自由自在な“クラウドフォン”でB to Pのサービスを提供する――Huawei

» 2011年08月08日 21時29分 公開
[田中聡,ITmedia]

 160Gバイトのオンラインストレージにあらゆるデータを保存できる――。Huaweiが8月3日に中国・北京で発表した新サービス「Cloud+」は、同社の新しいビジョンを投影したものだ。

photo Huawei チーフエグゼクティブオフィサー ワン・ビャオ氏

 一昔前のHuaweiは、携帯電話基地局などのインフラ事業を中心に展開し、端末はローエンドモデルやデータ端末が大半を占め、ブランドをあえて前面に出さなかった。しかし2011年に入り、これまでの戦略を徐々に変えつつある。チーフエグゼクティブオフィサーのワン・ビャオ氏は「Huaweiはユーザーへ積極的に情報提供するとともに、キャリアのパートナーとして努力していく。ユーザーに好かれるブランドを目指し、いろいろな販促活動をしながらユーザーに近い目線で活動していきたい」と話し、Huaweiブランドの向上を図ることを宣言した。端末についても「今後はラインアップを拡充し、フラッグシップ製品でユーザー体験を高め、マス機種でHuawei端末を普及させたい」とした。

 データ端末では日本で100万台以上を販売した「Pocket WiFi」、スマートフォンでは「IDEOS」シリーズや、8月3日に同時発表した「Vision」などで存在感を高めるとともに、Android 3.2をいち早く採用したハイエンドな「MediaPad」も発表した。イー・モバイル向けのストレート型のAndroid端末「S42HW」や、ドコモ向けの「キッズケータイ HW-02C」など、日本向けにローカライズしたモデルも発表しており、海外と日本いずれにおいても着実にラインアップの幅を広げている。

photo Huawei 端末部門 チーフマーケティングオフィサーのビクター・シュ氏

 こうした中でHuaweiが発表したのが、新サービスの「Cloud+」だ。Huaweiの端末部門 チーフマーケティングオフィサーのビクター・シュ氏は「業界の中ではクラウドがホットトピックになっているが、技術上の議論はあっても、具体的にどんなメリットをもたらすかの議論は少ない」と話し、今回の発表では具体的なサービス内容が紹介された。

 同サービスはHuaweiのAndroid端末向けに提供され、ユーザーは160Gバイトのオンラインストレージに各種データをバックアップしたり、端末とPCでデータを同期したりできる。Appleが提供予定の「iCloud」で利用できるストレージスペースが5Gバイトであることを考えると、160Gバイトという大きさのインパクトが分かる。Cloud+の利用者向けにはアカウントが与えられ、複数のHuawei端末でデータを共有することも可能だ。Cloud+はまず中国で提供され、その他の地域については未定。対応機種はAndroid 2.2以降。

photophotophoto 160Gバイトのストレージに保存したデータをHuawei端末やPCで共有できる
photophoto 写真のバックアップやアドレス帳の移行なども簡単に行える

 端末が部屋の中で見つからないときなどに、端末の位置情報を測位してPC経由で音を鳴らす機能や、端末の紛失時に遠隔操作でロックをかける・データを消去または移行する、端末のありかを調べる、といった機能も提供される。また、Huaweiは中国で「Hi Space」というアプリストアを提供しているが、このHi SpaceもCloud+に組み込まれ、ユーザーはPC経由でAndroid向けアプリを購入できる。PCでアプリを購入すると、Android マーケットのPC版で買うのと同様に、Huawei端末にアプリが自動でインストールされる。アプリの配信数は約2000。中国ではAndroid マーケットを使えないので、スマートフォン初心者にとってはアプリの入手場所として重宝しそうだ。通話履歴などの「設定」もバックアップ可能なので、機種変更後のデータの移行もスムーズに行えるだろう。

photophoto 端末の位置情報を測位して音を鳴らす機能。部屋の中で端末が見つからないときなどに役立つ
photophoto 端末の現在地を地図上で確認できる(写真=左)。PC版Android マーケットのようにアプリの購入も可能(写真=右)
photophoto 遠隔操作で端末のロックやデータ消去などもでき、セキュリティ機能も充実させた

 さらに、コンテンツプロバイダーとも連携し、Cloud+経由でウイルス対策ソフトや音楽配信サービス、ゲームなどのコンテンツも提供していく。日本でなじみの深いところでは、mobageのコンテンツも発表会で紹介されていた。

 これだけの機能を備えながら、すべて無料(通信料やアプリ代を除く)で利用できるのも、Cloud+の特筆すべきポイントだ。日本では通信キャリアがアドレス帳データをバックアップするサービスを提供しているが、携帯電話メーカーがここまで大規模なクラウドサービスを提供する例はほとんど聞かない。AppleやGoogleの取り組みにより、日本のユーザーもクラウド連携サービスにはなじみが深いと思われるだけに、Cloud+の日本での展開にも期待したい。

photo Huaweiのサービスは「B to P」を目指す

 Huaweiの事業展開についてシュ氏は「これまでのB to Bから、B to B/Cを含むB to P(People)に変えていきたい」と話す。Huaweiのクラウドサービスは「上海のChina Unicomの360拠点で実現している」(シュ氏)ことから、今回のCloud+の提供により、文字どおり、すべてのPeople(個人と法人)をカバーすることに成功したといえる。

 シュ氏はHuaweiが掲げる4つのコンセプトとして「友好」「信頼」「革新」「活力」を挙げる。「技術は一部の人が所有するものではないので、積極的に提携していきたい。信頼できるブランドであるために、優れた品質かつ豊富なアプリケーションを提供したい。イノベーティブな姿勢は重要なDNA。そして技術のパワーをもって行動することで活力を示したい。これら4つの要素を、ネットワーク、製品開発、PRなどの活動を通して消費者の皆様にお伝えしたい」(シュ氏)

 シュ氏はCloud+を利用できるHuaweiの端末を“クラウドフォン”と表現する。「“自由自在”をキーワードに、使いやすい商品を提供したい。Huaweiのデバイスを通して、オピニオン、感情、空間を共有しやすい環境を作りたい」と意気込みを話した。

photophoto シュ氏はケータイユーザーのニーズは基本サービス、マルチメディア、エンターテインメント、シェア、ソーシャルの5つがあると分析し、それらに則した具体的なクラウドサービスを紹介
photophoto 中国のコンテンツプロバイダーの要人も発表会に駆け付けた(写真=左)。Huaweiが、北京ナショナルスタジアムで8月6日に開催された「イタリアスーパーカップ2011」の独占スポンサーとなった関係で、出場チームであるインテルとミランの選手も登場した(写真=右)

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