SSD+HDD/HDD/SSD搭載の新型「LaVie Light」3モデルを徹底的にテストしたSSD+HDDの効果は!?(2/2 ページ)

» 2009年07月03日 16時16分 公開
[田中宏昌(撮影:矢野渉),ITmedia]
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Windowsの起動時間はSSD搭載モデルが有利

Windowsの起動時間などを比較したグラフ

 ここからは、ベンチマークプログラムを使って新型LaVie Lightと従来機(春モデル)のパフォーマンスやバッテリーの駆動時間、Windows XPの起動時間などを細かく比較していこう。まずはWindowsの起動、休止状態およびスタンバイへの移行と復帰に要する時間を比べた。Windowsの起動時間は、電源ボタンを押してからタスクトレイに全アイコンが並んでポインターの砂時計表示が消えるまでだ。

 Windowsの起動時間は、やはりSSDを搭載したBL350シリーズやBL100/TAが有利だ。特に最上位モデルのBL350シリーズでは、旧モデルより約30%高速化しているのが分かる。そのほかの結果もおおむねSSDがリードしているが、起動時間ほど決定的な差が出ていないのが実情だ。

ストレージのパフォーマンスは一長一短

 次にSSDとHDDのパフォーマンスを詳しく調べるため、CrystalDiskMark 2.2.0でシーケンシャル/ランダムの読み出し/書き込みの性能を計測した。結果は予想通り、SSD/HDD搭載モデルともに、Atom N280(1.66GHz)を搭載した上位モデルのスコアが良好で、SSDは読み出しの性能(特にシーケンシャル)が高い半面、書き込みはHDDに譲る形だ。

BL350シリーズ

SSDのCrystaDiskMark 2.2.0画面(写真=左)とHDDの画面(写真=中央)。ディスクの管理画面(写真=右)。SSD(Cドライブ)の空きは約3.22Gバイト、HDD(Dドライブ)はほぼすべてが空いている

BL310/BL300シリーズ

HDDのCrystaDiskMark 2.2.0画面(写真=左)。パーティションはCドライブが83.8Gバイト(写真=中央)、Dドライブは60.3Gバイトだ。ディスクの管理画面(写真=右)。リカバリ領域は約4.87Gバイトある

BL100/TA

SSDのCrystaDiskMark 2.2.0画面(写真=左)。Cドライブの空き容量は約4.56Gバイトある(写真=中央)、リカバリ領域は約4.19Gバイトだ(写真=右)

BL100/TAシリーズ(春モデル)

HDDのCrystaDiskMark 2.2.0画面(写真=左)。容量160GバイトのHDDはCドライブが約141.56Gバイト、Dドライブが約3.73Gバイト、リカバリ領域が約3.75Gバイトのパーティションで構成されている

PCMark05ではSSD搭載モデルが優勢

 続いては、PC USERでおなじみの総合ベンチマークテストであるPCMark05、3Dグラフィックステストの3DMark06と、ゲームベンチマークテストのFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3を実施した。なお、PCMark05とFF XIベンチについては、アナログRGB出力で外部ディスプレイに接続(1024×768ドット)した状態でテストを行っている。

 PCMark05では、SSD搭載モデルのHDDスコアがHDD搭載モデルの2倍前後を記録したため、総合スコアで頭ひとつ抜け出た格好だ。逆にCPUやMemory、Graphicsなどのスコアは旧モデルを含めて大差はなく、どれもNetbookとしては平均的な値にとどまる。

 3DMark05とFF XIベンチの成績は、CPUクロックが高いBL350やBL310/BL300シリーズが若干リードする形だ。もっとも、グラフィックス機能は従来と同じIntel 945GSE Expressチップセット内蔵となるため、Netbookとして平均的な値に変わりはなく、ゲーム用途には向かない。

PCMark05のテスト結果
3DMark06のテスト結果
FF XIベンチの結果

 発熱面では、SSDとHDDを内蔵したBL350で計測したところ、システムに高い負荷をかけ続けた状態で底面中央と左側面の排気口近くで40〜42度を記録したものの、パームレストやキーボード面で35度を超えるところはなく、不快な熱は感じなかった。ただ、LaVie Lightは従来モデルも積極的にファンを回してボディの発熱を下げていたが、新モデルでもその傾向を受け継いでおり、非常に静かな環境ではアイドル時でもファンの風切り音が気になる場合もあった。

