Android端末では、Googleが提供したUIにメーカーがカスタマイズを加えて独自性を出すモデルが多い。前モデルのXperiaでも、Timescape、Mediascape、独自のアドレス帳を採用するなど、ソニエリらしさを前面に出したカスタマイズを施した。一方で、「ミドルウェアまで手を入れたので、アップデート時に修正個所が増え、Xperiaの1.6から2.1へのアップデートに苦労しました」とソフトウエアプロジェクトマネージャーの花見氏は話す。そこで、Xperia arcではAndroidの素のUIをベースにしながら、ソニー・エリクソンらしさを付加することに注力した。
大きなところでは、Mediascapeを省き、画像と動画のビュワーはAndroid標準の「ギャラリー」アプリを使っている。ギャラリーアプリはAndroid標準のものを採用しているが、快適に使えるようチューニングされている。「Googleから提供された標準アプリをそのまま使うとフリーズすることが多かったので、目に見えないところでテストを繰り返して改善させました」(花見氏)
統合メディアプレーヤーのMediascapeを搭載したXperiaとは異なり、Xperia arcでは単独のミュージックプレーヤーを用意した。ただ、Mediascapeでもおなじみの「インフィニットボタン」は継承しており、再生中にこのボタンを押すと、楽曲に関連するYouTubeコンテンツを検索できる。端末上でプレイリストを作成でき、イコライザーを変更できるのも進化したポイントだ。なお、XperiaではYouTube以外の(Web上にある)関連コンテンツも検索できたが、Xperia arcで検索できるのはYouTubeのみ。ミュージックプレーヤーと他のアプリを連携させた機能の実装にも期待したい。
コミュニケーション履歴を一括で見られるTimescapeは、タイルの表示件数(50枚から150枚に)と表示速度が増したほか、ウィジェット上でもタイルをスクロールできるなど、操作性が改善された。一方で、Xperiaでは利用できたEメール、カメラ、ミュージックの項目がXperia arcでは省かれている。項目が多い方が活用の幅が広がるので、こちらのアップデートにも期待したい。対応するSNSのTwitter、Facebook、mixiもXperiaから変わっていないが、「他のSNSをプラグインで作れる設計にしてある」(花見氏)ので、こちらも増える可能性がある。
Androidのベースを保ちながら、「比較的変えやすかった」と花見氏が話すのがホーム画面だ。詳細はこちらのレビュー記事を参照してほしいが、アイコンを重ねてのフォルダ作成、アプリ一覧を横表示に変更、アプリ一覧の並び替えなどが可能になった。ホーム画面上で2本指をつまむピンチイン操作をすると、ホーム画面に配置したウィジェットがサムネイル表示されるのも面白い。ウィジェットは隙間がないように並び替えられ、中央のページでピンチインすると、左右それぞれのページに配置したウィジェットが、交差するように並び替えられる。ページ自体をサムネイル表示する方が実用性は高いが、心地よい見せ方にこだわるソニー・エリクソンならではの仕掛けといえる。
2010年4月1日にXperiaが発売された当初のOSはAndroid 1.6だったが、世界ではすでにAndroid 2.1搭載機が発売されており、1周遅れの感が否めなかった。今回、Android 2.3をいち早く搭載できたのは、素のUIを大きく崩さなかったことが効いている。「Android 2.3はOS自体の性能が優れていて動作が速いので、2.3の仕様をフルに使えるようにしました。大きく手を加えない方が、今後OSアップデートがある際に対応しやすくなります」と花見氏は説明する。Xperia arcをどのタイミングでどのバージョンのOSへアップデートするかは未定だが、他モデルに水をあけられることはなさそうだ。
Sony Ericssonが「Xperia X10」をAndroid 2.3へアップデートする予定があることを表明して話題を集めているが、日本で発売されている「Xperia SO-01B」もAndroid 2.3へアップデートされるのだろうか。「2.3には、Androidの素の状態でアップデートするので、日本で行うかは未定」(花見氏)とのこと。2.3にアップデートすることで、カメラの顔認識やスマイルシャッター、Mediascapeなどが利用できなくなる。OSのアップデートは携帯キャリアの意向に左右される部分が大きいので、ドコモの判断でアップデートされない可能性も大きい。
(後編に続く)
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