アラブ首長国連邦(UAE)は、アラビア半島の北側にある。以前は日本であまりなじみのなかったこの国も、近年はF1やサッカーの国際大会が開催されたり大規模なIT関連イベントが開催されるなど、日本でも紹介される機会が増えている。
金融企業を積極的に誘致するドバイ、産油関連技術産業が集まるアブダビに象徴されるように経済は好調で、世界に開かれた中東のビジネスセンターとしても機能している。政治も治安も安定しているので日本から訪れるビジネスマンが増えているだけでなく、世界中で公開された映画の舞台となったことで、若い女性からも観光地としても注目されているという(おじさんは日本に帰ってくるまで知らなかったよ)。
ビジネスとしても観光地としても日本で注目が高まっているアラブ首長国連邦は、日本から直通の航空路が開設されており、飛行時間は約10時間と欧州や米国西海岸を旅行するのとそれほど変わらない。
アラブ首長国連邦の通貨は「ディルハム」(AED)で、2011年5月におけるレートは1AEDが22円。日本の空港にある両替所で交換すると1AEDがほぼ30円になった。
このように、外部に開かれた中東の国で経済も発達しているアラブ首長国連邦だけに、旅行者が利用しやすいモバイルデータ通信サービスが用意されている。携帯電話事業者は国営の「Etisalat」と民間参入の「du」がある。どちらもモバイルデータ通信で利用できるプリペイドSIMカードを提供しており、市街地にある直営ショップや携帯電話販売店で購入できる。
アブダビにある国際空港にはduの直営ショップがあるので、到着と同時にプリペイドSIMカードを購入して、その場でスマートフォンやモバイル無線ルーターからインターネットサービスが利用できる(ただし、日本を夜出発する直行便はアブダビに早朝到着するため、duのショップはまだ開いていなかったりする)。
国営のEtisalatが用意するプリペイドSIMカードプランは、SIMカード代が20AED、これに1カ月で容量制限のデータ通信プラン「3.5G Data Package」を組み合わせる。こちらは、HSPA対応のEtisalat Mobile Broadbandとして、1カ月1Gバイト145AED、同5Gバイト295AED、そして、無制限395AED(ただし、申込書には“10GB”と記載されている)、Etisalat Mobile Internetとして、1カ月10Mバイト25AED、同100Mバイト95AED、同1Gバイト145AEDが用意されている。
Etisalat Mobile Internetの転送レートは明らかにされていないが、1Gバイトで同じ145AEDが設定されているので、HSPAに対応している可能性は高い。なお、制限枠を超えたデータ通信が発生した場合は、1Mバイトあたりで課金される従量制が適用される。なお、従量制の課金は最初に契約したData Packageの容量によって変わるが、1Gバイトプランでは1Mバイトあたり0.5AEDであるのに対して、100Mバイトプランでは1Mバイトあたり10AEDといきなり高くなる。
選んだData Packageの金額に応じてプリペイドのチャージをする。チャージは25、50、100、200、500AEDの5種類が用意される。チャージの種類とData Packageの選択肢は、意外と“巧妙”で、Data Packageは100Mバイト95AEDの次が1Gバイトの145AEDなのに、チャージは100AEDの次が200AEDになってしまう。さらに、Data Packageで1Gバイトの145AEDの次が5Gバイトの295AEDだが、チャージは200AEDの次が500AEDとこちらもいきなり高くなる。
1週間ほど滞在して、PCに接続したデータ通信の比率も高く通話もするという場合は、1GバイトのData Packageと通話料の組み合わせで、SIMカード込みの220AEDが適当だ。3日程度の滞在でスマートフォンによるデータ通信だけで通話はしない、ということであれば、100Mバイト95AEDとSIMカード20AEDの計115AEDまで抑えることはできるだろう。
新規参入の民間通信事業者として登場した「du」のプリペイドSIMカードでデータ通信をする場合は、まず、55AEDでSIMカードを購入して、その後、1カ月あたりの容量制限があるデータ通信プランを組み合わせる。SIMカードの価格がEtisalatより高いが、購入した月に限って50Mバイトまで無料でデータ通信が利用できる。データ通信プランは1カ月5Mバイトで10AED、50Mバイトで40AED、200Mバイトで100AED、2Gバイトで200AED、無制限で360AEDとなる。
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