レビュー
» 2010年09月03日 17時30分 公開

けいおん!にウルトラマン80も飛び出す、だと!?:富士通の「FMV ESPRIMO FH550/3AM」で2D→3Dのリアルタイム変換を満喫した (2/2)

[坪山博貴(撮影:矢野渉),ITmedia]
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リアルタイムの2D→3D変換に適したジャンルは……

 実写映像としてまず選択したのは、映画「パール・ハーバー」だ。内容はともかく、CGのクオリティーは高く、飛行シーンなどでの3D効果に期待したからだ。結果は比較的良好で、例えばオアフ島の山間を飛行機が抜けていくシーンなどはキレイに背景と飛行機が分離し、見事な3D効果が得られる。一方で飛行機が迫り来るようなシーンでも背景と飛行機に一定の奥行き感はできるものの、飛行機が迫ってくるといった3D感には乏しい。銃弾が飛び交うシーンなどでは処理が間に合わないのか、ちょっと見にくい映像になる場面も見られたが、3D映像として十分に楽しめるレベルだろう。

 次にテストしたのは、鉄道紀行物のDVD-Videoだ。地方鉄道の収録だが、これも部分部分では非常に明白な3D効果を得られた。例えば固定カメラで線路の手前と奥に木々が位置する場面など、きちんと列車が手前の木々と奥の木々の間を抜けていく。また列車内でカメラを固定して側面の景色を撮影したシーンなどでは、景色の流れる速度のズレに合わせてきちんと3D効果が得られるシーンも多かった。一方、車内から前方や後方を撮影したシーンや、固定カメラからロングで風景の中を列車が抜けていくようなシーンではほとんど3D立体視の効果はなかった。とはいえ、物体が画面内を激しく移動するようなシーンが少ないため、映像が見にくくなることもなく不定期に訪れる高い3D効果を十分に楽しめた。

 テレビドラマは新旧の作品を複数視聴してみたが、効果はかなり限定される感じだ。もちろん作品にも左右されるが、屋内などで人物の動きが少なめだと背景と人物の分離がうまくできない印象で、エッジが甘くなる古い作品ほどこの傾向が強くなる。これがアクションの多い特撮作品になると、古い作品でも意図的に手前にピントの合っていない建物やがれきがあったりすると、フッと3D効果が現れたりはした(「ウルトラマン80」の場合)。ただ全体的に見れば、3D効果の得にくいジャンルといえそうだ。

プリインストールされたサイドバイサイド方式の3D動画を再生しているところ(画面=左)。一番手前の紙飛行機は左右の目用の像がほとんどズレていないのに対し、左手遠方の船は大きくズレているのが分かる。こちらは2D→3D変換された映像(画面=中央)とオリジナルの映像(画面=右)。3D効果がかなりはっきり現れたシーンで、手前に見える熱帯魚の像のズレ幅と、右手奥にいる魚のズレ方が異なるのが見て取れる。このシーンでは、熱帯魚がサンゴ礁よりくっきり手前に見える

アニメはCG中心の作品が効果大

 アニメは作品ごとの差が特に大きい。比較的3D効果が得られやすいのは制作がCG中心となった近年の作品で、背景がソフトフォーカスだと手前の人物などが浮き上がるような3D効果が出やすいし、雪や花びらが舞うようなシーンでもこれらに対して3D効果が得られやすい。壁など単調な背景を背にして、背景が流れるように人物の移動を表現しているシーンでは、くっきりと人物と背景の距離感が表現されることも多い。ロボットアニメなどの場合、背景が動き続けることが多いせいもあってか、近年の作品でもあまり3D効果は感じられなかった。どちらかといえば、日常を淡々と描くような「けいおん!」のような作品が楽しめる。

 例えば「けいおん!」第1話の冒頭で主人公が桜の木の間を駆け抜けていくシーンをハイアングルから描いたシーンがあるが、桜の花びらが立体的に舞い散る中を、桜の木の下を駆け抜けていく様子がほんの数秒だがしっかり3Dで表現されていた。

 以上、長くなったが3D効果を得られた作品で気になるのは、まず人物がしゃべるシーンなどで口元だけが浮いて見えたりすることだ。実写とは異なり、本当に口元だけがシャープに動くので、人物とは別の物体として識別されてしまうのかもしれない。また、人物が比較的早めに画面内を移動する場面などに波打つように動いて見える場合もあった。

 古い作品に関しては、「鉄腕アトム」(初代、モノクロ)と「マッハGoGoGo」(初代)を視聴してみたが、やはり効果は薄い。どちらもデジタルリマスタリング後で画面の揺れなどはほとんど感じないが、奥行き感を近年の作品ほど写実的には表現しておらず、人物も口だけ、手だけが動くといったシーンが多いせいもあるのだろう。背景も効果線を多用するようなシーンが多く、背景とそれ以外の分離といった処理があまりうまくいかないのではないかと思われる。


本機にプリインストールされたゴルフレッスンビデオの「Vision GOLF 3D」ダイジェスト版

 少々辛口の批評にもなってしまったが、逆に予想以上に3D立体視を楽しめたのも事実だ。実際筆者は、仕事上Blue-ray 3Dも幾度か時間をかけて視聴しているので、2D→3Dのリアルタイム変換はいわゆる擬似3Dと思って軽視していたのだが、それはよい意味で裏切られた。もちろん見る作品次第で効果は千差万別であるし、作品全体を通して3D効果を満喫できるわけではないが、1度見たことがある作品でも3Dで見るとどうなるのかは気になる。この作品はどう見えるだろうと、ついつい予定外の作品を見始めてしまった位だ。

 一方で残念なのは、本機で録画したテレビ番組を3D映像にリアルタイムで変換できない点だ。「Fujitsu PowerDVD9 3D Player」は元々BDメディアやBDタイトルの再生時は2D→3D映像へのリアルタイム変換は利用できないし、CPRMにも非対応なので録画した番組をDVDメディアにダビングしても再生できない。本機で録画した番組をDVDメディアにダビングして再生する場合は、「Corel WinDVD」を利用する形になっている。録画番組を直接リアルタイム変換することは著作権保護の関係上難しいのは分かっているが、せめてDVDへのダビング後に楽しむ手段くらいは備えていてほしいところだ。

 さて、今回はFMV ESPRIMO FH550/3AMの概要と2D→3Dのリアルタイム変換機能に絞って取り上げたが、次回はPCならではといえる3D映像/静止画の作成や、マシンのパフォーマンスチェックなどを行う予定だ。

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