インタビュー
» 2011年08月05日 10時00分 公開

ドコモは携帯電話会社を卒業する――NTTドコモ 山田社長に聞く(後編) (2/2)

[神尾寿,ITmedia]
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スマートフォンは「2つのシリーズ」に分かれる

―― 現在、スマートフォンの普及が急速に進んでいますが、今後の見通しはいかがでしょうか。

Photo 来年度のスマートフォンの販売比率は「50%を超える。60%も超えるかもしれない」と山田氏

山田氏 来年度には販売台数の半分以上がスマートフォンになると予測しています。少なくとも、(スマートフォン販売比率は)50%を超える。その時代に向けた準備をしていかなければならないと、社内の各部署で準備を進めています。今の手応えだと、50%超えは確実で、60%も超えるかもしれない。

―― 来年度になりますと、ハイエンド層からアッパーミドル層はほぼスマートフォンに移行するでしょう。となると、次のターゲット市場はロウアーミドル層からローエンド層となるわけですが、そこでも順調にスマートフォン移行が進むのでしょうか。

山田氏 低ARPUのロウアーミドル層やローエンド層がスマートフォンに移行するには、どれだけスマートフォンが使いやすくて楽しいものになるか、にかかっていますね。

 今のドコモのスマートフォンは、どちらかというと「機能重視」となっている。しかし、2011年の冬モデルからはドコモ全体のシリーズ構成を変えて、スマートフォンでも従来どおりの“ハイエンドモデル中心”(のシリーズ)と、使いやすさやブランドコラボを重視した新たなシリーズを用意して、ターゲット層ごとに分けてラインアップ展開をしていきたい。

―― ドコモの「Styleシリーズ」に近いコンセプトのスマートフォンがラインアップされるわけですね。そして、ハイエンドモデルとは併存していく、と。

山田氏 2012年は、初期に私どものスマートフォンを購入していただいたお客さまの買い換え需要もあります。その点では、スマートフォンのハイエンドモデルのラインアップも重要です。ここではXi対応のスマートフォンが主力になるでしょう。

新規契約獲得で重要性を増す新市場の創出

―― Androidスマートフォンの多くがおサイフケータイなどフィーチャーフォンの代表的な機能を取り込んでいくことで、今年に入ってから「ケータイからスマートフォンへの買い換え」が急増しています。もはやスマートフォンは“2台持ち”するものではなく、“1台目”として使うものになった。この場合、スマートフォン移行によってARPUの底上げ効果は見込めますが、新規契約にはつながりません。

 ドコモは稼働シェアが高いということもあり、スマートフォン需要に頼らずに今後の“新規契約をいかに増やしていくのか”は経営上の課題になるわけですが、この点について、どのように対応していくのでしょうか。

山田氏 おっしゃるとおり、ケータイとスマートフォンを2台持つというのは、料金関係も含めて、お客さまにはやっぱり負担なのですよ。ですから、我々は積極的にiモードの機能をスマートフォンに実装してきています。実際、(ドコモの)スマートフォン総販売数のうち、(新規契約による)純増につながっているのは15%ほどです。

 では、ドコモが新規契約を獲得するとしたら何が重要なのか。ここで我々が重視しているのが、タブレット端末やモバイルWi-Fiルーター、デジタルフォトフレームといったものですね。

―― スマートフォンの先にある「マルチデバイス市場」の製品群ですね。

山田氏 ええ。これからは通信モジュールに注力していきますからね。ここでは純増はいっぱい獲得していきたい。

―― 通信モジュールの分野で、山田社長が特に今後1〜2年で重要だと見ている市場はどこになりますか。

山田氏 通信モジュールの成長市場は自動車ですね。例えば、カーナビゲーションには、これから通信モジュールが搭載されていくのが確実ですよね。ドコモとしては、今後、自動車業界としっかり連携していきたい。

 あと、自動販売機も重視しています。ドコモはすでにJTの自動販売機の通信モジュールをやらせていただいていますが、一般的な飲料の自動販売機でも業務効率化の目的から通信モジュール内蔵の動きが加速しています。こちらも積極的に取り組んでいきたい。

―― モジュール市場の潜在可能性はかなり高いと思いますが、ここでの普及を一気に加速するためには何が必要なのでしょうか。

山田氏 単純な話ですが、モジュールの端末価格を安くすることです。あとは低速通信の料金体系を安くしていくこと。これらは今後、積極的に取り組むことになるでしょう。

ドコモは「総合サービス企業」へ

Photo 「ドコモを総合サービス企業として進化していく形にしたい」(山田氏)

―― ドコモは2012年で20周年を迎えます。山田社長として、この20周年の年をどう位置づけているのか。また、次の10年の礎をどのように築くのかをお聞かせください。

山田氏 ドコモにとって20周年は「お客さまに感謝する年」と位置づけています。多くのお客さまに、とても長い期間ドコモを使い続けていただいた。ですから、お客さまに感謝する1年にしていきます。ここではお客さま満足度をさらに上げたいと考えています。

 では、今後の10年をどのようにしたいのか。

 今までの20年は“ケータイをブラッシュアップ”してきた。携帯電話会社としての歴史だったわけです。しかし、次の10年は、ドコモは「総合サービス企業」として是非やっていきたい。ここでは健康・医療や環境など、新たな分野にも積極的に取り組んでいきます。そして必要があれば、異業種と提携して(新たなサービス提供会社を)分社する、といったことも行う。ドコモを総合サービス企業として進化していく形にしたい。

―― 携帯電話会社という枠組みを大きく超えるわけですね。

山田氏 そのとおりです。これまではトラフィック(通信量)で稼いできて順調に成長したわけですけれども、今後も同じように成長できるわけではありません。ですから、トラフィックビジネスでの成長に陰りが出たときに、他のサービス分野がしっかりと収益を支えている形にしなければなりません。この総合サービス企業化によって、お客さまの利便性もさらに増すことになる。新たなドコモに、ぜひ期待していただきたいと思います。

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