格好だ。2013年3月時点での「実人口カバー率」は96%。ドコモとは人口カバー率の算出方法が異なるが、全国展開を一気に進める見通しだ。速度は下り最大75Mbpsの予定となる。

 決算会見では、今まで語られていなかったLTEサービスの料金についての言及もあった。KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏によると「LTEに合わせて、3Gより安くならない料金を設定する」とのこと。現状のパケット定額プランは月額5460円で定額の「ISフラット」が主力だが、最低限、この水準は維持されるようだ。ただし、「初期のキャンペーンはまだまだ考えられる」(同)といい、他社の動向をにらんだ価格を考えていることもうかがえる。ドコモがXiパケ・ホーダイ ライトで4935円という価格を打ち出しているため、ここにどう対抗していくのか、注目したい。

 LTEでの優位性をたずねられた田中氏は「800MHzのエリアは、国内一早くできる。それ以外のエリアも構築していく」とした。次期iPhoneの対応が期待されている2GHz帯については「頑張っている」と述べるにとどまった。また、田中氏は「スマートフォンの割合が大きいと、キャパが重要になってくる。いかにマイクロセル、ピコセルを打っていけるかの競争になる」と話し、エリアだけでなく、スループットの向上を見越した基地局展開が重要との見方を示した。

 エリアや料金についてはおぼろげながら姿が見えてきたKDDIのLTEだが、端末への言及は少ない。次期iPhoneも含め、秋冬のラインアップをどの程度そろえられるのかも気になるところだ。

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