| 評価機の主なスペック | |
|---|---|
| CPU | Xeon W3540(2.93GHz) |
| チップセット | Intel X58 Express |
| メモリ | 2Gバイト×3(ECC付きDDR3-1333) |
| GPU | Quadro FX 1800(G94コア) |
| グラフィックスメモリ | GDDR3 768Mバイト |
| HDD | HGST HDP725025GLA(Cドライブ)、WD WD5000AAKS(Dドライブ) |
| 光学ドライブ | 日立LGデータストレージ GH40L |
| 有線LAN | Broadcom 5764 GbE ×1 |
| USBポート | 8(前面×2、背面×6) |
| OS | 64ビット版Windows Vista Business(SP2) |
さて、実際に電源を投入して気づくのは、やはり静かだということだ。もともと、ケース内のファンが少ないZ400は、決してうるさいほうではないが、水冷化されたことで、さらに静かになった。後述のベンチマークテストで負荷をかけても、ファンの音が耳障りになることはなかった。
また、水冷による冷却効率の向上は、Nehalem世代のCPUが搭載するTurbo Boost Technologyが有効になるチャンスを増大させる。TDPに余裕がある場合、133MHz刻みでCPUコアの動作クロックを引き上げるTurbo Boost Technologyがどれくらい利用可能であるかは、CPUの温度にも大きく影響を受ける。水冷システムは空冷システムよりTurbo Boost Technologyが有効になっている時間が長いと考えられる。
評価機は6Gバイトのメモリを装備していたが、なぜかプリインストールOSが32ビット版のWindows XP Professional(SP2)であったため、別途64ビット版Windows Vista Business(SP2)をインストールして、いくつかのベンチマークテストを実行した。
まず計測したのが、Windows VistaのWindowsエクスペリエンスインデックスだが、以前にZ600を取り上げた時と同様、テストを完了することができなかった。両者に共通するのがQuadro FX 1800であることから、グラフィックスカードを手持ちのATI(AMD)Radeon HD 4850に差し替えてインデックスを計測した(結果はすべて5.9であまり面白いものではなかったが)。
Quadro FX 1800は、コンシューマー向けのGeForce 9600シリーズと同じG94コアから派生した、プロフェッショナル向けのGPUだ。が、GeForce 9600シリーズでWindowsエクスペリエンスインデックスが計測できないということはない。Quadro FX 1800でインデックスの計測ができないということは、CADや3Dアニメーションなどのワークステーションアプリケーション(多くはOpenGLアプリケーション)に対して最適化されたドライバやファームウェアにより、同じグラフィックスコアといえど、全く異なる性格のGPUになっていることの証かもしれない。
さて、ベンチマークのスコアだが、全体的に見てかなり優秀なほうではないかと思う。今回、同じシステムで冷却が空冷の場合との比較をすることはできなかったが、Z800の時に参考に比較したCore i7 Extreme 965(定格動作クロック3.2GHz)ベースのシステム(空冷)と比べても、かなり近いスコアになっているものが多く見受けられる。スコアにおけるクロック差を縮めている要因の1つはTurbo Boost Technologyであり、それを発揮しやすくしている水冷システムのおかげではないかと思う。なお、PCMark VantageのTV and Moviesは、OSがWindows Media Centerを持たないため一部のテストが省略されている。
HPのインテルベースのワークステーションでエントリーに位置づけられるZ400は、安価な代わりに上位モデルのような独自性は見られない。しかし逆に考えれば、マザーボードや電源など普通のPCに近い構成のため、一般のユーザーがPC代わりに使っても違和感が少ない。水冷システムを採用した最小構成で17万円台という価格は、昨今のPCとしては決して安くないが、これはあくまでも標準価格だ。折を見て実施される各種のキャンペーンをうまく利用すれば、安価に購入できる可能性は高い。本稿執筆時点でも、空冷のシステムが最小構成で10万円を切るキャンペーンが行われており、単純に水冷ユニットを5250円だとすると10万円そこそこでメーカー保証のある水冷PCが買える、ということになる。
もちろん、ワークステーション用のグラフィックスカードを加え、本来のワークステーションとして用いても十分な性能を発揮してくれるだろうが、電源容量の関係から、ハイエンドのグラフィックスカードを利用するのは少々厳しい。こうした用途には、やはりZ600やZ800といった上位モデルのほうが適しているだろうが、金融関係等のマルチディスプレイ用途やエントリー3Dクラスのアプリケーションなら、このZ400が最適な答えとなるだろう。
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