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» 2009年10月01日 17時17分 公開

Windows 7にNetbook、PCの今後はどうなる!?座談会 前編(2/3 ページ)

[ITmedia]

奇跡的にバランスが取れたシステムがNetbook

“199ドルPC”として話題を集めたASUSTeKの「Eee PC」

田中 みなさんのNetbookの評価ってどうなのでしょうか?

元麻布 奇跡的にバランスが取れたシステムです。要するに1世代前の古いOSとちょっと前の古いチップセットと、電気をあまり食わないけれど遅いCPUとで、それなりに使えるPCができちゃった。どれか1つをいじっちゃうと、バランスが崩れちゃう。Vistaを入れたりすると、すげー重いとかって話になるし。

田中 手ごろな価格もよかったですよね。

元麻布 価格も今は100円ですからね、キャリアと契約すれば。契約しなくても2万円台で普通に買える。ただ、Netbookのアキレスけんである描画性能を強化したGeForce 9400Mチップセット搭載のIONプラットフォームになると、ディスプレイの解像度を上げたら今度はCPUの遅さが我慢ならない。だから1024×600ドットや1024×576ドットの解像度が狭くて嫌っていうけれど、やっぱりNetbookのあの狭さには意味があったんだと思う。低解像度で使ってる分には、それほど腹が立たない。あそこで動く範囲でアプリケーションを使っていれば、あまり不満がない。動かないのはあきらめるって話じゃないんだけど、外部ディスプレイにつないで広い解像度で使うと、どうしても遅く感じてしまうんですよ。

 要するに、限られたリソースの中で、生きていくサイクルを作っちゃえばそれなりに使えちゃうのがNetbookなんですよ。

松尾 それが3万以下で手に入るって、すごい世界ですよね。

長濱 最初にリリースされたNetbookや低価格ミニノートPCは持ち歩くのには少々重すぎて、バッテリーも持たなかったんですけど、2009年に出てきた世代になるとバッテリーも5時間以上持つのが普通になってきましたし、重さも1キロを切るのがそこそこありますしね。価格は5万円超すのが普通になってきちゃったところはあるんですけど。5万円以上の価格と、バッテリー駆動時間が長時間になったのと、バランスとしてはどうなんでしょうか?

元麻布 5万円以下でNetbookではなく、Windows XP搭載の17型ワイド液晶ディスプレイ搭載ノートPCが買えるってのは考えちゃう。

長濱 ちょっと金額を足せば、上のクラスの製品が手に入るという議論が常について回るんですよ。市場に出ている最新のNetbookって、価格帯的にはバリュークラスのPCに近いものがあります。パフォーマンスは格段に違うってのがあるんで、その議論ってのはこの先どうなるんですかね。

元麻布 基本的に、Netbookに5万円以上はないと思うけどな。だって、性能が明らかに高いCULV(Consumer Ultra Low Voltage)搭載PCが6万9800円〜8万9800円くらいで買えちゃうじゃない。

長濱 今、5万円を超えちゃうのはボディのデザインをよくして、バッテリーの駆動時間を長くするためのコストと思うんです。でもユーザーの選択っていうのは、1万円未満の違いしかない安いほうを選んじゃうんですよ。それは何か幻想なんですかね? それとも、少しでも安いものを選ばざるを得ない状況なのかしら。

元麻布 初めてPCを買う人が常に思うことは、もし使えなかったらどうしようという恐怖感。それを常に持ってるから安いほうがいいんだと思うんですよ。2台目で買う人は、何ができて何ができないか分かるから、自分で判断できる。けれども初めて買う人って、もし使えなかったらって思うから。買うだけ買って肥やしになっちゃうことのリスクを考えると、安いほうがいいだろうなって思うんですけどね。

長濱 メーカーなんかもNetbookを買う人はスキルがあって、これは何に使えるか把握して買うって意見が多いんです。

元麻布 それは必ずしもそうじゃないと思いますよ。

長濱 まぁ2台目買う人ならそうかもしれないですけども、スキルは関係なく手を出す人も多いと思うんですが。

元麻布 全てを期待してNetbookを買う人っています。

長濱 そうですよね。

松尾 デスクトップPC代わりに使ってる人もいますよね。

元麻布 イー・モバイルと契約して、1回もイーモバの端末を使わないユーザーもいます。

長濱 そういう人に1万円ちょっとしか違わない、でも性能差はそれ以上のメリットがあるPCをアピールできないってのは何なんでしょうね。

松尾 その性能で何ができるってのが分かってないから、それは値段で選ばざるを得ないですよね。メーカーもメディアも訴えられていないんだと思います。1万円で何ができる、何ができないというのを。

CULVを搭載した日本エイサーの「Aspire Timeline AS3810T」(写真=左)。17.3型ワイド液晶ディスプレイを備えながら5万円を切るモデルも用意される日本HPの「HP ProBook 4710s/CT Notebook PC」(写真=右)

NetbookとNetbookのちょっと上もラインアップに加えるPCメーカー

長濱 意外に思ったのが、すごく軽いモバイルに特化したPCをラインアップに持っているうえに、Netbookを追加したりすることです。おまけに、Netbookのほうにモバイルでの利用を想定していなかったりもするんですよ。

磯貝 どういう想定なんですか?

