“LTEといえばLG”をアピールしたい――「Optimus LTE L-01D」で先進性を打ち出すLG

» 2011年10月24日 14時30分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 LTE方式に対応し、4.5インチのIPS True HD液晶ディスプレイを搭載したLGエレクトロニクスの「Optimus LTE」は、同社のフラッグシップモデルとして全世界のLTE事業者向けに販売される予定の製品だ。日本でもNTTドコモの2011〜2012年冬春モデルへの採用が決定し、「Optimus LTE L-01D」として12月に発売される予定である。

 韓国のピョンテク市にあるLGエレクトロニクスの「LG Digital Park」ではスマートフォンを中心とした高付加価値製品の開発が行われている。同社が開催した日本向けのメディアツアーに参加し、Optimus LTE開発の背景をうかがった。

世界No.1のLTE技術を持つLGエレクトロニクス

photo 韓国・ピョンテク市の広大な敷地にあるLG Ditigal Park

 LGエレクトロニクスは、NTTドコモが2010年12月にLTE方式の「Xi」サービスを開始した際にUSBデータ通信端末「L-02C」をいち早く投入、またXi対応初のモバイルWi-Fiルーター「L-09C」も発売するなど、LTE製品で常に他社を一歩リードしてきた。10月18日に行われたNTTドコモの新製品発表会で発表されたL-01Dも、Xiに対応するスマートフォンだ。

 同社は1996年に世界初のCDMA方式の端末の製造を開始して携帯電話市場に参入、2003年には世界初のW-CDMAデュアルモード・デュアルバンド端末を市場に投入している。そして2008年には世界初のLTE端末向けベースバンドチップを開発、2009年にはモバイルLTEのハンドオーバーをデモ、2010年には米国と日本向けに世界初のLTEモデムを投入するなど、ここ数年はLTE関連で業界をリードしている。2011年9月現在、LGエレクトロニクスが保有するLTE関連の特許数は世界の23%、特許資産価値は79億ドルでQualcommを抜いており、どちらも世界1位となっている。

photophoto LGエレクトロニクスの携帯電話市場参入の歩み(写真=左)。2011年にはLTE特許で世界一の座を確保している(写真=右)

 特許の保有だけではなく、自社でチップセットの開発も行っていることがLGエレクトロニクスの大きな強みである。また同社はグループ企業に高品質なディスプレを開発するLG Displayや高容量バッテリーの開発も行うLG Chemなども傘下に置いている。携帯電話の主力部品の大半をグループ内で開発している結果が、「世界初機能」を搭載したスマートフォン製品群を矢継ぎ早に投入する快挙を生み出しているのだろう。

 端末の開発は米国とフランス、そして韓国の先進国3拠点に加え無線技術に強いロシアも1カ所を構えている。またデザインセンターは日本やイギリスなど世界6カ国に設置し、最新のトレンドを製品に取り入れることにも注力している。一方、新興国向けの製品はインドと中国、ブラジルに開発と生産を集中させており、ハイエンドスマートフォンは先進国を中心とした開発体制を、エントリー向けのフィーチャーフォンは新興国に拠点を分離することで、各国市場向けに最適化した製品を迅速に投入することが可能になっている。

 LGエレクトロニクスは2011年に世界初のデュアルコアプロセッサ搭載「LG Optimus 2X」、同じく世界初の3D対応スマートフォン「LG Optimus 3D」、同3D対応タブレット「LG Optimus Pad」などを相次いで投入している。このようにスマートフォン分野でもテクノロジー・リーダーとしての力を発揮している同社の開発技術力の集大成ともいえる製品がOptimus LTEなのである。

photophoto 子会社にも携帯電話主力部品メーカーを持つのが強み(写真=左)。2011年には相次いでフラッグシップ製品を発売している(写真=右)
photophoto 韓国LT U+向けの「Optimus LTE LG-LU6200」(モックアップ)。EV-DOとLTEに対応する(写真=左)。NTTドコモ向けの「Optimus LTE L-01D」。ボディカラーは2色(写真=右)

Optimus LTE L-01Dが優れる「3つのポイント」

 Optimus LTEは高速なLTE方式に対応したハイエンドスマートフォンである。LGエレクトロニクス・ジャパンのモバイルコミュニケーション・プロダクトグループ課長、キム・ヒチョル氏は「Optimus LTEはLTEを快適に利用することを考えた製品」であるとし、製品の3つの特徴を説明した。

