Googleが期待する“日本の熱意”/開発者が注目すべきAndroid 4.0の新機能:Google Developer Day(1/2 ページ)

» 2011年11月02日 09時18分 公開
[田中聡,ITmedia]

 Googleが11月1日、開発者向けのイベント「Google Developer Day」を開催し、基調講演やセッションにて、Android、Chrome、Google+を中心に最新の技術を説明した。本稿では主にAndroidに関する内容をお伝えする。

Androidアプリの開発者はまだまだ少ない

photo ブラッド・エイブラムス氏

 Google プロダクトマネージャーのブラッド・エイブラムス(Brad Abrams)氏は基調講演で「現在のWebで主な要因になっているのがモバイル。すべてのWebがモバイルでも見られるようになる必要がある。高速なモバイルネットワークが世界中で広がり、Androidも登場した。当初は“技術オタク”向けだったCupcake(Android 1.5)から、Ice Cream Sandwich(Android 4.0)に進化し、スマートフォンのOSとして世界で定着している。次に何が来るかは分からないが、だからこそわくわくしている」と話し、Androidのさならる進化に期待を寄せた。

 「Androidは大きな投資を受けている」――Androidプラットフォームの開発を担当するディベロッパーアドボケイトのティム・ブレイ(Tim Bray)氏はそう話す一方で、「開発者はまだまだ足りない」とみている。「モバイルは最も急速に成長している、影響力の大きな技術だ。技術者の皆さんがお金儲けをする際は、モバイルを検討すべき。モバイル経由のインターネットアクセスも増えており、PC経由のアクセスより多いかもしれない。Androidはモバイル(プラットフォーム)の一部だが、大きな部分を占めている。私が2010年に入社したときは、1日に6万台の新しいAndroid端末が開通していたが、2011年初頭には30万台、現在は50万台が開通しているほどだ」とAndroidの急速な普及を強調した。

 現在、Android端末の(公式)製造メーカーは48社、Android端末を扱う通信事業者は277社、販売地域は137カ国に及ぶ。アプリは約2年で累計10億、2011年10月時点では累計80億がダウンロードされている。「この数字はまだまだ小さく、歴史の中では最小という段階。モバイル端末が多くのユーザーのポケットに収まっている今、皆さんには大きなチャンスがある」と発破をかけた。

 アプリは「ユニークさが重要」と話すブレイ氏が紹介したのが、電話で母国語を話しながらリアルタイムで他言語に翻訳できる「セカイフォン」アプリ。日本語を英語に、英語を日本語に翻訳するデモも披露された。

photophoto ティム・ブレイ氏(写真=左)。現在、Androidアプリの累計ダウンロード数は約80億(写真=右)。なお、Android マーケットで配信されているアプリは約30万
photophoto 電話をしながらリアルタイムで通訳してくれる「セカイフォン」

キャリア課金でアプリの売上が成長

 Android マーケットについて「2010年の重要な進化の1つ」としてブレイ氏が話すのが、PC版の対応だ。Android マーケットをPCから利用できることで、PCからアプリをダウンロード後、スマートフォンやタブレットに自動でインストールされる連携が可能になった。また、携帯電話代の毎月の料金と一緒に有料アプリ代金を支払えるキャリア課金にも対応。これによって「売上が伸びており、売上の半分以上に増えている」(ブレイ氏)ほど効果を上げている。同氏も「キャリア課金を世界中の通信事業者にもたらしたい」と意気込む。またブレイ氏は「アプリ内課金」の重要性も説く。「少額で1回買うだけでは優れたビジネスモデルとはいえないので、(ユーザーと)長期の関係を築けるよう、アプリ内課金も考慮してほしい」とした。ユニークなアプリを開発する上で「タブレットもヒントになる。ゲームはタブレットの方が向いているのでは」との考えも話した。

photophotophoto PC版のAndroid マーケットも利用できる(写真=左)。米国、アジアともにキャリア課金による支払いが多くを占めている(写真=中)。アプリ内課金も徐々に増えつつある(写真=右)
photophotophoto OSごとのアプリダウンロード比率(写真=左)。Android OSはコードネーム「Cupcake」から「Honeycomb」を経て、最新の「Ice Cream Sandwich」に進化した(写真=中、右)

 Android 4.0の特徴的な機能として、「クイックコンタクト」「Android Beam」「顔認証によるロック解除」のデモも披露された。クイックコンタクトでは、ユーザーのプロフィール写真をタップすると、あらかじめPeopleアプリに登録された電話番号、メールアドレス、SNS(FacebookやGoogle+など)などのリンクが表示され、さまざまな手段で連絡ができるもの。受信したGmailから電話をかける、SMSを送るといったこともできるわけだ。クイックコンタクトのAPIは公開されているので、アプリに取り込める。NFC技術で近距離通信ができる「Android Beam」のAPIも公開されているので、これを生かしたアプリの登場も期待される。

日本でイケるものは世界でも同感される

 アジア太平洋地域 地図製品開発本部長の徳生健太郎氏は、アプリ開発における要点は「なにごともエンジニアありき」「百聞は一デモに如かず」「日本で『イケる!』と思ったら、世界のみんなも同感するかも」の3つだと話す。

 「エンジニアありきはリソースの問題ではなく、どこまで作り込めるのか、ユーザーに使ってもらえることがどれだけ直感的に分かるかが重要。こうした考えが浸透していないことをよく聞く」と徳生氏は話す。

 百聞は一デモに如かずは「百聞は一見にしかず」をもじったもので、徳生氏はデモの重要性を訴える。「製品のアイデアができても、どうやって開発すべきか、どういう問題が生じるのかといった議論を繰り返していても前進できない。試行錯誤して課題を洗い出すことでステップアップできる」と話す徳生氏が例に挙げたのがGoogle マップだ。Google マップで飲食店を検索すると住所や電話番号が出るが、それ以上に決め手となるのが「ビジュアル」だ。「ラーメンの汁はどんな色をしているのか。店の雰囲気とか、写真がないとなかなか決められないよね、とチーム内で議論した。それからリードエンジニアが2週間後にデモを作り上げてくれたので、ミーティングの長い時間が節約された」と徳生氏は振り返る。

 そうした過程を経て完成したGoogle マップは、「あっという間に世界同時ローンチになった」という。「どうやって価値を発揮するかを考えたときに、日本に住んでいても、世界で発信できるものはたくさんある。その証拠に、このGoogle Developer Dayは今年は8カ国で開催されているが、開催国は毎年変わっている。そんな中で日本では皆さんの熱意や技術力の高さが認められ、5年連続で開催されている」と話し、日本発のアプリが世界でも通用することを強調した。

photophoto 徳生健太郎氏(写真=左)。2週間で完成したというGoogle マップのデモ(写真=右)
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