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SSDかHDDか、カラーかタッチパネルかで悩みが増えた「HP Mini 5102 Notebook PC」を試す孤高の“金属”Netbook再び(1/2 ページ)

» 2010年03月24日 11時00分 公開
[田中宏昌(撮影:矢野渉),ITmedia]

プラットフォームを一新しカラバリ展開を開始

「HP Mini 5102 Notebook PC」ブラックモデル

 精力的に低価格ミニノートPC/Netbookを投入しているのが、日本ヒューレット・パッカードだ。つい先日はコンシューマー向けの新モデル「HP Mini 210」をリリースしたばかりだが、2月にはビジネス/SOHO向けに「HP Mini 5102 Notebook PC」も発売されている。

 このMini 5102は、前モデル「HP Mini 5101 Notebook PC」の後継にあたるモデルで、内部システムやOSを最新世代に改めたのがポイントだ。もちろん、従来からの特徴であるアルマイト(陽極酸化)処理とヘアライン加工を施したアルミニウムとマグネシウム合金を採用した金属感あふれるボディ、1366×768ドットの高解像度ワイド液晶ディスプレイや高速SSDを搭載することで、高い質感と性能を確保している。約1.16キロの軽量ボディ(SSDモデルの場合)や、262(幅)×180(奥行き)×23.2〜31(高さ)ミリの小型ボディ(タッチパネルモデルを除く)も健在だ。

 新モデルのMini 5102は上記に加え、カラーバリエーションとしてこれまでのブラックのほかにレッドとブルーが用意され、さらにタッチパネル搭載モデルが登場した。ここでは、ブラックカラーのSSDモデルとレッドカラーのタッチパネル搭載モデルを使って、新モデルの性能やタッチパネルの使い勝手を見ていこう。

 なお、キーボードや通常の液晶ディスプレイは従来モデルと同じなので、使用感などは下の囲みにある記事を参照してほしい。

HP ProBookシリーズのメルローと見まごうレッド
従来からのブラック
新たに追加されたブルー。HDDモデルのみでタッチパネルは選べない


新採用のタッチパネル搭載モデルはどうなのか?

LEDバックライトを採用した10.1型ワイド液晶を搭載。パネル表面は非光沢だが、フレーム周囲が光沢仕様で映り込みがやや気になった

 質感の高い金属ボディが目を引くMini 510xシリーズだが、5102から待望のカラーバリエーション展開が行われ、従来のブラックに加えレッドとブルーの計3色から選べるようになった。いずれも、パームレストや底面部分はラバーコーティングがなされており、液晶ディスプレイ天面がアルマイト加工で耐摩耗性を高めながら金属感を残しているのは特筆できる。液晶天面部分が、面加圧で500キロfに耐えられる堅牢性の高さも見逃せない。

 ただ、レッドモデルはタッチパネル+HDDのみ、ブルーモデルは通常液晶+HDDのみと構成が決め打ちとなり、BTOで変更できないのは物足りない。加えて、天面部分は手の脂などが目立ちやすく、汚れが落ちにくいのも気になるところだ。

 今回はタッチパネルモデルを試用した(デバイスマネージャー画面を見る限り、ワコム製のデバイスを搭載しているようだ)。LEDバックライトを採用し、10.1型ワイドで1366×768ドット表示という仕様はほかのモデルと共通だが、パネル部分の厚みは約10ミリと通常モデルの約8ミリから増えている。バッテリーを省いた本体重量の実測値はタッチパネルモデルが1036グラム、通常モデルが925グラムと111グラムの差があり、液晶ディスプレイの開き具合もタッチパネルモデルが約135度、通常モデルが約130度とわずかな差があった。

タッチパネル搭載モデルの側面。液晶ディスプレイ面の厚みが10ミリある
こちらは通常の液晶ディスプレイモデル。厚みは約8ミリだが、開閉角度は若干狭い
キーボードはキーピッチが約18.1ミリ、キーストロークは約1.7ミリで、一部に縮小キーが見られる

 実際にタッチパネルでWebブラウズなどを試してみたが、10.1型ワイドで1366×768ドットの解像度があれば、アイコンも適度な大きさがあり、ウィンドウの最小化や最大化といった小さめのボタンも押せるレベルにある。Windows 7標準のマルチタッチ操作もスムーズに行えた。

 タッチパネルを搭載し、本機と同タイプ(コンバーチブル型でない)の富士通「FMV-BIBLO LOOX U」の場合は、5.6型ワイドで1280×800ドットと非常に小型なためボタンやアイコンが押しづらく、標準状態でWindowsのオペレーションをタッチ操作で行うのは難儀だったが、本機の場合はそのような心配もない。

 逆に、FMV-BIBLO LOOX Uにはタッチ操作を補うための「タッチ操作パネル」や「タッチ文字入力」ユーティリティが導入されている半面、本機にはタッチ機能をサポートしたWindows 7プリインストールPCの大半に導入されている「Microsoft Touch Pack for Windows 7」のみにとどまる。Windows 7標準のソフトウェアキーボード「タブレットPC入力パネル」も扱いやすいとはいえず、タッチ操作を生かした作り込みという点ではFMV-BIBLO LOOX Uに軍配が上がる。

 タッチパネルモデルと通常モデルの差額は6300円(レッドとブルーの場合)なので、若干の重量とサイズアップが問題なければ、タッチパネルモデルを選ぶのもアリだろう。

タッチ操作をしている5102(写真=左)とFMV-BIBLO LOOX U(写真=右)。いずれもノートPC型のモデルで、ピュアタブレット状態にはならず、写真のように利き腕と反対の腕を液晶ディスプレイに添えないと、タッチ操作時に本体ががたついてしまう