 まずLTEは3G方式よりも10倍高速な通信環境を利用できることから、音楽やビデオのダウンロードが快適に行えるだけではなく、HD画質の動画などより大容量、高品質なコンテンツの利用が一般的になるだろうとのこと。そのため「ベースバンドチップだけではなく、CPUやディスプレイも最高のものを搭載することがLTEスマートフォンには必須の条件となる」とキム氏は説明する。

 Optimus LTEはデュアルコア、1.5GHzと業界でも最速のCPUと、1GバイトのDDR2メモリーを搭載することで、高速かつ優れたバッテリー効率を有しているとのこと。OSはAndroid 2.3 Ginger Breadを採用することでアプリケーションの実行速度やメモリーの有効利用が可能となり、フルHDの動画やオンラインゲームなどの再生実行にも優れた能力を発揮できるという。実効速度だけでもOptimus LTEは従来のスマートフォンを大幅に超えるスペックを有している。

photophoto LTEスマートフォンは高速かつ大容量コンテンツの利用が一般的となる(写真=左)。デュアルコアCPUや最新OSの搭載により処理速度を高速化(写真=右)

 ディスプレイは4.5インチのIPS True HD液晶を採用。IPS液晶は有機EL(AMOLED)と比較して自然な色再現性に優れており、消費電力も少ないという長所がある。屋外の直射日光下や、左右の広い視野からも鮮明な画像表示が可能だ。そして16:9、1280×720ピクセルのディスプレイはHD動画をフルスクリーンで再生できるだけではなく、人間の目で認識できる329ppiという高密度を実現したことから、ワイドVGAディスプレイの2倍の情報を表示しながら細かい文字までくっきりと表示することができる。

photophoto 4.5インチ、IPS True HD液晶を搭載(写真=左)。有機ELよりも色再現性が高いという(写真=右)
photophoto 1280×720ピクセルの高解像度を実現(写真=左)。1インチあたり329ピクセルの高密度(写真=右)

 そして3つ目のポイントは、日本の消費者が日常的に利用する機能を搭載したことだ。これまで同社が日本で発売したスマートフォンは、グローバルモデルをそのまま日本向けにローカライズしただけの製品が多く、機能一覧表で他社品と比較を行うと「非対応の機能ばかりで、製品の良さをアピールすることがなかなか難しかった」(キム氏)。だがL-01Dはグローバルモデルに日本固有の機能を内蔵。ワンセグはもちろん、おサイフケータイにも対応したことで国産メーカーに見劣りしていた点を払拭、Xi対応スマートフォンとして最上位に位置する製品に仕上げられている。

 「グローバルパフォーマンス」に「日本独自の機能」を融合した「Xi対応ハイスペックスマートフォン」。キム氏はOptimus LTEの優位性をそう説明し、「LTEといえばLG、そのように日本でも当社の先進性を大きくアピールしたい」とOptimus LTEの日本投入にかける意気込みを語った。

photophoto 日本固有の技術やサービスにもほとんど対応している(写真=左)。LTE技術の優位性を日本でもアピールしたいと話すキム・ヒチョル氏(写真=右)

日本向けのアクセサリーも販売

 本体のカラーは高級なマット感のあるブラックと、メタリックな外周部と背面のカラーが鮮やかなレッドの2タイプ。ブラックはグローバルモデルよりも裏面のバッテリーカバーを落ち着いた色調にしており、また女性ユーザーのスマートフォンへの興味が高まっていることから、日本向けには深い色彩のレッドモデルが投入される。

 無料で利用できるアプリケーションストア「LG World」も日本市場で提供する。人気ゲームや電子書籍が無料配信されるほか、毎週更新される韓国ドラマやバラエティ放送が提供される。Android端末標準のAndroid マーケット、NTTドコモが提供するドコモマーケットとあわせ、多数のアプリケーションやコンテンツを利用できる。

 Optimus LTEで動画コンテンツを視聴する際などに利用できる卓上ホルダも日本向けに投入される。裏面には予備バッテリーを充電するホルダーがあり、本体が満充電されると自動的にバッテリー充電に切り替わるなど、使い勝手も良い。この製品は日本からグローバル向けに逆輸入される可能性もありそうだ。

photophoto L-01Dの本体カラーは日本専用(写真=左)。無料ストア「LG World」を提供(写真=右)
photophoto 充電もできる卓上ホルダ(写真=左)。裏面では予備バッテリーも充電できる(写真=右)

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