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» 2012年09月25日 09時00分 UPDATE

最新スマートフォン徹底比較(2012年夏モデル編):第6回 バッテリーが持つAndroidスマホは?――28機種を比較

スマホのバッテリー容量は公開されているが、容量が大きいからといって必ずしもバッテリーが長持ちするとは限らない。そこで、Androidスマホ28機種で、YouTube動画を再生し続けるテストを実施し、どれだけ持つのかを確認した。

[田中聡,ITmedia]

 スマートフォンを使う上で気になるバッテリーの持ち。第4回ではバッテリー容量や連続待受時間などのスペックを紹介したが、今回は実際にどれだけバッテリーが持つかを測るベンチマークテストを実施した。テストしたのは夏モデル27機種に「GALAXY Note SC-05D」を加えた計28機種。

photophoto 左上からドコモの「F-09D ANTEPRIMA」「ARROWS X F-10D」「ARROWS Me F-11D」「らくらくスマートフォン F-12D」「Optimus it L-05D」「Optimus Vu L-06D」「MEDIAS X N-07D」「ELUGA V P-06D」「ELUGA power P-07D」「GALAXY S III SC-06D」「AQUOS PHONE st SH-07D」「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」「AQUOS PHONE sv SH-10D」「Xperia GX SO-04D」「Xperia SX SO-05D」「REGZA Phone T-02D」(写真=左)。左上からauの「ARROWS Z ISW13F」「HTC J ISW13HT」「URBANO PROGRESSO」「AQUOS PHONE SL IS15SH」「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」「AQUOS PHONE CL IS17SH」(写真=右)
photophoto 左からソフトバンクの「ARROWS A 101F」「AQUOS PHONE Xx 106SH」「PANTONE 5 107SH」、ウィルコムの「DIGNO DUAL WX04K」(写真=左)。イー・モバイルの「GS03」(写真=右)

 テスト内容は、YouTubeの長時間動画を再生し続けるというもの。2時間強の動画を選び、2時間ごと再生(ストリーミングの調子が悪かったときは、適時再生し直した)。1時間ごとに各機種のバッテリー残量を記録し、0%になるまで再生を続けた。テスト日時と場所は、9月4日から14日までの午前8時ごろから、東京都江東区の屋内にて。スケジュールの都合で、すべての機種を同じタイミングでテストできなかったことをご了承いただきたい。また、テストした江東区屋内ではauの3G通信が不安定だったので、「AQUOS PHONE SL IS15SH」と「AQUOS PHONE CL IS17SH」、そしてスケジュールの関係で「F-09D ANTEPRIMA」の3台はITmedia Mobile編集部(東京都港区赤坂の屋内)でテストした。通信環境はいずれも良好。ドコモのXi、auの+WiMAXも圏内だが、Xiは機種によってはLTEから3G(HSDPA)にピクトアイコンが切り替わるシーンも見られた。

 このほかの計測条件は以下のとおり。

  • 満充電の状態で計測開始。
  • 「Battery Mix」アプリを使って残量を確認(らくらくスマートフォンはアプリを追加できないので、設定からバッテリー残量を確認した)。
  • 端末に保存されているアプリ数はBattery Mixを除き初期状態のまま。
  • Googleアカウントの同期はオンに。
  • Wi-Fi、GPS、Bluetoothはオフに。
  • ディスプレイの明るさは中間程度に統一。
  • auのWiMAX対応機はWiMAXをオンにした。

 さっそくテスト結果を見ていこう。最も長時間再生できたのは「ARROWS Me F-11D」の429分(7時間9分)で、2位以下を大きく引き離した。2位の「AQUOS PHONE st SH-07D」は376分(6時間16分)なので、53分もの差がついている。以下、「PANTONE 5 107SH」の343分(5時間43分)、F-09D ANTEPRIMAの339分(5時間39分)が続く。これら4機種はいずれもCPUがシングルコアで、ディスプレイの解像度はARROWS MeとF-09D ANTEPRIMAがワイドVGA(480×800ピクセル)、AQUOS PHONE stとPANTONE 5 107SHがフルワイドVGA(480×854ピクセル)。4機種ともバッテリー容量は1500mAh前後だが、HDやQHDディスプレイを備える機種よりも解像度が低く、シングルコアでも問題なく再生できたことから、相対的に消費電力が少なかったものと思われる。

photo らくらくスマートフォンでは、温度が上昇したため、ブラウザのYouTubeから1時間以上連続再生ができなかった

 「らくらくスマートフォン F-12D」にはYouTubeアプリがプリインストールされておらず、Google Playからアプリを追加できないので、ブラウザのYouTubeから同じ動画を再生させた。すると、40分ほど経過したころに「本体の温度上昇を検知しました。充電および操作中の機能を終了させ、温度が下がるまでご利用をお控えください」との警告が出た。本体に触れると確かに熱い。49分後のバッテリー残量は73%。しばらく再生を続けたところ、強制的に電源が切れてしまった。もう1度テストし直してみたが同じような挙動になり、1時間以上再生を続けることができなかった。らくらくスマートフォンのハードスペックはARROWS Meなどと大差ないはずなので不思議に感じたが、アプリではなくブラウザを使用する方が端末への負荷が高いのかもしれない。

