コンシューマー向けの定番ベンチマークテストではなかなか本領ができずにもどかしいところだが、ようやくその片りんを見せたのがMAXON Computerの3DCGソフト「CINEMA 4D」をベースにしたCINEBENCH R10のレンダリングテストだ。16ウェイまでのマルチコア/マルチスレッドに対応した「xCPU」のスコアは30651という見たことのないもので、Core 2 Duo E7500を搭載したPCと比べると5.4倍以上という速さを誇っている。やはりマルチコア/マルチスレッドに最適化されたアプリケーションでの威力は強烈だ。
動画のエンコード性能はどうだろうか。ペガシスのTMPGEnc 4.0 XPressで2つのAVCHDムービーを連結して512×288ドット/1Gbpsの1本の動画ファイル(H.264)に変換するテストを行った。機材の都合上、上記の比較用マシンではテストが行えなかったため、別途Core i5-750(2.66GHz)を搭載した最新マシンを比較用にしたが、これもやはり高速で、Core i5マシンの61%の所用時間でエンコードを終えた。こういったマルチコア/マルチスレッドに対応したクリエイティブアプリケーションでの威力はやはり絶大である。プロユースでは処理性能が生産効率にそのまま直結するだけに、これは大きな魅力だ。
水冷システムを搭載しているということで動作音も気になるところだが、CPUクーラーこそ水冷ではあるが、ほかに6基のファンが動作しており、1万5000rpm HDDのノイズもかなり大きいため、動作音は静粛というレベルにはない。それでも家庭に設置するのが難しいというほどの騒音では決してない。室温25.5度、暗騒音33デシベルの室内でボディ正面20センチの距離から測定した騒音は、アイドル時で43デシベル、高負荷時でも43デシベルだった。ただ、リアル8コアがフル稼働するCINEBENCH R10を3回連続で実行させた場合(1回ではすぐ終わってしまうため)にはわずかだが動作音が上昇した。
最小構成での標準価格は23万1945円だが、12月21日までは最小構成で16万2750円(税込)から買える「七福神プラス毘沙門天キャンペーン」が実施中で、さらにデュアルCPU構成なら空冷から水冷システムへのアップグレード価格(5250円)が無料になる特典もある。
Xeon 5500シリーズ最上位のW5590をデュアルで搭載し、24Gバイトという大容量メモリを搭載する評価機と同等の構成にするとこれでも80万円を超えてしまうが、例えば、最小構成からXeon E5504をデュアルに、メモリを12Gバイトにしても約28万円に収まる。システマティックなシャシー構造、強力な冷却システムや高品質電源ユニットに裏付けられた信頼性などを考えると実にリーズナブルといえる。大企業からSOHO、ハイアマチュアまで、幅広いユーザーにお勧めできるワークステーションといえるだろう。
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