3月9日、日本ヒューレット・パッカード(HP)が東京で「HP 2010:ELEVATE」と題したイベントを開き、新しいビジネス向けソリューションや新モデルを発表した。
イベントの冒頭では、日本HP 取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 岡隆史氏が登壇した。「HPはワールドワイドで毎秒2台、年間で6000万台のPCを出荷している。日本で2009年に出荷されたPCは1340万台だが、その約4.5倍のPCをワールドワイドで出荷している計算になる」と世界シェアナンバーワンの現状をアピール。「一方、直近のデータでは国内のビジネスPCで3位のシェアに到達できたとはいえ、日本ではまだまだチャレンジャーの立場に変わりはない。トップシェアまで行けるよう、日々チャレンジしている」と述べた。
加えて、岡氏は「本日の発表では、オフィス向けと学校向けのソリューションを新たに展開する。日本HPは教育分野をほとんどやっていないが、世界と同じ範囲に持って行き、日本でも台風の目になって存在感を強めていきたいと考えている」と訴えた。
続いて、HP アジアパシフィック&ジャパン パーソナル・システムズ・グループ 上級副社長 シー・チン・テイク(See Chin Teik)氏が、「ビジネスの向上にむけて」と題した基調講演を行った。「2009年は非常に厳しい経済状況に見舞われ、多くの企業がコスト削減を行い、今でも絶え間なく続いているが、2010年は回復の年になると考えている」と述べた。「ただ、顧客の要望は常に変化しており、IT管理者が抱えている柔軟性やコストといったプレッシャーにも対応しなければならない。これからはビジネスの成長にどれだけITが貢献できるのかが大事だ」と指摘し、「HPではビジネスの成長を目指したITの活用、持続可能性を実現するグリーンITの活用、そして優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供することで、顧客が抱える課題を解決していく」と主張した。「HPは単なるハードウェアやソフトウェアだけでなく、ソリューションを皆さんに提供できる立場にあり、ガートナーのチャートによるとHPは業界のリーダーに位置する」と自信を示した。
次に本日発表となる新しいソリューションとして、「HP MultiSeat Computing」が紹介された。日本HP クライアントソリューション本部 本部長 九嶋俊一氏は、「教育市場では、限られた予算の中で教育にどれだけ力を入れていけるかが大事だ。教育自体を支えるITの提供もHPの役割だが、ITそのものが読み書きと同レベルで重要な地位を占めている現在、低予算で学習効率を高める革新的なコンピューティング環境を実現するソリューションが、HP MultiSeat Computingだ」と紹介した。
MultiSeat Computingは、ホストPCとなる「HP MultiSeat ms6000 Desktop」と、クライアントの「HP MultiSeat t100 Thin Client」で構成される。ホストPCとはUSBで接続され、ホストPC1台に付き最大10台のクライアントデバイスを接続できる。ホストPCにはWindows Server 2008 R2をベースに、マイクロソフトが開発した「Windows Multipoint Server 2010」がインストールされており、リモートデスクトップサービス経由でクライアントがアクセスする仕組みだ。
同社では、学校のPC教室や図書館の検索システムでの利用を主に想定しており、40人の教室で考えた場合、1台あたり2万2900円で端末を用意できるコストパフォーマンスのよさとともに、消費電力も一般のデスクトップPCに比べて約85%削減可能な点をアピールしている。また、Windows 7と同じGUIを提供しており、アプリケーションの互換性がある点も見逃せない。
九嶋氏は、「同じ予算で倍のPCを導入できるというお得なソリューションがHP MultiSeat Computingの特徴だ。現在、教育現場で米国は3人に1台、シンガポールは2人に1台のPCが割り当てられているのに対し、日本は7.2人となっている。しかし、MultiSeat Computingを導入すれば、同じ予算で3.6人まで向上させることが可能である」と、同ソリューションのメリットを強調した。

日本では未発表のプロフェッショナル向け液晶ディスプレイ「HP ZR24w」(写真=左)と、デジタルサイネージ向けの42型ワイドタッチパネル液晶ディスプレイ「HP LD4200tm Widescreen LCD Interactive Digital Signage Display」(写真=右)。どちらも参考出品で、タッチ操作が可能なLD4200tmの価格は3900ドルという
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