「Core i」世代に生まれ変わった最新「MacBook Pro」の実力は?15インチMBPを試す(2/2 ページ)

» 2010年05月20日 21時41分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]
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ベンチマークテストで見る新型15インチMacBook Proの実力

 まずはMac OS X上でのベンチマークテスト結果から。なお、今回は新型15インチMacBook Proのうち、Core i5-520M搭載モデル(MC371J/A)とCore i7-620M搭載モデル(MC373J/A)に加えて、2.66GHz Core 2 Duo+GeForce 9600M GTを採用する2009年6月モデル(MB985J/A)を比較対象として並べている。基本システムの変更がどの程度性能に影響しているかを判断する指標になるはずだ。

 CINEBENCH R10の結果を見ると、Core i7のMC373J/AはRendering xCPUスコアが8621、Core i5のMC371J/Aが7466と、MB985J/Aの5787に比べて45%以上もスコアが向上しており、アップルが公称する“最大50%”という数値に近い結果となった。同様にOpenGL Standardのスコアも、MB985J/Aの5155に対してMC373J/Aが5924、MC371J/Aが5380と、従来機よりも確実にスペックが底上げされているのが分かる。なお、同じGeForce GT 330Mを採用するMC373J/AとMC371J/Aでスコアに開きがあるのは、搭載するグラフィックスメモリ容量の差だろう(MC373J/Aは512Mバイト、MC371J/Aは256Mバイト)。もっとも、CINEBENCH 11.5ではMC373J/Aの15.85fpsに対して、MC371J/Aは15.72fpsと、CPUの性能差に比べればそれほど大きくはない。

 一方、実際のアプリケーションにおけるシステム性能を見るために、iTunesを使ってAppleロスレスファイル(再生時間10分)をAACに変換するのに要した時間と、QuickTimeファイル(再生時間1分)を「iPod/iPhone用」に変換する時間を計測したところ、いずれも従来モデルに比べてより速く処理を終えた。特にCPU性能の差が出る動画変換では、Core i7モデルがCore 2 Duoモデルよりも13秒ほど速くなっており、これまで以上に快適にMac OS Xを利用できるはずだ。

CINEBENCH R10(画面=左)/CINEBENCH 11.5(画面=中央)/iTunesファイル変換テスト(画面=右)

 次にWindows 7環境下でのシステム性能も見ていこう。Windows用のドライバはMacBook Proのパッケージに同梱された「Mac OS X Install DVD」(Boot Campフォルダ)に入っているもの(BootCamp 3.1 Build 2230)を使用している。なお、同様に従来モデルのMC373J/Aを比較対象としているが、こちらのOSはWindows XP Home Edition(SP3)、かつBootCampのバージョンが古いため、参考程度に見てほしい。

評価機に同梱されているBootCampのバージョンは3.1 Build 2230(画面=左)。Windows 7のエクスペリエンスインデックスの画面。Core i5のCPUスコアが6.7、Core i7のCPUスコアが6.9と順当な結果だ(画面=中央/右)

 PCMark05の結果を見ると、CPU性能の差がスコアに影響し、総合のPCMarksもMC373J/Aが7594、MC371J/Aが6749、MB985J/Aが5741という順当な結果になった。ただし、個別に見ると、(測定環境に違いはあるものの)Graphicsスコアでは新旧モデルで逆転してしまっている。3DMark06でも同様の傾向で、CPUの差が大きくスコアに影響している一方、GPUの違いはほとんど差に現れなかった。なお、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3では、Core i7のMC373J/Aが1万の大台を突破しており、軽めの3Dゲームタイトルなら十分に楽しめることが分かる。

PCMark05(画面=左)、3DMark06(画面=中央)、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3(画面=右)

 最後にバッテリー駆動時間の実測値も掲載しておこう。MacBook Proは2009年6月モデルから、長時間かつ長寿命(1000回充電可能)の本体内蔵型バッテリーを採用しているが、今回のモデルではバッテリー容量を変えずにさらに最大8〜9時間駆動(公称値)へとバッテリーライフを延長している。そこでMac OS XとWindows 7の両環境下で、実際のバッテリー駆動時間を計測した。

 まず、Mac OS X環境下では、画面輝度を最高に設定し、「グラフィックスの自動切り替え」をオフ(常にGeForce GT 330を使用)、キーボードバックライトの明るさを最大、1分間のQuickTimeファイルを全画面で連続再生するという方法と、画面輝度を中間にし、「グラフィックスの自動切り替え」をオン、キーボードバックライトをオフにして、同じく1分間のQuickTimeファイルを全画面で連続再生するという方法の2種類を試した。なお、比較対象のMB985J/Aは、前者がパフォーマンス優先(GeForce 9600M GT動作)、後者がバッテリー寿命優先(GeForce 9400M動作)で計測している。一方、Windows 7では、海人氏作の「BBench 1.01」を利用して、画面輝度を最高、キーボードバックライトは最低、10秒おきにキーボードを押下、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11n)によるインターネット巡回(10サイト)を行う設定でテストした(ただし、旧モデルはWindows XPで計測している点に注意してほしい)。

バッテリー駆動時間の実測値。左がMac OS X、右がWindows 7環境

 結果を見ると、新型のMC373J/Aのバッテリー駆動時間は、それぞれ3時間10分/5時間30分となり、比較的負荷の小さい環境であれば、旧モデルのMB985J/Aと比べて1時間近く延びている。一方、ディスクリートGPUを常にオンにした状態では15分ほど短くなった。新型MacBook Proで実装されたGPUの自動切り替え機能がきちんと働いているのが分かる結果だ。さらにWindows 7環境下でBBenchを実施したところ、実測値でMC373J/Aが4時間40分と、以前Window XPで行ったMB985J/Aの結果よりも2時間近く駆動時間が延びている。測定環境に違いがあるため単純に比較はできないが、いずれにせよ、かなり厳しめの条件でも3時間以上の駆動時間を達成しており、2.54キロの重量が気にならない屈強な肉体の持ち主であれば、15インチMacBook Proを普段使いのモバイルPCとして活用することも十分可能な範囲だろう。

 以上、見た目はこれまでとまったく同じ15インチMacBook Proだが、Core iシリーズの採用により、性能面では大きな飛躍を遂げていることが各種ベンチマークテストの結果から確認できた。「MacBook Pro」の名にふさわしいハイパフォーマンスを求めるのであれば、MacBookとほぼ同じ仕様の13インチMacBook Proではなく、是非15インチモデルを選びたいところだ。

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