Androidスマートフォンの雄であり、世界で最も多くの携帯電話を販売しているSamsung電子の「GALAXY S 4」が、27日、世界各国で発売される。Samsung電子のおひざ元である韓国では、発売日を1日前倒しにして、26日に発売された。韓国で行われたSamsung電子のイベント「WORLD TOUR」では、同イベントが東京で開催されることも明らかにされ、GALAXY S 4は日本でも登場する見込みだ。
先代に当たる「GALAXY S III」は、日本でも販売台数100万台を超えた大ヒットモデルだけに、S 4の動向にも注目が集まる。では、GALAXY S 4は、どのようなコンセプトで開発されたのか。今回は特別編として、韓国のWORLD TOURや開発者への取材を通じて、GALAXY S 4の魅力に迫っていきたい。
GALAXY S 4(以下、S 4)は、約5インチ・フルHDの「Super AMOLED」を搭載した、Samsung電子のフラッグシップモデルだ。画面はGALAXY S III(以下、S III)の4.8インチから0.2インチ大きくなり、精細さも大幅に上がったが、ディスプレイのベゼルを細くすることで横幅は逆に狭くなった。S IIIが71ミリなのに対し、S 4は69.8ミリで、1ミリ以上スリムになった。ボディは丸みを帯びているため、手にフィットする。13メガピクセルカメラには、積層型の裏面照射型CMOSセンサーを採用した。
端末の心臓部であるCPUは、コアを8つ持つ「Exynos Octa」か、Qualcomm製のクアッドコアCPUが搭載され、市場によってスペックが変わる。前者は3G、後者はLTEに対応し、通信方式によって異なるのが原則だが、韓国市場ではオクタコアでLTE対応のものが発売された。オクタコアのCPUは「Big.LITTLE」という技術に基づいたもので、パフォーマンスに優れた4つの1.6GHzコアと、省電力性に優れた4つの1.2GHzコアを組み合わせている。負荷のかかる作業は1.6GHzのコアで処理し、そうでないものは1.2GHzを使うことで電力を減らすという発想だ。コンセプトは、NVIDIAのTegra 3が採用する「4-PLUS-1」に近い。
一方で、以前このコーナーでもお伝えしたとおり、Samsung電子はこうした端末のスペックより、利用シーンに合わせた機能のアピールに力を注いでいる。米国・ニューヨークで開催された「Unpacked」では、舞台形式で端末の紹介が進み、多彩なカメラの機能や、ユーザーの目を認識して端末の操作に反映させる「Smart scroll」「Smart pause」、翻訳機能の「S Translator」、健康機器と連携する「S Health」などの紹介に時間が割かれた。韓国で開催された端末発売イベントWorld Tourも構成はUnpackedに近く、Samsung電子 無線事業部 戦略マーケティング室室長のDJ・リー氏は「消費者のみなさまが願っていること、大事なのは何かを悩み、それを機能として盛り込んだ」と同端末のコンセプトを語っている。
この開発思想は、一見すると、S IIIのキャッチフレーズである「designed for human」に非常に似ている。それもそのはず、Samsung電子でS 4の商品企画を担当したグローバル商品企画チーム 次長 カン・ミンソ氏によると、S 4のコンセプトは「S IIIで始めた人間のためのデザインをもう少し発展させた」ものだという。
「S 4開発の指令をもらい、次はどういうコンセプトにすればいいか、とても悩んだ。人々がどういう機能をケータイに求めているのか、実際の生活でどういう機能を必要としているのか。ここに集中して開発を始めた。昨年、タスクフォースが結成され、商品企画だけでなく、ハード、ソフト、UX、デザイン、サービスとあらゆるチームの関係者が、どうやったらこのコンセプトをS 4に生かせるのかを考えた」(同上)
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