「あのね、私ちょっと誤解してたかもしれない」
「え? 何を?」
「なんかセミナーの講師を始めたって言ってたけど、今度も長続きしないと思ってた」
俺は何も言えなかった。
「でも、今度は本気だって分かった」
「どうして?」
「だって地に足がついてるじゃない。ずっと夢だかなんだか分からないことばかり言ってたけど、今は一生懸命だって伝わるよ。バイトも続いてるし。おとうちゃんはプライドが高いから、道路工事のバイトなんか1カ月で終わると思ってたよ」
いや、正直そうしようと思ってたんです……。辞めないでよかった。
「がんばって。応援するよ。それから……今のおとうちゃんはかっこいいと思うよ」
そう言って、かみさんは恥ずかしそうに部屋を出て行った。俺の目はたちまち熱いものでいっぱいになった。嗚咽(おえつ)をこらえることができなかったよ。
そして、俺は人生の底から抜け出せたんだと、このとき確信したんだ。だって、人は見てないようで、見てくれているって分かったから。努力を続けていれば、宣伝なんかいらないんだよ、たぶん。
著者・森川滋之が、あの「吉田和人」のモデルである吉見範一氏と新規開拓営業の決定版と言える営業法を開発しました。3時間で打ち手が分かるYM式クロスSWOT分析と、3週間で手応えがある自分軸マーケティングと、3カ月で成果の出る集客ノウハウをまとめた連続メール講座(無料)をまずお読みください。確信を持って行動し始めたい方のためのセミナーはこちらです。
ITブレークスルー代表取締役。1987年から2004年まで、大手システムインテグレーターにてSE、SEマネージャーを経験。20以上のプロジェクトのプロジェクトリーダー、マネージャーを歴任。最後の1年半は営業企画部でマーケティングや社内SFAの導入を経験。2004年転職し、PMツールの専門会社で営業を経験。2005年独立し、複数のユーザー企業でのITコンサルタントを歴任する。
奇跡の無名人シリーズ「震えるひざを押さえつけ」「大口兄弟の伝説」の主人公のモデルである吉見範一氏と知り合ってからは、「多くの会社に虐げられている営業マンを救いたい」という彼のミッションに共鳴し、彼のセミナーのプロデュースも手がけるようになる。
現在は、セミナーと執筆を主な仕事とし、すべてのビジネスパーソンが肩肘張らずに生きていける精神的に幸福な世の中の実現に貢献することを目指している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.