カメラの性能こそiPhone 4に劣るものの、新しいiPod touchは、新世代のアプリケーション創出を促すべく、iPhone 4と可能な限り共通の仕様を採用している。IEEE 802.11n(2.4GHz)への対応や3軸ジャイロセンサーの搭載もそうだが、なんといっても大きいのは3.5インチで960×640ドットのRetinaディスプレイを搭載した点だ。実際、iPod touchの画面では720p動画のディテールがきちと確認できる。
ただし、このディスプレイもスペックの上ではiPhone 4と横並びだが、まったく同質というわけではない。iPhone 4の画面は800:1のコントラスト比や最大輝度500カンデラがうたわれているが、iPod touchではそうした性能は公表していない。実際に両製品のディスプレイを比較してみると、iPod touchの画面のほうがうっすらと暗めに見え、視野角も少しだけ狭い印象だ。
もっとも、こうした点も取るに足りない問題と言えばそうかもしれない。iPod touchのそもそもの立ち位置は、25万本もあるiPhoneアプリケーションの楽しい世界に、電話の契約なしに、手軽に足を踏み入れられるようにするエントリーモデルだ。そういう意味では、新iPod touchがついに念願のビデオカメラを内蔵したことで人気のカメラ系アプリケーションにも対応し、25万本あるアプリのほとんどすべてを楽しめるようになった点で十分要件を果たしている。さらにiPhone 4よりはるかに薄く、軽いのだから、なおさらだろう。
昨年から1年間、最も売れたiPodとして、そして最も注目を集める携帯型ゲーム機として大躍進をしたiPod touchだが、来年には世界で最も売れたHDカメラとしても注目を集めるようになるかもしれない。そうなった時、そこに再び何か新しい市場が生まれそうだ。
アップルは、絶妙な性能と機能、そして価格のバランスを持つ絞り込まれた製品ラインアップで勝負をする会社だ。昨年はiPod nanoの高機能化でこのバランスが乱れかけていたところがあったが、今年のiPodは全面リニューアルでこのバランスを大きく見直してきた。毎年「今年のiPodは最強のラインアップ」という言葉を繰り返すアップルだが、2010年の新しいiPodファミリーも、再び「最強」のラインアップでクリスマスを迎えられそうだ。
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