コミュニケーションの原点回帰へ――ドコモ加藤社長に聞く「カケホーダイ&パケあえる」の狙い(2/2 ページ)

» 2014年04月22日 10時09分 公開
[田中聡,ITmedia]
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加藤氏 おっしゃるとおりです。なかなか難しいところで、「16年以上お使いでしたら(データSパックは600円引きで)2900円ですよ」と言っているんですけど、(データSパックで毎月通信できる)2Gバイトって少ないじゃんと。ただ、1Gバイトずつは(1000円で)ステップを細かく設定できますし、「スピードモード」を選んでいただければ、(1Gバイトごとに)自動で上がっていき、天井(通信の上限)も設定できますから。もちろん、1人でシェアパックを使ってもいいですからね。

 ただ、そこのところは悩みました。全員が(お得になる)というわけにはいかないですし、もういっぺん原点に戻って、「カケホーダイをどうご理解いただけるか」だと思います。データ通信だけで月額1700円の「データプラン(音声無し)」もありますから、それならお安いでしょうと。

 (契約期間が)長ければ、(年齢が)若ければ安くなる。じゃあ、「長くなくて若くなければどうするんだ?」と言われたら、それはなかなか難しいなと(苦笑)。

―― 全員が幸せになるのは難しい。

加藤氏 なかなかそこは。それこそ複雑になってしまうので。だから「家族で」というのを第一に出しながら、一方でM2M向けの「デバイスプラス」(ドコモ端末のユーザーが、月額500円か300円でフォトパネルやヘルスケア製品などの通信モジュール内蔵デバイスを利用できる料金プラン)もあります。このプランではウェアラブルなど、今後のことを見据えています。

 もう1つは「らくらくパック」(らくらくスマートフォンユーザーが、月額2000円で200Mバイトまで通信できるプラン)。これも考えたんです。よくパケットを使う人は、家族でシェアをしてもいいですが、お一人でいらっしゃるかもしれない。じゃあ小さいものを作りましょう。でも(基本プランを)足したら大きくなる? だけど通話が誰にでもできますし、16年以上お使いなら600円が割り引かれます。

パケット定額の上限を「3/7Gバイト」から「2/5Gバイト」に下げた理由

―― 毎月利用できる通信量は、「パケ・ホーダイ ライト」が3Gバイト、「パケ・ホーダイフラット」が7Gバイトですが、データSパックが2Gバイト、データMパックが5Gバイトです。3/7バイトから2/5Gバイトに下げた理由を教えてください。

加藤氏 7Gバイトも行かない人がいるから、3Gバイト(のプラン)を作りました。7Gバイトも使わないから「たけぇ(高い)」と言われて、でも小さくしたら「少ない」と言われ……。なかなか難しいところなんですけど、2Gバイトと5Gバイトはよく考えたつもりです。(1万円で)10Gバイトにも上限を設定できますし、(月額9500円の)「シェアパック10」もあります。

photo 1Gバイト分を1000円で購入できる

―― Xiユーザーの毎月の通信容量はどれくらいなのでしょうか。auのスマートフォンは直近ですと毎月2.7Gバイトほどのようです。

加藤氏 3Gバイトよりちょっと低いくらいやったかなぁ? 平均値は公表していないですけど、だいたい2Gバイトくらいだと思っていただければ。

―― そういった平均値も見ているのですか。

加藤氏 ある種見たりもしていますが、不確かなものもあります。7Gバイトと3Gバイトに1つの壁がありますから。2Gバイトと5Gバイトの条件では、また変わってくるかもしれません。

―― カケホーダイ&パケあえるで一番よく使われるであろう組み合わせは何だと想定されますか。

加藤氏 どのへんでしょうね。例えば4人家族でシェアパック10を選んで、よく使う方が2人ぐらいで……とは思いますけどね。ファミリー割引の規模にもよるんですけど。

―― ファミリー割引を使っている人の割合はどれくらいでしょうか。

加藤氏 公表していないですけど、多いですよ。得ですもん(後ほど確認して、ドコモユーザー全体の約7割だと判明)。

パケットの負荷と音声の負荷は格段に違う

―― カケホーダイの導入で、通話のトラフィックが急激に上がってくると思います。設備面でのリスクも高いと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

加藤氏 (リスクは)あると思います。とはいえ、今の設備面でヘビーなのはパケット通信です。一昔前とは様相がガラッと変わっていますから。昔は映像をケータイで見るなんて想像しなかったですけど、今はYouTubeやdビデオを見るのは当たり前ですからね。パケットの負荷と音声の負荷は格段に違います。

 もちろん音声が使い放題になったときの状況を検討しましたが、大丈夫だろうと判断しました。Xiのドコモ同士の通話無料と、ファミリー割引ユーザー同士の通話無料を経験してきていますので、そこから考えて、行けそうだと。(通話時間が)爆発的に伸びたら難しいですけど、VoLTEが入ると(データ転送の)効率が3倍高くなりますので、それにシフトしながらやっていけるのではないかと思います。

―― ユーザーはVoLTEか回線交換かを意識せずに使えると。

加藤氏 意識せずに“音声の通話”だと思っていただければいいと思います。ただ、VoLTEになれば品質も上がって遅延も短くなるので、それは享受いただけるでしょう。

フィーチャーフォンユーザーも大事にしたい

―― カケホーダイの導入には、ARPU(1ユーザーあたりの平均売上)を伸ばしたいという狙いもあると思います。

加藤氏 ARPUはずっと下がってきていますから、あるところ(タイミング)で上げたいなという気持ちはあります。

―― カケホーダイ&パケあえるで、どの程度のユーザーを獲得したいとお考えですか。

加藤氏 我々は密かに考えていますが、それはちょっと(笑)。全体の事業計画としてしかお示しできません。もちろん新しいお客さんにも来ていただきたいですし、ドコモのお客さんでも(新料金プランでは)2台目や3台目を持ちやすい。家族でも増やしやすい。(プラスXi割で)フィーチャーフォンとタブレットという組み合わせもフォローしていますし。

―― カケホーダイ&パケあえるは、FOMAやフィーチャーフォンも含む、ドコモユーザー全体を対象にしていて、抜本的に変えてきました。既存のFOMAやフィーチャーフォンのユーザーも大事にしていると感じました。

加藤氏 大事にしたいと思いますし、「まだ(フィーチャーフォンも)出すよね?」と言われています。通話とメールはこれ(フィーチャーフォン)で十分だよね」とおっしゃる方も多くいらっしゃいます。タブレットが見やすくていいという声もあります。

―― (加藤社長がポケットから取り出したNECカシオのケータイを見て)加藤社長も実際にフィーチャーフォンをお使いなんですね。

加藤氏 もう6年以上使っていますかね。フィーチャーフォンと、iPhone、Noteを使っています。

―― Noteは、GALAXY Noteですか?

加藤氏 そうです。もうだんだん、老眼で見えにくくなってきていますからね(笑)。

―― 最後に、読者へのメッセージをお願いします。

加藤氏 テレコミュニケーションの原点回帰という意味において、時間も相手も気にすることなくお話しできることを評価いただきたい。パケット通信だけのプランもありますし、いろいろなメニューをそろえていて、ある程度自由に設計できるようになっているので、そこをご理解いただければと思います。

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