 好結果を残したシングルコア搭載機に対し、デュアルコアやクアッドコアCPUを備えるモデルはどうか。5位には291分(4時間51分)の再生時間を記録した「GALAXY Note SC-05D」と「GALAXY S III SC-06D」がランクインしている。同じSamsung製とはいえ、この2機種の再生時間が同じだったのは興味深い。まずバッテリー容量はGALAXY Noteが2500mAh、GALAXY S IIIが2100mAhでNoteの方が16%多い。ただ、画面サイズはNote(5.3インチ)の方がGALAXY S III(4.8インチ)より13%大きく、ディスプレイの解像度もNote(800×1280ピクセル)の方がGALAXY S III(720×1280ピクセル)より10%高く、消費電力の面ではNoteの方がやや不利。さらに、GALAXY S IIIのチップはNoteよりも1世代上の「Snapdragon S4(MSM8960)」を搭載している。Noteのチップ(アプリケーションプロセッサー)は「Snapdragon S3(APQ8060)」で、モデム用のチップを別に搭載している点も不利だ。それだけに、Noteの方が「意外と持った」という印象だ。Samsung端末は、2011年度冬春モデルでのテストでも好結果を残し、今回も高い実力を発揮した形になった。

※初出時に、GALAXY Noteのディスプレイを液晶と説明している箇所がありましたが、正しくは有機ELなので、削除しました。お詫びして訂正いたします(9/25 15:12)

 GALAXY Noteの比較対象として「Optimus Vu L-06D」の結果にも注目していたが、Vuの再生時間は、Noteを大きく下回る197分(3時間17分)だった。Vuのディスプレイは5インチ、アプリケーションプロセッサーもAPQ8060、そしてLTE対応など、Noteとスペックで似ている部分が多いが、バッテリー性能では差をつけられてしまった。ただしVuのバッテリー容量はNoteより500mAh少ない2000mAhなので、この影響も大きいと思われる。筆者はOptimus Vuベースの「L-06D JOJO」を使用しているが、ゲームコンテンツ「F-MEGA」をプレイしたりコミックを読んだりすると、バッテリーの減りが特に早くなるように感じる。Snapdragon S4を搭載していれば多少は改善されただろうが、もう少し消費電力を抑えてほしかった。バッテリー容量1650mAhの「Optimus it L-05D」の連続再生時間は、Vuをやや上回る204分だった。itのCPUは1世代上のMSM8960であることに加え、画面サイズと解像度がVuより低く小さいことが有利に働いたと思われる。

 GALAXY勢に次いで結果が良かったのがシャープ端末だ。「AQUOS PHONE sv SH-10D」は285分(4時間45分)、「AQUOS PHONE Xx 106SH」は273分(4時間33分)、「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」は270分(4時間30分)を記録した。シャープ端末は、2011年度冬春モデルのテストでは今ひとつ結果が奮わなかったが、今回はバッテリー性能が大きく改善された印象を受けた。3機種ともバッテリー容量が1900mAhにアップしたほか、AQUOS PHONE ZETAとXxはS-CGSilicon液晶システム内のメモリにより、静止表示中はCPUからの画像転送を抑えることができ、省エネに貢献する。動画は全画面では再生しておらず、画面半分は静止表示だったことも影響しているのかもしれない。またAQUOS PHONE ZETAとXxは従来比で約2倍の輝度を実現しながら、バックライトコントロール処理などで省電力化を両立しているという。そんな中で、S-CG Silicon液晶を備えないAQUOS PHONE svも同様に(3機種の中では一番)バッテリーが持ったのは少々意外だが、ZETA/Xx同様の高度なバックライトコントール技術が使われているのかもしれない。

 auの「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」の連続再生時間は192分(3時間32分)で、先の3機種よりも1時間ほど短かった。SERIEの液晶もS-CG Siliconではなく、バッテリー容量も3機種よりやや少ない1800mAhだが、それだけが影響しているとは思えない。現時点のチップでは、LTE通信よりもWiMAX通信の方が消費電力が高いのかもしれない。WiMAX搭載機の中で最も結果が良かったのが「HTC J ISW13HT」の256分(4時間16分)。その次は「URBANO PROGRESSO」の230分(3時間50分)だった。

