BMWボディを水冷で走らせる──日本HPのモンスターマシン「HP Z800 Workstation」を試すデュアルXeon搭載(2/3 ページ)

» 2009年12月16日 16時16分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

水冷システムはXeon 5500シリーズのハイエンドデュアル構成でのみ選択可能

12本のメモリスロットと2基のLGA1366ソケット、そしてIntel 5520チップセットを搭載したマザーボードを採用する

 システムの中核には、Intel 5520/ICH10Rチップセットを搭載したオリジナル設計のマザーボードを採用している。2基のLGA1366ソケットを搭載しており、Xeon 5500シリーズのシングル/デュアルCPU構成に対応する。また、メモリスロットは12本(1ソケットあたり6本)、拡張スロットはPCI Express Gen2 x16とPCI Express Gen2 x8が2基ずつ、PCI Express Gen2 x4とPCI Express x4(ともにx4相当)、そしてPCIが各1基の計7基という豪華な構成だ。さらに、LSI Logicの8ポート対応SASコントローラー、BroadcomのギガビットLANコントローラーを2基、2ch出力対応のHDオーディオコーデックなどをオンボードで実装している。

 主要パーツはBTOによってカスタマイズが可能で、その選択肢も非常に幅広い。CPUは、2GHzのXeon E5504(TDP 80ワット)から3.33GHzのXeon W5590(TDP 130ワット)までのXeon 5500シリーズのCPUを選択でき、それぞれシングル/デュアル構成が選べる。Xeon W5580またはW5590のデュアル構成を選んだ場合には、CPUの冷却方式として水冷方式も選択可能だ。

 メモリはECC PC3-10600(DDR3-1333)に対応し、アンバッファドとレジスタードのECC付き(4Gバイトモジュール以上はレジスタードのみ)が選択できる。容量はシングルCPUでは最大24Gバイト(4Gバイト×6)、デュアルCPUならば、なんと最大192Gバイトの大容量まで増設可能だ。データストレージは、3.5インチのHDDを採用し、最大4台まで搭載可能で、RAID 0/RAID 1にも対応する。HDDは最大1TバイトまでのSerial ATA HDD(7200rpm)のほか、最大450GバイトまでのSAS (Serial Attached SCSI) HDD(1万5000rpm)も選べる。1万5000rpmのSASは高性能かつ信頼性も高い一方で、発熱も高いが、前述したようにHDDベイに直接冷却するファンを設置しているので冷却面の不安はない。

CPU-Z 1.52.2の画面。評価機は定格3.33GHzで動作するXeon W5590を2基搭載していた
評価機にはGPUにQuadro FX 1800を搭載したグラフィックスカードが装着されていた
GPU-Z 0.3.6の画面。グラフィックスメモリは768Mバイトだ

 光学ドライブは2台まで搭載でき(ドライブレスも選択可)、BTOの選択肢には6倍速書き込みに対応した記録型Blu-ray Discドライブ、DVDスーパーマルチドライブ、DVD-ROMドライブが用意されている。ボディにはもう1基5インチベイが用意されているが、そこにはFDD(5インチベイ用マウンタを利用)を搭載することができる。

 グラフィックスカードは最大2枚まで装着可能だ。エントリー向けのNVIDIA Quadro NVS 295(グラフィックスメモリは256Mバイト)から超ハイエンドのNVIDIA Quadro FX 5800(同4Gバイト)まで豊富な選択肢を用意している。2枚のカードを使って描画性能をパワーアップするNVIDIA SLI構成(Quadro FX 5800/4800)も選択可能で、2枚のカードを別々に使うこともできる。また、2枚目のグラフィックスカードの代わりに、NVIDIAのGPGPUコンピューティング専用カード「Tesla C1060」を最大2枚選択することも可能だ。

 プリインストールOSとしては、最新のWindows 7 Professionalから1世代前のWindows Vista Business、あるいはダウングレード権を利用したWindows XP Professionalと、新旧のOSが選べる。また、それぞれ64ビット版/32ビット版が用意されている。32ビット版のWindowsで扱えるメモリは4Gバイトが上限で、さらに実際に活用できるのは3Gバイト前後となることから、大容量メモリを生かすためには64ビット版が必須だ。なお、Windows Vista Professional/Windows XP Professionalの64ビット版で扱えるメモリ上限は128Gバイトである。

HDDは4基内蔵できる。いずれもハンドル操作で着脱可能だ
金属の重厚なパーツで構成されるZ800だが、HDDのアタッチメントはプラスチック製でややチープだ
光学ドライブは最大2基内蔵でき、別途FDDも選択できる

リアル8コア、メモリ24Gバイトの破壊力はいかに?

評価機のWindowsエクスペリエンスインデックス画面

 HP Z800 Workstation 水冷モデルの実力は、いかほどのものだろうか。評価機に対してPC USERが定例で行っているベンチマークテストを実施した。評価機は、Xeon W5590(3.33GHz)×2、24GバイトのDDR3 SDRAM、NVIDIA Quadro FX 1800(グラフィックスメモリは768Mバイト)、容量147GバイトのSAS HDD(1万5000rpm/HUS153014VLS300)、DVDスーパーマルチドライブというハードウェア構成で、OSには64ビット版のWindows Vista Ultimate(SP2)をプリインストールしている。グラフィックスカードのQuadro FX 1800は、G94コアでGeForceでいえば9600 GTあたりに近いスペックだけに究極のハイエンドというわけではないが、XeonのデュアルCPU搭載によるリアル8コアのパフォーマンスに注目だ。参考までにCore 2 Duo E7400(2.8GHz)、2Gバイトのメモリ(DDR2)、320GバイトHDD(7200rpm)、GeForce GT 210(グラフィックスメモリは512Mバイト)を搭載したPCのスコアも掲載した。

 PCMark05の総合スコアは12317と、比較対象のPCに比べて2倍以上と優秀ではあるが、Core i7のハイエンドマシンならば珍しくないスコアになった。テスト内容はシングルスレッドのアプリケーションがほとんどで、一部に2/4タスク同時実行の処理が含まれる程度のため、まったくCPUのポテンシャルを生かせないのだろう。ちなみに、HDDスコアは8433と、さすがに1万5000rpmだけに単体HDDとしては非常に高いスコアをマークしている。CrystalDiskMark2.2.0も実行したところ、SSDがメジャーになった今では驚くようなスコアではないが、ランダムアクセス性能ではさすがといえるスコアが出ている。

 3DMark06の総合スコア(1280×1024ドット)が9722、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のHIGHで8045と、QuadroはDirectXではなくOpenGLに最適化されているうえ、GPUコアもミドルレンジクラスのG94のため、DirectXを使う3D描画性能がそこそこなのは仕方がないだろう。

 一方のPCMarkVantageは、TV and Moviesの一部テストが実行できず、総合スコアも7344と、並のハイエンドPCレベルにとどまった。これも比較対象のマシンと比べると項目別では1.5〜3倍のスコアだが、Core i7などを搭載したハイエンドPCでは見慣れたスコアともいえる。PCMark05よりは新しいテスト内容とはいえ、アプリケーション単体では2スレッドまでの同時利用しか対応していないので、8コアのメリットは残念ながら生かせていないのだろう。

PCMark05のテスト結果
3DMark06(1280×1024ドット)のテスト結果
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のテスト結果

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