新型LaVie Lightでは大容量の6セルバッテリーが利用可能

各モデルのバッテリー駆動時間

 最後に、携帯利用で重視されるバッテリー駆動時間のテストを行った。無線LANでインターネットを利用するシーンを想定し、BBench 1.01(海人氏作)を用いて10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11g)によるインターネット巡回(10サイト)を行う設定でテストした。画面輝度は最高(8段階に切り替え可)で、Bluetoothの電源はオフにしている。

 前回の記事で触れた通り、夏モデルでは3セルバッテリーに加え、6セルの大容量バッテリーが登場したのがトピックだ。BL350は6セルバッテリーが標準で付属しており、バッテリー駆動時間はカタログ値でも約7.4時間と長い。とはいえ、6セルバッテリーを装着するとバッテリーが底面に約5ミリ、背面に約20ミリ出っ張り、重量も3セルバッテリーに比べて約170グラム増加するほか、バッテリーの充電時間も約4.6時間と長めになる。また、6セルバッテリー(および新型LaVie Light用の3セルバッテリー)はBL100/TAや従来モデルでは利用できないので注意が必要だ。

 バッテリーの容量は、6セルバッテリーが10.8ボルト 5800mAhで重量は約350グラム、新型LaVie Light用の3セルバッテリーは10.8ボルト 2900mAhで約178グラム、BL100/TAや従来モデル用の3セルバッテリーは10.8ボルト 2400mAhで約170グラムとなっている。

 テストスコアを見ていくと、6セルバッテリーではBL350が約6時間、BL310/BL300シリーズで約6時間10分と長時間の駆動を実現した。一方、3セルバッテリー搭載時ではそれぞれ約2時間45分/約2時間48分とNetbookとしてはまずまずの値を残した。BL100/TAは約2時間37分、従来モデルは約2時間32分となっており、バッテリーの容量自体が増えた新型LaVie Lightがわずかではあるがリードしている。バッテリーの駆動時間はNetbookのアキレスけんとなっているだけに、6セルバッテリーを利用できるのはうれしい。単体で2万円前後とNetbook自体の価格を考えると安くはなく、装着時は重量やサイズが増えるが、出先で長時間使う場合は6セルバッテリーが必須だろう。

6セルバッテリーを標準で備えたBL350。バッテリーは出っ張るが、持ち運ぶ際に取っ手代わりとなるのでハンドリングは良好だ
BL310/BL300シリーズは3セルバッテリーを搭載するので、バッテリーが出っ張らない
従来モデルのボディを継承したエントリーモデルのBL100/TA。3セルバッテリーを搭載するが新型と互換性はない

 以上、3回にわたって新型LaVie Lightをチェックした。各社から相次いで新モデルが登場し、激戦が続いているNetbook/低価格ミニノートPCだが、新型LaVie LightではSSDを採用しHDDとのハイブリッドモデルを投入してバリエーション展開を図った。容量の少なさやプチフリーズといったSSD特有の弱点を抱えているのは事実だが、着実なパフォーマンスアップは果たしており、ほかにも画面解像度の大型化、無線LANの高速化やBluetoothの標準搭載、そして純正の大容量バッテリーが用意されるなど、地味ながら着実に機能強化を果たしているのが分かる。辞書ソフトウェアやWebカメラ活用ソフトウェアのプリインストールも目を引くところだ。

 ボディの質感やデザインは、新モデルが登場した富士通の「FMV-BIBLO LOOX M」に近く、スペックや実売価格も拮抗(きっこう)している(BL300シリーズの場合)。LaVie Lightならではのアドバンテージという意味では、やはりハイブリッド仕様の最上位モデルBL350シリーズがふさわしい。前回の記事(新型「LaVie Light」3モデルの使い勝手をチェックした)で触れた通りSSDの空き容量が少なく、快適に使うためにはユーザーにある程度のPCリテラシーを必要とするが、SSDによる高速起動や長時間のバッテリー駆動は魅力的だ。実売7万円前後(BL350の場合)とNetbookの中では高い部類に入るが、一度店頭で実機に触れてNECの意気込みを感じ取ってみるのも一興だ。

 なお、同社直販のNEC Directでは、仕様のカスタマイズはできないが、USB接続のDVDスーパーマルチドライブやPC3年間安心保証がセットになったモデルが用意されているので、こちらを使うのも手だ。

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