Atom N450+Intel NM10 Expressチップセットを採用

 Mini 5102でのもう1つの変更点は、プラットフォームを最新世代に一新したことだ。従来のAtom N280(1.66GHz)+Intel 945GSE Expressという組み合わせから、2009年末に発表されたAtom N450(1.66GHz)+Intel NM10 Expressを採用する。すでに多くの製品に導入済みで、レビュー記事も多く掲載されているので詳細は省くが、メモリコントローラとGPUコア(Intel GMA 3150)を1つの半導体チップに統合することで消費電力が低減してバッテリー駆動時間が延び、メモリクロックの向上などで性能の上積みが期待できる。

 細かいところでは、ACアダプタが40(幅)×95(奥行き)×28(高さ)ミリと一回り小型になったのもポイントだが、3ピン→2ピンの電源ケーブルが太く長いので持ち運びにかさばるのが残念だ(それでも、電源ケーブル込みの重量は約400グラムから350グラムに減った)。

 Mini 5102シリーズのラインアップやスペックを下記にまとめたが、注意したいのは本機は同社直販のHP Directplusやダイレクトパートナー経由での販売のみで量販店店頭では扱われず、直販でもBTOに対応していないことだ。直販サイトでは下記の5モデルが用意されており、それぞれ大容量バッテリーや外付けドライブなどの周辺機器、保守サービスのオプションが選べるようになっている。

 要点を整理すると、前述したようにタッチパネルはレッドとブラックカラーのみで、高速SSDを選べるのはブラックモデルのみとなる。また、160GバイトのHDDを搭載したブルーモデルは5万8800円と、従来のHDDモデルに比べ1万円以上も値下がりしており(OSや無線LANのスペックが一部異なるが)、買い得感は増している。

評価機に採用されていたSSD。容量は128Gバイトで、SamsungのMLCタイプだった
1基あるメモリスロットは底面からアクセスできる。カバーはレバー操作で取り外せる
標準の4セルバッテリーとACアダプタ。ACアダプタは前モデルから一回り小さくなった

HP Mini 5102 Notebook PCシリーズの主なスペック
モデル HDDモデル(Directplus専用モデル) タッチパネルモデル(Directplus専用モデル)
ボディカラー ブルー レッド
CPU Atom N450(1.66GHz)
チップセット Intel NM10 Express
メモリ DDR2 2Gバイト
メモリースロット 200ピンSO-DIMM×1(空きなし)
ストレージ 160GバイトHDD(7200rpm)
液晶ディスプレイ 10.1型ワイド非光沢 10.1型ワイド非光沢タッチパネル
画面解像度 1366×768ドット
グラフィックス Intel GMA 3150
無線LAN IEEE802.11b/g(Broadcom製)
Bluetooth
有線LAN ギガビット対応
メモリカードスロット MMC/SDHC対応SDメモリーカードスロット
Webカメラ
スピーカー 内蔵ステレオ
バッテリー 4セル(リチウムポリマー)/6セル(リチウムイオン)
バッテリー駆動時間 約4.5時間(4セル)/約10時間(6セル)
ボディサイズ 262(幅)×180(奥行き)×23.2〜31(高さ)ミリ 262(幅)×180(奥行き)×25.2〜33(高さ)ミリ
重量(4セル時) 約1.2キロ 約1.32キロ
OS 32ビット版Windows 7 Professional
HP Directplus価格 5万8800円 6万5100円

HP Mini 5102 Notebook PCシリーズの主なスペック
モデル タッチパネルモデル(WN033PC#ABJ) HDDモデル(WN030PC#ABJ) SSDモデル(WN031PC#ABJ)
ボディカラー ブラック
CPU Atom N450(1.66GHz)
チップセット Intel NM10 Express
メモリ DDR2 2Gバイト
メモリースロット 200ピンSO-DIMM×1(空きなし)
ストレージ 160GバイトHDD(7200rpm) 128GバイトSSD
液晶ディスプレイ 10.1型ワイド非光沢タッチパネル 10.1型ワイド非光沢
画面解像度 1366×768ドット
グラフィックス Intel GMA 3150
無線LAN IEEE802.11b/g/n(インテル製)
Bluetooth Bluetooth 2.1+EDR
有線LAN ギガビット対応
メモリカードスロット MMC/SDHC対応SDメモリーカードスロット
Webカメラ
スピーカー 内蔵ステレオ
バッテリー 4セル(リチウムポリマー)/6セル(リチウムイオン)
バッテリー駆動時間 約4.5時間(4セル)/約10時間(6セル) 約5時間(4セル)/約11時間(6セル) 約5.5時間(4セル)/約11.5時間(6セル)
ボディサイズ 262(幅)×180(奥行き)×25.2〜33(高さ)ミリ 262(幅)×180(奥行き)×23.2〜31(高さ)ミリ
重量(4セル時) 約1.32キロ 約1.2キロ 約1.16キロ
OS 32ビット版Windows 7 Professional Windows XP Professional(SP3)※32ビット版Windows 7 Professionalダウングレード
HP Directplus価格 7万5600円 6万9930円 7万9800円

 次のページでは、SSDモデルとHDDモデルのパフォーマンスやバッテリー駆動時間などを検証する。プラットフォームを改めた効果は出ているのだろうか。

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