評価機の仕様は、Core i5-750(2.66GHz)のCPU、4Gバイト(2Gバイト×2)のメモリ、NVIDIA GeForce G210搭載グラフィックスカード、640GバイトのHDDで、OSは32ビット版Windows 7 Home Premiumとなっている。この構成でベンチマークテストを実行した。
Windows 7標準のエクスペリエンスインデックスのスコアは右の通りで、廉価版のグラフィックスカードを搭載しているため相対的にグラフィックスのスコアが弱いものの、Windows 7の機能を楽しめる水準(基本スコアで4.0〜5.0)は十分にクリアしている。
PCMark05のスコアも、やはりGraphicsが見劣りするものの、総合スコアは7826とチップセット内蔵グラフィックス搭載モデルのレベルは上回っており、CPUに限れば9521とハイエンド機並のスコアをマークしている。PCMark Vantageはハイビジョンコンテンツの取り扱いを前提にコンピューティング作業をシミュレートする内容だが、総合で6811とハイレベルだ。
一方、DirectX 9.0c世代の3D描画性能を測定する3DMark06のスコアは2606(1280×1024ドット)と低調で、チップセット内蔵よりはマシというレベルにとどまるが、DirectX 8.1以前の世代の技術が使われているFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3では、High(高解像度)で7257と非常に良好なスコアをマークしている。本格的な3Dゲームをプレイするのは難しいが、3D描画処理の軽いカジュアルゲームであれば快適に楽しめそうだ。本格的な3Dゲーム以外の用途であれば、Windows 7環境におけるさまざまな用途で快適に使えるパフォーマンスを実証しているといえる。
これだけのパフォーマンスがありながら、システム全体の消費電力は、アイドル時でわずかに51ワット前後だった。YouTubeの動画再生時で60〜65ワット、3DMark06実行中でも90ワット前後で済んでおり、新世代システムならではの電力効率のよさを示した。アイドル時や低負荷時では静音性についても優秀で、暗騒音32デシベルの環境で本体前面20センチの距離から測定した騒音はアイドル時で36デシベル前後と静かな部類に入り、低負荷時もほとんど変わらなかった。動画エンコードなどのCPUに大きな負担がかかるような処理を続けていると徐々にファンの音が大きくなって42デシベル程度まで上昇したが、動画エンコードなどはたまにしかしないというユーザーであれば、こういった部分はあまり気にならないだろう。
ボディの容積は、約12.6リットルと一般的なミニタワー型ケースの半分ほどしかない。3D描画性能には限界があるものの、これだけのコンパクトなボディで冷却面や静音性の課題をクリアしつつ、ハイエンドに迫るハイパフォーマンスを備えているのは実に見事といえる。従来から優れていたコンパクトボディが、インテルの新世代プラットフォームを得ることでより生かされた格好だ。加えて、直販モデルであれば、より上位のGPUであるGeForce GT 220やRadeon HD 4350を選択することで描画性能も強化できる。
価格もリーズナブルで、直販モデルの最小構成では6万9930円から購入可能だ。BTOメニューでグラフィックスカード以外を評価機と同等に見積もると8万8830円となる。また、本製品と同等スペックの店頭モデル「21.5型ワイド液晶モニタモデル」は、1920×1080ドット表示に対応した21.5型ワイド液晶ディスプレイ「HP 2159m」と、Office Personal 2007(SP1)がセットになって実売13万9800円前後で販売される見込みだ。Windows 7の登場を機会に新しいデスクトップPCの購入を考えているユーザーは、検討する価値のある製品といえる。
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