フィル・シラー氏に聞く ライバルが崩せないAppleの優位性と、日本市場への思い:神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

» 2011年12月23日 14時30分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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ローカルニーズに対応しつつ、グローバルへ

―― Appleはグローバルメーカーなわけですけれども、その戦略において、日本市場の位置付けはどのようになっているのでしょうか。

シラー氏 Appleは世界に向けて製品を作っていますが、その中で日本市場は我々にとって歴史のある重要なマーケットです。

 我々にとってなぜ日本市場が重要かというと、(日本の)お客様のニーズとAppleが提供しているものが合致しているからです。例えば、日本のお客様にはデザインをとても重要視していただいています。素材のよさやスリムなフォルム、(Apple Storeをはじめとする)サポートの取り組みなど、Appleが得意とする“総合的な高品質”をしっかりと評価していただけるのが日本のお客様なのです。

―― 確かに日本市場のユーザーは品質やサポートに対する要求レベルが高く、“目利き”であるというのは、多くの海外メーカーが指摘するところですね。

シラー氏 その通りだと思います。日本人は品質に優れた「よい製品」に対して、とても敏感で優れた感性を持っています。ですから、iPhoneの使いやすさやシンプルさの部分を、しっかりと評価していただけている。Appleの考え方と日本市場は、とても親和性が高いのです。

―― 細かな部分ですが、iOS 5では日本の緊急地震速報に対応しました。日本は今年、東日本大震災に見舞われたこともあり、iOS 5によってiPhoneが緊急地震速報対応になったことは、日本のユーザーにとってとてもありがたいことでした。

 この緊急地震速報対応は象徴的な例ですが、Appleのグローバル戦略の中で、日本のニーズへの対応、すなわちローカライズはどの程度のプライオリティをもって取り組まれているのでしょうか。

シラー氏 Appleは自らの製品にも愛情を持っていますが、それ以上にお客様のことを第一に考えています。(お客様に対する)心遣いが大切であり、喜んでもらえる機能やサービスを実現したいと考えています。これはAppleの全社的なポリシーであり、日本法人とも密接に連携してチームを作っています。

 翻って、緊急地震速報対応の部分についてお話ししますと、この機能が日本のお客様にとって重要で大切だと、日本から報告がありました。この機能がAppleにとって直接的なビジネスになるかどうかではなく、日本のお客様にとって大きな必要性がある。その点を重視して、iOS 5で搭載したのです。

―― 緊急地震速報以外にも、日本の“ケータイ文化”の特長だった絵文字に対応したりと、ソフトウェアで実現可能なローカライズを積極的に行っていますね。

シラー氏 Appleは各国・各地域と連携しながら、1つのグローバルチームで動いています。ですから、個々の国のニーズを重視してローカライズしますが、それはグローバル(な製品やプラットフォームに)にフィードバックされます。国・地域ごとにローカライズして作り分けるのではなく、1つの国で何かを学ぶと、それを取り入れてグローバルなものにするのです。

 日本の絵文字はその代表的な例ですね。絵文字は日本の優れたコミュニケーション文化であったことは事実で、まずは日本のお客様のためにiOSに取り入れました。そして、iOS 5を作った時に「iMessage」で絵文字を使えるようにしました。iMessageはグローバルで展開しているものですね。つまり、(iOS 5のiMessageでの対応によって)日本の絵文字を全世界で使えるものにしたのです。

―― 絵文字のグローバル化ですね。

シラー氏 そうです。日本の絵文字はとてもすばらしく、私は妻や子どもたちとのメッセージで絵文字が欠かせないものになりました(笑)。絵文字はとても楽しく、すばらしいものですね。

 この絵文字の例でも、Appleが1つのチームで、1つ1つの製品を手塩にかけて作るメリットが分かると思います。

―― グローバル製品のローカライズですと、多くのメーカーが地域ごとの「作り分け」という手法を採りますが、Appleはそうではない。各地の国・地域のニーズから生じた機能やサービスをフィードバックしていき、それらをソフトウェアに取り入れることで、製品を昇華させているわけですね。

Apple製品同士の親和性の高さ・シームレスな連携が重要

―― 最近ではiPhoneやiPadで初めてApple製品を買うユーザーが増えています。いわば、マイ・ファースト・アップルがiPhoneやiPadになっているわけですが、この状況をどのように見ていますか。

シラー氏 日本でiPhoneやiPadがマイ・ファースト・アップルになっているというのはユニークな傾向ですが、そのような状況になっているのも、マルチタッチジェスチャーによる部分が多いと思います。我々はかつてキーボード中心だったPCの世界に、マウスとGUIをもたらしました。そして今、新たにマルチタッチジェスチャーという次世代のユーザーインタフェース(UI)を作り、旧来の(マウス中心の)UIを代替しています。iPhoneやiPadに搭載されているマルチタッチというUIは、まさに未来を先取りしたものなのです。

 ですから、もしiPhoneやiPadのユーザーがPCが必要になったというのであれば、MacBook Airが最良の選択になります。MacOS X LionとMacBook Airの組み合わせでは、(iPhoneやiPadと同じ)マルチタッチジェスチャーが利用できます。タップやスワイプといったiPhone/iPadでなじんだ操作で、Webサイトやメールが利用できるのです。ユーザー体験に連続性がありますから、多くのiPhone/iPadユーザーの方々に、Macは親しみやすく使いやすいものとなります。

―― 複数のApple製品を使うと分かりますが、ユーザー体験に連続性があり、シームレスに連携するというのは魅力的なポイントですね。

シラー氏 ええ。私たちを取り巻くデジタル製品は増えてきていますので、それらの使い勝手がバラバラで、きちんと連携・統合されていないとストレスがたまるわけですね。我々がiCloudを作ったのも、クラウドを中心にデータの連携をすることで、お客様により使いやすい環境を提供するためです。

―― 今年のクリスマス商戦、そして来春の新生活商戦で新たにApple製品の購入を検討している人に何かメッセージはありますか。

シラー氏 近ごろアメリカで行われた調査によると、iPadやiPhone、iPod touchなどのApple製品が、クリスマスプレゼントとしてほしいものの上位を占めました。このようにApple製品は多くの人々に評価されているものですので、ぜひ一度、手にとって試していただければと思います。

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