東芝製のWindows Phoneとして、NTTドコモから「dynapocket T-01B」、KDDIから「IS02」が発売されている。2010年2月に製造元である東芝から海外向けとして発表された「K01」のローカライズバージョンで、国内向けとしては初めてWindowsMobile 6.5.3と静電容量式タッチパネルを採用した、いわゆるフルタッチ端末であり、なおかつスリムな筐体にスライド式のQWERTYキーも備える点が特徴だ。IS02はauから初めて個人向けに発売されたスマートフォンで、T-01Bはドコモが2009年に発売した「T-01A」の後継モデルに位置づけられる。
今回2台まとめてのレビューとなっているのは、2製品はいわば販売するキャリアが異なる双子モデルだからだ。キャリアに依存する3Gモジュールは異なるが、サイズは寸分変わらず重さも誤差レベルで異なる程度。東芝製端末ではT-01Aの双子モデルとも言える「X02T」もソフトバンクから発売されており、キャリア独自サービスがハードウェアと関連しにくいスマートフォンでは、T-01BとIS02のような関係は珍しくない。開発コストを抑えられることと、ユーザーがほぼ同一の端末でキャリアを選べるという点でメリットも大きい。
共通となるハードウェアスペックを見ていこう。サイズは66(幅)×123(高さ)×12.9(厚さ)ミリ、ディスプレイは4.1インチ、480×800ピクセルのワイドVGA有機ELパネル、そしてスライド式のQWERTYキーを搭載している。重さはIS02が158グラム、T-01Bが約160グラムと公表されているが実質誤差の範囲だ。スライド式QWERTYキーボード搭載という点を考慮すると、その薄さは際立っているといえる。また、スライド式QWERTYキーボードを装備するスマートフォンとしては現時点で世界最薄でもある。
CPUはモバイル機器向けで3Gを中心に各種通信機能やマルチメディア処理機能も内包するQualcomm SnapDragonを採用し、最大1GHzのクロックで動作する。OSやプログラム保存用フラッシュメモリを512Mバイト、ワークエリア(PCで言うメインメモリ)にSD-RAMを320Mバイト搭載している。ちなみに、T-01Aのワークエリアは256Mバイトだったので、T-01Bでは64Mバイト拡大されたことになる。microSDHCは16Gバイトまで対応。通信機能は802.11g対応無線LAN、Bluetooth Ver2.0+EDRに加え、GPSモジュールも内蔵している。
3G通信機能は当然それぞれで異なる。IS02は3Gとして下り最大3.1Mbps/上り最大1.8MbpsのCDMA1x EV-DO Rev.Aに対応。800MHz、2GHzに加えて導入が進みつつある新800MHzにも対応し、2011年7月25日の現行800MHz停波後も問題なく利用できる。T-01Bは下り最大7.2Mbps/上り最大5.7MbpsのHSPAに対応。2GHz、1.7GHz、800MHzに対応し、UMTSのバンドVにも対応するので海外の800MHzでも利用できる。GSMエリアで利用できるのはT-01Bのみ。
なお、両製品ともSIMを装着していない状態では起動時に警告画面が表示されるものの、SIMに関連する機能以外は問題なく動作し、Wi-Fiでのインターネットも利用できた。したがって、SIMを機種変更前の端末に装着して音声通話やキャリアメールを利用し、T-01BやIS02ではWi-Fi接続でインターネットを利用するといったことも可能になる。
T-01BとIS02が従来のWindows Phoneと大きく異なるのが、静電容量式タッチパネルを採用していることだ。iPhoneやXperiaなどと同様に、画面に触れたものの微妙な電圧を感知するタイプで、スタイラスやつめ先などで操作する必要はなく、指先でのタッチ操作が可能。一方、感圧式タッチパネルを搭載したこれまでのWindows Phoneのように、精密に線を引くといった操作には向かない。
Windows Mobileは6.0以降で任意のアイテムを選択して構成できるToday画面に加え、指タッチ操作を意識した「Windows標準」と呼ぶホーム画面も利用できる。T-01BとIS02ではこのWindows標準に加え、オリジナルのUI(ユーザーインタフェース)である「NX!UI」も利用できる。シェアウェアで定評あるSPBシェルのカスタマイズバージョンで、アドレス帳、カレンダー、メールなど各種機能を自由に配置できる。
ホーム画面にはウィジェットやショートカットを自由に配置でき、左右にフリックすることで3画面または5画面を利用できる。ウィジェットもかなり豊富で、各通信機能のオン/オフやバックライトの調整などもホーム画面からさっと行える。メールや着信履歴など表示や、ホーム画面からTwitteなどに投稿ができるウィジェットも用意されている。よく利用するWebサイトやアプリなどの確認と起動ができる履歴機能も実用性がある。Windows Phoneといえば、Today画面のカスタマイズが使いこなしの醍醐味だが、NX!UIも同様といえる。
なお、ガジェットのショートメッセージサービスは、IS02が「Cメール」、T-01Bが「SMS」と異なるほか、T-01Bでは「事業者名」「留守番電話サービス」の2つのガジェットが追加されている。そのほかは基本的に共通だ。
NX!UIの長所として動作が軽快である点にも注目したい。ビジュアル重視だが操作に対する追従性も良好で、メモリ消費量が気になるレベルではない。唯一3Dメッセージビュワーは動作が緩慢な印象だが、これは通常のメール一覧で代替できる。NX!UIを無効にするには「Spb Mobile Shell」自体を削除するしかないが、少なくとも動作速度が理由で削除する必要はないだろう。先にも触れたが、これまではToday画面のカスタマイズで実現していた機能の多くをウィジェットで実現しているので、機能面でも不満を感じることはないはずだ。
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