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» 2011年08月29日 09時00分 UPDATE

「音声認識ブラウザ」発表:Googleは競争相手ではない?――B to Bと多言語化に注力するアドバンスト・メディア

モバイル分野ではこれまでコンシューマー向けに音声認識サービスを提供してきたアドバンスト・メディアが、今後は法人向け業務アプリの開発にも注力する。また、iOSだけでなく、AndroidやWindows Phone 7向けアプリも開発していく。

[田中聡,ITmedia]
photo 鈴木清幸氏

 音声認識サービスを手がけるアドバンスト・メディアが8月26日、技術・戦略説明会を開催し、モバイル向けの新サービスや展望を発表した。

 同社代表取締役会長兼社長の鈴木清幸氏は「アーリーアダプターを攻めている世界から、いろいろな方々が使う普及フェーズに来ている。パッケージを販売する世界も極めるが、そこに加えてサービス型に持っていくことが重要だと考えている」と今後の展望を話す。同社が第5世代に位置付ける2011年以降は「超音声認識技術」を開発していく。鈴木氏によると、超音声認識技術とは、人間のように100%の精度で正確に認識する結果を出してくれるもの。具体的には、質問したことに対して価値のある情報を教えてくれるサービスと、話した文章をそのまま記録するディクテーションが挙げられる。

photophoto 音声認識技術のロードマップ(写真=左)。アドバンスト・メディアの事業領域(写真=右)

 そんな中、アドバンスト・メディアが今後注力していく分野の1つがモバイルだ。同社はiOS向けに、音声入力した文章をコピーしてメールやSNSなどに投稿できる「音声認識メール クラウド」と、スタンドアロン型の「音声認識メールST」を提供し、累計ダウンロード数は40万を突破している。ヤフーと協業し、Yahoo!Japanの検索サービスを音声で利用できる「音声検索」アプリも開発した。

photophoto 音声入力した文章をメールやSNSに貼り付けられる「音声認識メール」(写真=左)。Yahoo!Japanの「音声検索」アプリで検索したもの(写真=右)

 さらに、9月中旬以降には法人向けアプリとして「音声認識ブラウザ for iOS/Android」を発売する。これは、同社の音声認識技術「AmiVoice」を組み込んだ独自ブラウザで音声入力ができるというもの。ブラウザのプラグインではなく別個のアプリとなる。例えば同アプリからアクセスした「サイボウズ」で、予定の件名やメモなどを音声で入力するという使い方ができる。医療、金融、保険業界の企業向けに、専用辞書を搭載する形で販売する。ブラウザはiOS向けがWebView、Android向けがWebKitを使って開発されている。2012年以降はWindows Phone 7向けのアプリも販売する予定だ。

photophotophoto iPadからアクセスした「サイボウズ」で「音声認識ブラウザ for iOS/Android」を利用するデモが行われた。入力欄にカーソルを合わせ、右上の音声入力ボタンを押して入力する
photophoto Android端末の「Xperia arc SO-01C」でもデモを行った
photo 枝連俊弘氏

 アプリはApp StoreやAndroid マーケットで配信するが、利用にはログインが必要。一般ユーザーへの提供は現在のところ予定していないが、同社の枝連俊弘氏によると「半年から1年を見て、将来的には対応させたい」とのこと。音声認識ブラウザでは表示できないページもあるので、どこまで対応させるかが課題となる。法人向けに導入する際は、業務で利用するWebサイトが音声認識ブラウザで表示可能かどうかを検証し、表示対応させた上で販売する。価格は1ユーザーあたりの月額課金で、「サーバ原価を考えると、数百〜数千円ほどになる」。現在は「2社ほど導入が決まっている」状況だ。

 Android向けの音声検索や音声入力はGoogleも導入しているが、音声認識ブラウザの強みは、導入する企業ごとに音声認識のデーターベースをカスタマイズできることにある。例えば医療分野なら、電子カルテに使われる専門用語を広くカバーできる。さらに、GoogleやNuance Communicationsなど競合他社のサービスが増えることで、音声認識サービス利用のすそ野が広がり、「お客さん(企業)からの引き合いはかなり増えている」という。「Googleは競争相手というよりも、一緒に盛り上げていくプレーヤー」(枝連氏)と認識している。同社はAndroidのコンシューマー向けには音声認識アプリを現時点では提供していないが、「まもなくメジャーなアプリを提供する予定」なので期待したい。

 Web検索アプリについては今後は多言語化にも注力し、2012年後以降には中国語とタイ語に対応したアプリも提供する予定。欧米についてはNuance CommunicationsやGoogleなどライバルが多く、「技術的な自信はあるが、市場を取っていくパワーがどれだけあるのかが未知数」(枝連氏)であるため、まずはアジアから多言語化の対応を進める。

photophotophoto モバイル分野での事業戦略(写真=左)。音声認識ブラウザの特長(写真=中)。多言語化も展開する(写真=右)
photophoto 中国語によるWeb検索のデモ。「上海のおいしい日本料理店」を音声で検索
photophoto タイ語で「バンコク」を検索

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