カスタマイゼーションからパーソナライゼーションへかじを切るデルの近未来:青山祐介のデザインなしでは語れない(1/3 ページ)

» 2009年03月03日 11時11分 公開
[青山祐介,ITmedia]

PCのデザインに注力するデル

ティーザー広告が始まった「Adamo」

 ご存知の通り、国内でデルはインターネットを利用したBTO販売でリーズナブルなPCを提供してきたベンダーとして認知されている。よくいえば低価格でバリューが詰まったお買い得PC、悪くいえばデザインやブランドは二の次でコストパフォーマンス重視のPC、というところだろうか。しかし、ここ数年のデル製品を見ていると、それがいい意味で当てはまらない。もちろん性能面や機能面では最新のスペックを満たしたうえで、そこに個性的なデザインをまとう製品が続々とラインアップされている。

 例えば、2009年1月に発表された同社の個人向けノートPC「Studio XPS 16」「Studio XPS 13」は、精悍(せいかん)なグロスブラックのボディを基本に、液晶ディスプレイのヒンジ部にブライトシルバーのアルミニウムと本革という素材をあしらったクールなデザインを取り入れている。キーボードやヒンジ部の側面が光るといった、“機能+α”の演出が盛り込まれているのも特徴だ。また、2007年に発表した小型デスクトップPC「Studio Hybrid」は、同社史上最小のコンパクトなボディが注目を集めたモデルで、楕円形状の本体を専用のスタンドで立てたり、横置きしたりするというスタイルが斬新だ。6色のカラーバリエーションを備えた着せ替えカバーが選べるだけでなく、本物の竹でできたカバーや合成皮革(限定モデルで提供)といったユニークな素材が用意されているのも見逃せない。2008年にフルモデルチェンジした法人向けのノートPC「Latitude E」シリーズも例外でなく、3色のカラーバリエーションを備えたモデルが複数ラインアップされている。

 2009年2月には、今後投入が予定されている新製品「Adamo」のティーザー広告(予告広告)が掲載された。この広告だけでは製品の概要は分からないが、このところのデルが注力しているデザインを意識した製品になることは間違いない。このように、デザイン面で急速に変化を遂げているデルのデザイン戦略について、同社の日本におけるプロダクトのまとめ役であるサービスマーケティング本部 クライアントサービス プロダクトマネージャの添田貴嗣氏と、コンシューマ事業本部 マーケティング部 ノートブックプロダクトマネージャの佐々木邦彦氏に話をうかがった。

デザインにも力を入れた新ノートPC「Studio XPS 16/13」
縦置きと横置きに両対応した小型PC「Studio Hybrid」
ビジネス向けPCでもカラバリを導入した「Latitude E4200」

グローバル・コンシューマ部門の創設から変わりはじめたデルのデザイン

 デルのデザインを知る上で、まずはデルのコンシューマー向け製品のおさらいをしておこう。現在、日本のコンシューマー向けデル製品は、ノートPC、デスクトップPCそれぞれに、低価格な「Inspiron」シリーズ、高機能&デザイン重視の「Studio」シリーズ、そしてこれをさらに高機能化させた「XPS」シリーズという3つのプロダクトラインを柱に展開している。この3つのシリーズのほかに、シンプル&コンパクトをコンセプトにしたミニノートPCとして「Inspiron Mini」シリーズを2008年に追加。また、Studioシリーズのデザイン性にXPSシリーズの高機能を融合させた「Studio XPS」シリーズも新たに投入されている。

 一方のデスクトップPCは、これまでハイエンドのゲーミングPCとして認知されていたXPSシリーズを二分し、ノートPCと同様、洗練されたデザインの「Studio desktop」シリーズと共通のケースに高機能を盛り込んだ「Studio XPS」を追加。もちろん、個性的で存在感のあるケースを持ったXPSシリーズも、まだまだ健在だ。

ノートPC/デスクトップPCで最上位となるXPSシリーズ。写真はデスクトップPCのフラッグシップ機「XPS 730x」
性能だけでなく、デザイン性も重視したStudioシリーズ。写真は「Studio desktop」
低価格なエントリーモデルに位置付けられる「Inspiron」シリーズ。写真は最も小型なNetbookの「Inspiron Mini 9」

 デルではこういったノートPCやデスクトップPCのほかに、液晶一体型PCや液晶ディスプレイ単体のデザインにも力を入れている。2007年に登場した「XPS One」は20型ワイドディスプレイの背面に、PCのコンポーネントすべてを収めた上で、極めて薄く見えるフォルムを採用。ディスプレイ(本体)を支えるスタンドも、ベースがガラス製でアルミ製のアームが伸びるスタイリッシュなものだった。液晶ディスプレイの「DELL CRYSTAL」は、大きな1枚のガラスに22型ワイド液晶ディスプレイと4つのスピーカをまとめ、それらがさも空間に浮いているような印象を与えるデザインが特徴的だ。スタンドも細い金属製の三脚スタイルとなっていて、一見するとオシャレな液晶テレビと見まごうばかりの外観になっている。

デル初の液晶一体型デスクトップPC「XPS One」
液晶前面に4ミリ厚の強化ガラスをはめ込んだ「DELL CRYSTAL」
デルの個人向けノートPCでは、8色のカラーバリエーションが基本になりつつある

 以上のように、最近のデルがリリースする製品がスタイリッシュになってきたのは、2年前に行われたデルの組織改革が理由に挙げられる。ちょうど2年前の2007年2月にコンシューマー向けの事業をマーケティング部門から切り離し、グローバル・コンシューマ部門を新設。米国で拡大していたコンシューマービジネスを、中国をはじめとしたアジアなどの急成長市場や新興市場に広げ、グローバルに展開していくために、よりコンシューマーに訴求するデザインや機能の製品を投入するべく動き出したわけだ。

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