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» 2011年12月09日 20時34分 UPDATE

海外向けAndroid1号機も披露:「欧州市場で成功すると確信している」――パナモバ“ならではの機能”で海外市場へ再参入

2005年の撤退以来、海外携帯市場から遠ざかっていたパナソニック モバイルが、スマートフォンの普及で「機が熟した」と判断。グローバルスマートフォンを開発して海外携帯市場へ再参入する。

[田中聡,ITmedia]
photo パナソニック モバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長 星敏典氏

 既報の通り、パナソニック モバイルコミュニケーションズが、2012年3月から欧州市場でスマートフォンを投入することを発表した。12月8日に同社が開催した説明会で、代表取締役社長の星敏典氏が世界市場に“再参入”するまでの経緯を話した。

 パナソニック モバイルの海外携帯電話事業の歴史は、クウェートで自動車電話の販売を開始した1971年までさかのぼる。その後1992年にGSM方式に対応した自動車電話の販売を開始し、1998年には同社の海外携帯の累計販売台数は1000万台を突破した。また2003年には年間販売台数が最高記録となる890万を超え、同社の海外事業は順調だった。しかし市場環境の変化や開発リソースの問題で、2005年には海外市場からの一時撤退を余儀なくされた。「これまで、日本はPDC、海外はGSMが主流で、携帯電話の仕様は日本と海外市場で大きく異なっていた。商品に求められるデザインや機能の要求も違う。各通信事業者特有の仕様も多数存在しており、開発効率の問題から日本市場に集中せざるを得なかった」と星氏は振り返る。同社は2004年に1500万台、2005年に1100万台の携帯電話を生産、うち日本:海外の比率は2004年が51:49、2005年が71:29で、国内端末の占める割合が高まっていた。また、2004年から2005年にかけて海外市場で携帯電話の価格が下がり、大きな赤字を出したことも要因の1つだったという。

photophoto グローバルモデル1号機(写真=左)で海外へ再参入する(写真=右)
photophoto パナソニック モバイルがこれまで展開してきた海外携帯電話事業(写真=左)。2005年までと現在の市場動向の違い(写真=右)

 一方、現在はスマートフォンが携帯電話の主流になり、市場環境が大きく変化した。ネットワークについても世界共通の3G(W-CDMA)をサポートする端末が増え、日本と世界で求められる製品の仕様が共通化されつつある。「日本もいわゆる“ガラパゴス”のマーケットからグローバルなものに変化している。日本市場だけで携帯電話事業を続けるのは非常に困難。日本もグローバル市場の一部という認識を持っている」(星氏)

 では世界でも通用するパナソニック モバイルの強みとは何か。星氏は「薄型短小技術」「AV技術」「ブランド力」「グループ全体のビジネスインフラ」だと説明する。「パナソニックグループで培った最先端のAV技術を搭載することで、さまざまなAV機器とつながり、映像連携やリモートコントロールなど便利で快適な使い方を展開したい」と同氏は意気込む。グローバル端末の開発は日本を中心に行い、マレーシアの工場で生産する。販売では欧州の販売会社と提携し、迅速かつ低コストの立ち上げを目指す。

 ロードマップについては3つのフェーズで計画している。第1フェーズでは欧州の通信事業者向けに端末を供給し、すでに主要な事業者とは商談済みだという。第2フェーズでは中国や米国など、第3フェーズではアジアを中心とした新興国にも展開し、ブランド認知の強化と商品ラインアップの拡大を目指す。2012年度には欧州で150万台の販売、2015年度には海外で900万台、日本で600万台(計1500万台)の販売を目標とする。まず欧州から進出するのは、「2005年まで海外携帯事業を行っていたときに構築した通信事業者とのコネクションを生かせるため」(星氏)。「今から新たなビジネスインフラを構築することは時間とコストがかかる」ことも考慮した。

photophotophoto パナソニックの強みをスマートフォンにも盛り込んでいく(写真=左)。VIERAやLUMIXなどAV機器との連携も強化する(写真=中)。パナソニックグループのビジネスインフラを活用する(写真=右)
photophoto 海外展開のロードマップ(写真=左)。2012年はパナソニック モバイル製のフィーチャーフォンとスマートフォンの販売比率が逆転し、2014年には国内外の販売比率が逆転する見込み。2005年度までに国内外で同社製スマートフォン1500万台の販売を目指す(写真=右)
photo 1号機を手にする星氏

