プリペイドSIMカードと一緒に購入したWi-Fiルータ「Huawei R205」。SIMカードのPINロックをあらかじめ解除してもらうと、あとあとラクだ。SIMサイズの台紙には電話番号も記載されている今回、ポルテーラ空港空港に到着したのは昼すぎ。入国後、すぐさま空港のVodafone店舗へ立ち寄り、プリペイドSIMを入手できた。
こちら、空港の店舗だけにスタッフはたいてい英語ができるのはありがたい。データ通信専用のプリペイドSIMを購入したいと伝えるとすぐに出してくれた。SIMロックフリー機器を持っていない人は、ここでデータ端末単体も別途購入可能だ。この機器はSIMロックがかかっている(原則、ここで一緒に購入するSIMカードでのみ使える)ため価格はかなり安く、7.2Mbps通信対応のUSBモデムが29.99ユーロ(約3597円)、21.6Mbps通信対応のWi-Fiルータが49.99ユーロ(約5997円)だった。もっとも、今回導入するSIMカードサービスの最大通信速度は2Mbpsなので、最大速度の仕様を気にする必要はない。USBモデム(PCのみ)かルータタイプ(スマートフォンを含め、複数台で使用可能)か、どちらか好みのものを選んでほしい。
なお、当初はプリペイドSIMカードだけ買い、持参したSIMロックフリー機器でテザリング利用するのみで済ますつもりだったが、現地で買うルータも6000円弱ならばまぁさほど高くはない。コレクションのつもりでWi-Fiルータの「Huawei R205」も一緒に購入してしまった。
データ通信料金は、前述したように時間課金タイプとデータ量課金タイプの2種類がある。時間課金タイプの「Vita Net Light」は料金10ユーロ(約1199円)で10時間分利用可能(有効期限は90日まで)で最大速度は1Mbps、データ量課金タイプの「Vita Net Plus」は料金10ユーロで通信量720Mバイトまで利用可能(有効期限は24時間)で最大速度2Mpbsだ。今回はVita Net Plusを選択したが、こちらの場合、プロモーションプランとして「料金15ユーロ(約1799円)で1Gバイトまで」のものもあるとのこと。正直“ちょっとだけお得”な程度だが、PCでちょっとガッツリ仕事する予定があったこと、そしてあとで料金プランを追加する手間などを考えると、最初からちょっとでも多い1Gバイトのプランにしておくほうが楽であると判断した。
| Vodafone Portugal プリペイドSIMカードのAPN設定 | |
|---|---|
| APN | internet.vodafone.pt |
| ユーザー名 | (なし) |
| パスワード | (なし) |
購入時は(国や都市、事業者によっては必要なことがある)身分証明書の提示も不要だった。ただしプリペイドSIMカードにはPINロックが設定されており、機器の電源オン時に決まったPINロック解除番号の入力が求められる。これ、プリペイドスタイルで使う短期滞在の旅行者にとっては不要であり、なにより毎回の入力がとても面倒(ルータ利用だとなおさら)なので、購入時一緒に「PINロックを無効にしてくれ」と店員へ伝えるとよい。その場でSIMカードをPCと接続し、PINロックを無効にする作業をしてくれる。このあたりも含めて店員はプリペイドSIMカードの販売にほどよく手馴れており、購入から使い始めまでにかかった時間は大目に見ても10分ほどだった。
Vodafone Portugalのプリペイドデータ通信SIMカードサービスのAPN文字列は右記の通りだ。
同時購入したルータ「R205」は、ディスプレイに利用済みデータ量の“目安”が表示される。もちろんあくまで概算なので、利用量の上限に近づいたら早めに料金・残高を追加しておきたい。残高の追加はVodafoneショップや市内のATMで行える。Vodafoneショップでは対面支払いのほか、店内の料金支払い専用機も利用可能だ。支払い専用機はポルトガル語表記のみだが、さほど難しくはない。購入したプリペイドSIMカードの電話番号を入力し、表示される料金プランを選択するだけ。ユーロ紙幣でも支払える。
R205はスマートフォンアプリ「Vodafone Mobile Wi-Fi Monitor」(無料 Android/iOS版)でも各種状況を確認できる。電波状況や本体のバッテリー残量、接続時間、接続機器台数、SMS受信数、データ利用量の概算のチェックが可能だ。本体のディスプレイより見やすく、Vodafoneからの通知などのSMSもアプリからの操作で容易にチェックできる。SMSチェックは「Web application」→パスワード画面→Skip(入力なし)と進むと、ブラウザが立ち上がり届いたSMSの内容が読める。ルータ購入時はぜひとも入れておきたいアプリだ。

R205のスマートフォンアプリ「Vodafone Mobile Wi-Fi Monitor」。バッテリー残量や電波状況、利用済みデータ通信量などを手元のスマートフォンでチェックできる。アプリ経由で、届いたSMSを読むことも可能ださて、リスボン市内はあまり高い建物がないためか、市街地やショッピングモール内でも通信状況はほとんど問題なく、かなり快適に使えた。地下鉄内でももちろん通信可能だ。通信速度は平均1.5Mbpsほど、最大で2.5Mbpsほど出たが、速度上限は2Mbpsなので測定測定サイトなどにおける若干の誤差だろう。
ヨーロッパではプリペイドサービスといえど、登録・購入までの手続きに手間が発生することも多いが、リスボンにおいてはかなり簡単だった。特に“空港での入手・購入容易性”も含め、プリペイドSIMカードの購入がはじめてであってもほとんど戸惑うなく購入できそうだ。ポルトガル渡航時にはぜひチャレンジしてみてほしい。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1000台以上(2013年1月時点)。
ポルトガル渡航時のデータ通信手段確保は、国内のレンタルルータ事業者を利用するのも手軽で便利な手段だ。
海外渡航者向けの海外対応データ通信機器をレンタルできるサービス「グローバルデータ」では、タブレットやスマートフォンなどでも便利に使えるWi-Fiルータ型を1580円/日から、Windows/Macで利用できるUSBモデム型を1280円/日よりレンタルできる「ポルトガル 定額プラン」(対象国D)を用意する。
レンタル申し込みは同社Webサイトで行える。機器の受け取りは、宅配か空港受取りにて。出発日2日前17時までの申し込み(成田、羽田は申し込み日が平日の場合、前日17時)で、出発当日に成田、羽田、関西国際、中部国際の各空港で受けとることも可能となっている。
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