キーボードはキー間隔を離したアイソレーションキーボードを装備。キーピッチは約17ミリと十分な広さだが、ボディの薄型化を優先した関係でキーストロークは約1.2ミリと浅い。これはVAIO Pと同じキーストロークで、ストロークが浅いぶん、キートップがふらついたりしないため、数字から受ける印象よりはだいぶ入力しやすい。軽い力で入力できるが、クリック感がきちんとある。
キーレイアウトについては、Enterキー周辺に変則的なピッチのキーが見られるが、全体的に無理がない配列だ。各キーのサイズは、アルファベットなどの主要キーが約13×11ミリ、最上段のキーが約11×9ミリ、スペースバーは約38×11ミリ。キーサイズは小さいが、主要キーは上下/左右のキー間隔が4ミリ程度離れており、誤って隣接するキーを押してしまうようなことは少なく、タッチタイプも十分行える。
ただし、最下段のキーの下にはすぐに段差があり、スペースバーを押すと親指がぶつかるのが少し気になった。また、VAIO Xはキーボードユニットの下にボディの骨組みとなるフレームがないため、キーボードを強めに押すと中央部にたわみが生じる。キーを打つ力が強いユーザーなどでは、この点が気になるかもしれない。なお、VAIOオーナーメードモデルでは英字キーボードも選択できる。
タッチパッドはシンプルな2ボタン式だ。パッドのサイズは54×40ミリで、ボディと比べて少し小さめだ。左右ボタンのサイズは26×13ミリと不満はない。タッチパッドにはアルプス電気製の多機能ドライバが導入され、マルチタッチのジェスチャーに対応。2本指を使ったピンチズームやフリックといった操作が可能だが、パッドの面積が少し狭いのでマルチタッチは難しく、快適さに欠ける。
また、デフォルトでパッドの右端/下端を利用した上下/左右のスクロール機能がオンになっているが、ポインターを移動しようとしてスクロール機能が働いてしまうことがあり、オフにしたほうが使いやすかった。
もっとも、パッド自体はさらさらとした手触りで滑りがよく、ボタンはストロークが浅めながら適度なクリック感があり、押しやすい。マルチタッチなどの付加機能を使わなければ、操作性に不満はない。
一般にタッチパッドの位置はキーボードのホームポジション直下が使いやすいとされるが、VAIO Xのタッチパッドはボディの左右中央にあり、サイズも少し小さめになっている。これは、タッチパッド左右のスペースにはバッテリーセルがすき間なく入っていて、パッドを移動したり大きくする余裕がなかったからだ。そのぶん、薄型軽量かつ長時間駆動が行えるので、これくらいなら取るに足らない問題といえる。
以上、VAIO Xの特徴と使い勝手を中心にレビューした。薄さと軽さ、バッテリー駆動時間の優位性はいうまでもないが、外装の質感、堅牢性、通信環境、インタフェース、液晶ディスプレイ、入力環境といった部分も総じて完成度が高い。さすがにVAIOの開発陣からの強い要望で製品化した特別なモデルだけはある。
近日公開する予定の後編では、仕様の異なる複数台のVAIO Xをテストし、気になるパフォーマンスをはじめ、バッテリー駆動時間、スリムボディの発熱やファンの騒音などを検証していく。
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