長濱 家の中での移動がメインで、気軽に使ってもらおうというのがコンセプトだったりするんです。例えば、持ち歩くことも考えてデザインとかは気にしていたりするんですけど、重量が1キロ台前半とかのノートPCを持ち歩く人たちは、結構少ないのかなぁって思ったりもしているんですけど。

元麻布 まあPCを持ち歩く人がマジョリティではないですよね。毎日PCを持ち歩く人って、例えば山手線の電車1両でPCを持ってる人?って聞くと、50%はいかないんじゃないかな。

松尾 僕は持ち歩かなくなりました。

田中 わたしも昔からPCは持ち歩かないほうです。逆に若い人、大学生とかはPCがないと授業を受けられないし、そういう人たち向けにNetbookはとてもいいのかなと思うし。そういう人たちがいないと、この20〜30%のシェアを取っている理由が説明できない。

松尾 個人用であっても、それはモバイルである必要はないってことですかね。モバイルに必要な要素っていうのが、プラス1万とか2万とか出して高性能になったとしても、それは必要とされてないから、だから安いのでいいってのがあると思います。

Eee PC(左)とVAIO W(右)

長濱 ただ、わたしなんかがモバイルPCを持ち歩くときってバッテリー時間が長くなくちゃいけないみたいな指標があったりするんです。でも、持ち歩いてどうのこうのっていうよりは、電源が確保できるところで使うっていうのが前提であるならば1〜2万円高くしてバッテリーの駆動時間を延ばすよりは、昔のように5万円以下でそれほどバッテリーが持たない、実はそんなにモバイルに適してない、安いPCのほうが求められてるのかなって。

元麻布 だって、価格を1万円上げてバッテリーを持つようにしたら、重量が増えてしまうのが現状ですから。

長濱 その分、本体を軽くしたりとかもあるんですけども、それでまた、お金が掛かっちゃったりするんですね。基板を小さくしたりとかしなきゃいけないから。そうすると、Netbookベンダーは、これから先の発展の方向として、例えばデザインをよくしたりとか、軽くしたりとか、後はバッテリーを長くしたりとかの方向を一所懸命目指してるんですけど、それはユーザーの望む方向とは一致してないのかしらっていう問題が出てくるんですよね。

元麻布 大前提として、価格を抑えたうえというのであれば、それは正しいと思いますけど。

長濱 そうなっちゃう。ただ、PCベンダーは価格はちょっと上げ気味でいくと。

元麻布 それは厳しい気がする。

長濱 それが2008年後半からの流れだったりすると思うんですよ。それがユーザーの希望と一致してないと、2010年のNetbook市場は実は結構縮小しちゃったりとかするのかもしれない。

元麻布 Netbookって一番最大の発見は、小さくて軽くて、安いPCに需要があるってことを見つけたことですよね。今までも、小さくて軽いPCってあったわけじゃないですか。Let'snoteもそうだし、VAIO type TZとかもそうだし。でも、みんな高かったわけじゃないですか。だけどNetbookはtype TZなんかに比べたら半額以下です。安くて小さくて、機能に制限があっても、安ければそこそこ売れるものがあるっていうのを発見して、それが5〜6万円のレンジにあって、そのおかげでその上の価格帯だったモデルが10万円台前半まで降りてきたわけじゃないですか。で、そこの間にぽっかりあいてるのが分かって、今度はインテルがCULVを投入してきたわけですよ。だから、昔は大きな穴が空いていたのが、だいぶ穴が埋まってきてる。そういう意味においては、今は穴も含めて全部Netbookを買った人たちの比重は分散するのかも分かんないですよ。

長濱 持ち歩かないけど、小さいPCが欲しいって需要があったってことなんですかね。

元麻布 そう。女性は常に小さいのものを好む傾向がありますよ。

長濱 邪魔にならないから?

元麻布 片付けられるからじゃないの?

田中 しまえるのは大事です。

長濱 だからこのサイズというのは、昔みたいにキーピッチが14ミリとか15ミリとか狭くないんですよ。そういう意味ではバランスが非常に取れてる。で、多分10.1型とかで1024×600ドットあたりの解像度が好ましいバランスだったのかもしれないですね。

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