photo ARROWS ZではBattery Mixの表示温度が58度になったことも

 今回結果が芳しくなかったのが、169分(2時間49分)の「ARROWS X F-10D」と159分(2時間39分)の「ARROWS Z ISW13F」だ。3時間持たなかったのはこれら2機種のみで、ワースト2、1位となってしまった。ARROWS X/Zはいずれも「Tegra 3」のクアッドコアCPUを特長の1つに打ち出している。Tegra 3は4コアに加えて、負荷の少ない動作をするときに5つ目のコンパニオンコアが動作して消費電力を抑えると言われているが、今回実施した動画のストリーミングは、複数のコアを使っているはず。特にARROWS Zは動画再生中にBattery Mixで表示される内部の温度が58℃を記録したこともあり、CPUへの負荷が高いことがうかがえた。同じく富士通製の「REGZA Phone T-02D」が240分(4時間)、富士通モバイルコミュニケーションズ製の「ARROWS A 101F」が253分(4時間13分)で、ARROWS X/Zより1時間以上持ったことを考えると、チップの処理性能で差がついた可能性が高い。なおARROWS Zについては、ITmedia Mobile編集部にてWiMAXをオフにして3G通信のみでテストしてみたところ、連続再生時間は168分(2時間48分)で、WiMAX通信時と大きな差はなかった。

photo 今回テストしたYouTubeの連続再生時間が長い順にグラフにまとめた

バッテリーテスト結果
NTTドコモ
1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後 6時間後 7時間後 連続再生時間
F-09D ANTEPRIMA 78% 61% 48% 31% 13%(39分後に0%) 339分
ARROWS X F-10D 62% 25%(49分後に0%) 169分
ARROWS Me F-11D 86% 73% 56% 46% 33% 17% 4%(9分後に0%) 429分
らくらくスマートフォン F-12D 計測不能
Optimus it L-05D 76% 46% 14%(24分後に0%) 204分
Optimus Vu L-06D 73% 44% 10%(17分後に0%) 197分
MEDIAS x N-07D 81% 48% 21%(42分後に0%) 222分
ELUGA V P-06D 74% 55% 31% 8%(18分後に0%) 258分
ELUGA power P-07D 76% 47% 17%(35分後に0%) 215分
GALAXY Note SC-05D 81% 60% 38% 18%(51分後に0%) 291分
GALAXY S III SC-06D 85% 65% 45% 25%(51分後に0%) 291分
AQUOS PHONE st SH-07D 83% 69% 53% 38% 22% 5%(16分後に0%) 376分
AQUOS PHONE ZETA SH-09D 83% 63% 40% 14%(30分後に0%) 270分
AQUOS PHONE sv SH-10D 75% 48% 30% 15%(45分後に0%) 285分
Xperia GX SO-04D 78% 49% 19%(42分後に0%) 222分
Xperia SX SO-05D 72% 38% 5%(4分後に0%) 184分
REGZA Phone T-02D 74% 48% 26% 0% 240分
au
1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後 6時間後 7時間後 連続再生時間
ARROWS Z ISW13F 60% 25%(39分後に0%) 159分
HTC J ISW13HT 78% 55% 33% 9%(16分後に0%) 256分
URBANO PROGRESSO 72% 45% 16%(50分後に0%) 230分
AQUOS PHONE SL IS15SH 66% 39% 10%(21分後に0%) 201分
AQUOS PHONE SERIE ISW16SH 70% 38% 2%(12分後に0%) 192分
AQUOS PHONE CL IS17SH 75% 52% 25% 1%(1分後に0%) 241分
ソフトバンク
1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後 6時間後 7時間後 連続再生時間
ARROWS A 101F 79% 58% 34% 6%(13分後に0%) 253分
AQUOS PHONE Xx 106SH 80% 59% 39% 17%(33分後に0%) 273分
PANTONE 5 107SH 82% 66% 49 31% 11%(43分後に0%) 343分
ウィルコム
1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後 6時間後 7時間後 連続再生時間
DIGNO DUAL WX04K 74% 51% 32% 7%(21分後に0%) 261分
イー・モバイル
1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後 6時間後 7時間後 連続再生時間
GS03 76% 53% 30% 5%(9分後に0%) 249分


 バッテリーの持ちを測る指標はさまざまだ。今回は動画のストリーミング再生を試したが、待機時間を測るなど、他のテストでは異なる結果になることもあるだろう。またバックグラウンドでの通信が多いAndroidでは、インストールしているアプリの数や種類にも消費電力は左右される(今回はアプリはほぼ初期状態のまま)。もちろん通信環境にも影響される。今回のテスト結果は1つの目安としてほしいが、ハードスペック、メーカー、通信規格による傾向は見えてきたのではないだろうか。ハイエンド機ではSamsung端末が好結果を残し、シャープのLTE端末も善戦した。「LTE端末=バッテリーの持ちが悪い」という傾向は少しずつ改善されているように感じる。KDDIとソフトバンクモバイルがLTEサービスを開始したことに伴い、「iPhone 5」はもちろん、秋冬モデルでLTE端末がさらに増えることは必至だ。引き続きバッテリー性能には注目していきたい。

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