 説明会ではグローバル端末の1号機が披露された。製品名やスペックなどの詳細は明かされなかったが、「スリムで美しいボディ」「4.3インチ/QHDサイズの有機ELディスプレイ」「防水・防塵対応」が主な特長だ。パナソニック独自の省電力技術を用いたエコ機能や、NFCも搭載している。スピードにもこだわり、デュアルコアCPUも採用した。ターゲットは30〜40代のビジネスマン。OSにはAndroidを採用しているが、バージョンは未定。来春発売ということを考えると、Android 4.0の搭載が期待される。Samsung電子は「GALAXY」、Sony Ericssonは「Xperia」などのブランド名をスマートフォンに付けているが、パナソニック モバイルのスマートフォンにもこうしたブランドを付ける予定。

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photophoto グローバルモデル1号機の主な特長

 外観については「ただ薄いだけではない。持ちやすさと使いやすさを徹底的に追求している。日本で発売した4.3インチ液晶搭載の1号機(P-07Cと003P)と比べると、体積は120ccから55ccに減り、重さは139グラムから105グラムに軽量化されている」と星氏はアピールする。「Slim D shape」と呼ばれる形状は、ディスプレイ部を下に向けて置くと、「D」を左に90度回転させたように見え、側面の角を大きく削ぎ落としていることが分かる。

 4.3インチの有機EL搭載にあたり、パナソニック独自の狭額縁設計を施し、フレームを極限まで小さくすることに成功。表面の約70%がディスプレイで占められているという。防水・防塵については国際保護等級IP57をサポートするよう開発を進めている。欧州の防水端末は、どちらかというと分厚くてゴツいモデルが多い。ただこの1号機は非常に薄く、(後述する)ユーザー調査では「この薄さで防水対応していることに多くの人が興味を示してくれた」という。

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photophoto 1号機の試作機を展示。外観はほぼ固まっているとのことだが、ソフトウェアはまだ完成しておらず、ホーム画面も仮の状態となっていた。手にしてまず感じたのが「軽い」。105グラムの軽量ボディは大きなアドバンテージになりそうだ
photophoto 厚さ9.3ミリのiPhone 4とほぼ同じ厚さだ

 パナソニック モバイルは日本では「P-07C」「Sweety 003P」「P-01D」「LUMIX Phone P-02D」「LUMIX Phone 101P」といったスマートフォンを投入しているが、今回のグローバルモデルは「日本を含む海外」に向けて開発されたもので、日本向けモデルとは位置付けが異なる。ただ、欧州の通信事業者と並行して日本のキャリアとも交渉は進めており、「日本独特の仕様についても対応し、両面で展開する」とのことなので、この1号機、またはこれをベースにしたモデルが日本でも発売される可能性がある。

 欧州を中心に投入することもあり、パナソニック モバイルは欧州5カ国でマーケティング活動を実施。現地のユーザーに1日のスケジュールとスマートフォンの利用実態をヒアリングした上で1号機を評価してもらったところ、他メーカーの現行モデルよりも高い評価を得られたという。星氏も「欧州市場で成功すると確信している」と手応えを感じている。もちろん、世界の並み居る競合他社の間に割って入ることは容易ではないが、「上位5社でシェア90%を占めるような時代から、シェアが変動している時代に変わっているので、きちっと商品を出せば可能性があると信じている。パナソニックならではの機能をぜひ実現していきたい」と星氏は力を込める。また、すでに2号機以降のモデルも企画しているという。

 グローバルモデル1号機の詳細や、供給先の通信事業者などは2012年1〜2月にあらためて発表される予定なので、続報を待ちたい。

photophotophoto 欧州で実施したマーケティング調査では、1号機はユーザーから高い評価を得た
photo "Smart has never been so beautiful!(こんなに美しいスマートフォンはなかった)"がキーコンセプト

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