「内側のデザイン」とも言えるグラフィックにこだわった。従来のXperiaから継続してきたテーマ「Flow」を継承し、ライブ壁紙では初めて「Cosmic Flow」を用意した。7色の「テーマ」ごとにCosmic Flowのカラーも変更される。設定の深い階層もテーマごとの色で統一されている。ウィジェットも見せ方にもこだわり、タップすると拡大表示するWi-Fi・Bluetooth・GPSなどのツールウィジェット、太陽や雨などがリアルに表示される天気予報ウィジェットをプリセットした。Timescapeウィジェットも一新した。ソニーモバイルが用意したプリインアプリもアイコンのデザインを変更している。「カメラアイコンもデジタル一眼レフカメラをモチーフにした高精細なものになっています」(内田氏)。電卓、時計、カレンダー、FMラジオなどアプリ自体の見栄えも変更されている。こうしたリッチなグラフィックは、「ディスプレイが720pに高解像度化したことに伴い、見栄えに気を遣った」(内田氏)ことで採用された。
一方、ディスプレイの高解像度化によりバッテリーが減りやすくなることが心配されるが、内田氏は「そうならないよう、ソフトもハードも含めてチューニングしています」と説明する。グローバル向けモデルではソニーモバイル独自の省電力機能を用意しているが、Xperia NXはドコモの「ecoモード」で省電力の簡単な設定が可能になる。
戻る/ホーム/MENUキーが物理キーからセンサーキーとなったのは、操作性に大きく直結する変更点だ。センサーキーなら表面をフラットに仕上げられるが、スリープ時からの復帰に上の電源キーを押す必要があるので使い勝手の上ではマイナスとも感じる。内田氏によると、今回センサーキーとしたのは「今後のAndroid OSとしての流れを見据えたため」だという。ただ、「これ以上物理キーを作らないと言っているわけではありません。現状はこの形で進めていくということです」とのことなので、Xperia arcのように物理キーを採用したモデルも今後登場するかもしれない。
本体の重さがXperia arcの約118グラムから約144グラムに増えたのも気になる。内田氏は「ディスプレイが大きくなり、デュアルコアCPUのチップセットを採用し、バッテリーも1700mAhにアップしています。いろいろな要因、細かい積み重ねがありますが、それでもこのサイズ、重さに抑えられたと思っています」と話す。Floating Prismの透明素材自体はプラスチックなので、これが重さに影響したわけではないとのこと。バッテリーをユーザーが取り外せない内蔵型としたのも、サイズを優先したため。
ソニーモバイルとしてソニーの100%子会社となったことで、ソニー・エリクソン機器やコンテンツとの連携がますます加速することが期待される。カメラではCyber-shotのモバイル向けセンサー「Exmor R for mobile」、高画質化技術には「モバイルブラビアエンジン」を引き続き搭載している。プレイステーションのゲームを遊べる「PlayStation Certified」もサポートしている。音楽機能にはマニュアルイコライザーや、重低音・バランスを重視したクリアオーディオ、臨場感あふれるサラウンドオーディオなど、Walkmanでもおなじみの技術を取り入れている。ただ、Walkman向けの楽曲管理ソフト「x-アプリ」とXperia NXが連携しない、PC向け音楽配信サービス「mora」で購入した曲をXperia NXに転送できないなど、ソフトウェアやコンテンツ面で不十分と感じることもある。内田氏はさらなるWalkman連携については「いろいろな話はしているので、今後の進化に期待いただきたい」とした。次期モデルはハードとコンテンツの両面でさらに連携が深まることを期待したい。
日本ではXperia NXのほかにXperia acro HDも発売されている。NXとacro HDのソフトウェアは共通だが、デザインも含めてソニーモバイルが正統進化させたスマートフォンは、Xperia NXだろう。スペックはもちろん、Floating Prismや彫刻のようなたたずまい、新しい質感からは、ソニーモバイルらしい唯一無二の体験を得られるはずだ。
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