素材とUIでスマートフォンを差別化、FeliCaも検討――HTC

» 2010年11月12日 19時12分 公開
[田中聡,ITmedia]

 HTCは11月12日、プレスセッションを開催し、同社のスマートフォンに関する製品戦略を説明した。HTCは2010年4月にソフトバンクモバイル向けに「HTC Desire X06HT」、10月に「HTC Desire X06HTII」、11月12日には「HTC Desire HD 001HT」を発売した。またイー・モバイル向けには「HTC Aria」を2010年内に供給する予定で、Android端末の投入で日本でも存在感を高めている。

クラウドサービス「HTC Sense.com」を提供

photo HTCコーポレーションCPO(最高製品責任者)小寺康司氏

 HTCコーポレーションCPO(最高製品責任者)の小寺康司氏は、HTCがグローバル市場ではAppleに次いでユーザーの満足度が高く、店頭での人気もトップのポジションを取り続けているなど、HTC製スマートフォンのシェアが世界で伸び続けていることを強調。また、HTC独自のユーザーインタフェース「HTC Sense」も大きな差別化ポイントとなっていることをアピール。今後はスマートフォン事業に専念し、タブレットデバイスなどの開発は行わない。「イノベーションをテーマにして、いかに早く優れた商品を投入するかを考えていく」(小寺氏)

 「世界のWindows phoneのうち、2台に1台がHTC端末」であることから、日本市場への投入も含め、Windows Phone 7対応モデルの拡充も期待される。

photophoto 2010年のユーザー満足度は、HTCがAppleに次ぐ2位を獲得している(写真=左)。スマートフォンの収益が2008年から毎年増えている(写真=右)
photo 「HTC Desire HD 001HT」

 ソフトバンクモバイルから発売されたHTC Desire HD 001HTは、4.3インチのワイドVGA液晶や800万画素カメラを搭載したハイスペックなAndroid端末。小寺氏は電源を入れてから10秒で起動する、720×1280ピクセルで撮影した動画をDLNA経由でテレビで再生できる、などの特長をアピールした。ちなみに、商品名に付けられた「HD」は、ハイビジョン動画の撮影機能を意味する。

 PC上にアドレス帳、メール、カレンダー、SNSなどの各種データをHTCのサーバにバックアップできる「HTC Sense.com」が、日本では001HT向けに2011年1月から提供される(海外では提供中)。ユーザーはアカウントを登録することでHTC Sense.comを利用できるので、電話番号を変えた場合でも、アカウントの設定から番号を変えれば継続して利用できる。

 小寺氏が「さらに進んだサービス」と話すのが、端末を紛失した際に、強制的に音を鳴らせる機能。これにより、001HTがマナーモードの状態でも周囲の人に端末の存在を知らせられる。端末を自宅に忘れてしまった場合に役立つのが、001HTあてにかかってきた電話をほかのケータイや固定電話に転送する機能。さらに、端末の紛失後にパスワードロックをかけ、見つけた人は電話をしてほしい旨のメッセージをホーム画面に表示する機能も提供する。

 HTC Sense.comは現在のところ日本では001HTのみ対応する予定で、X06HT/X06HTIIについては「検討中」とのこと。またWindows Phone 7端末は対応しない。

photophotophoto PCと連携してデータのバックアップや着信の転送、端末のロックができる「HTC Sense.com」

日本独自機能の採用も検討する

photo 左からiPhone 3GS、001HT、GALAXY S。001HTはディスプレイが大きい分、ボディも大柄だ

 日本では2010年冬〜2011年春にかけて、国内メーカーはシャープと東芝、海外メーカーはSamsung電子、LGエレクトロニクス、Pantech&Curitel、ZTE、Huawei、Dellなど多くのメーカーがスマートフォンを投入する。こうした多彩な製品群における001HTの優位性は「デザインや素材、独自UIのHTC Sense」にあると小寺氏は話す。001HTにはアルミの削り出しをボディに用いており、ほかのスマートフォンにはない高級感を目指した。ボディカラーはブラック系の色が中心だが、今後は多色展開も検討しているとのこと。また、iPhoneと比較されることも多いタッチパネルについても、HTC Desireからチューニングを施した。

photophoto 001HT

 日本向けのローカライズについては、基本的には日本語に対応したのみだが、「今後は日本向けのアプリをプリインストールすることも検討している」という。ただしSamsung電子が同社向けスマートフォンに展開している「Samsung Apps」など、メーカー独自のアプリストアを提供する予定は現時点ではない。

 ロンドンの発表会では、HTC Desire HDと同時に、QWERTYキーボード付きの「HTC Desire Z」も披露されたが、こちらは日本では発売されない。小寺氏によると、日本ではフルキーボード付き端末があまり普及していないため、今回は見送ったとのこと。

 シャープと東芝は、ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイなど日本独自の機能を備えたスマートフォンを供給するが、海外メーカーはこの部分はキャッチアップできていない。小寺氏は「FeliCaなどの搭載は検討しているが、(次世代の近距離無線通信規格の)NFCを採用するなど、グローバルの基準に沿う形になる」と話す。HTC製のスマートフォンが単独でワンセグやおサイフケータイを搭載する可能性は低そうだ。

 現在、HTCはソフトバンクモバイル向けを中心にスマートフォンを供給しており、ドコモ向けには「HT-03A」以来供給していない。これは「ソフトバンクさんとはたまたまタイミングが合ったため」とのことで、ドコモ向けの開発をやめたわけではないようだ。同社のマルチキャリア展開にも期待したい。

photophoto WiMAX対応のAndroid端末「HTC EVO 4G」。米国で発売中
photophoto イー・モバイルにも投入予定のAndroid端末「HTC Aria」

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