SIMロックフリーのスマートフォンなどを所持しているなら、SIMカードだけを購入すればより安価に済ませられる。イー・モバイル「Pocket WiFi S」などSIMロックフリーデバイスを用いる方法のほか、最近ではNTTドコモも一定条件を満たしたデバイスについてSIMロック解除サービスを始めている。NTTドコモユーザーで海外へ行く機会が多いなら、SIMロックを解除しておくと何かと便利に活用できるようになると思う。
今回は単体のデータ通信専用プリペイドSIMカードとしてStarHubのものを購入した。価格は12シンガポールドル(約780円)である。前述したように、StarHubの利用料金は通信速度と利用日数別にプランを選択する仕組みとなっており、初回にWebサイト経由で設定登録を行うか、スマートフォンより専用番号へSMSを送付して設定する。
StarHub プリペイドSIMカード用APN | |
---|---|
APN | shwapint |
ユーザー名 | (なし) |
パスワード | (なし) |
APN設定は右記の通り。Androidスマートフォンであれば「設定」→「無線とネットワーク」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名」より手動で設定する。すでにいくつかアクセスポイントが自動的に設定されているが、これらはプリペイド用ではなくポストペイド(契約回線者)用。海外渡航者が使うプリペイドプランでは使用できないので注意してほしい。
続いて、ブラウザ経由で最大通信速度と利用日数を選択する。プラン選択前は、どのURLへアクセスしてもStarHubのプラン選択サイトへリダイレクトされる仕組みだ。このサイトより登録するか、スマートフォンより特定の文字列を含むSMSを「6782」宛に送る方法でも利用プランを登録できる。最大2Mbpsで2シンガポールドル/1時間のプランから、最大7.2Mbpsで25シンガポールドル/5日のプランまで全8種類あるが、初回のプリペイド額は12シンガポールドル分と言うことも勘案しつつ相応のプランを選んでほしい(ちなみに最近、最大7.2Mbpsのみ選択できる32シンガポールドル分の残高入りプリペイドSIMカードも発売されたようだ)。
プランの選択を終えれば、Pocket WiFi Sのテザリング機能を活用したPCでのデータ通信が可能になる。プリペイド額が足りない場合、あるいは利用可能な日数プランを追加購入する場合は、市内のStarHub店舗やコンビニエンスストアで「TopUP Card」と呼ぶプリペイド残高追加カードを購入する。Pocket Wi-Fi SからTopUP Cardで指定された番号へ電話をかけることにより、そこそこ簡単に残高の追加登録が行える。
StarHubプリペイドSIMカード用料金プラン | 期間 | 料金 | 入力するSMSの内容 |
---|---|---|---|
2Mbpsプラン | 1時間 | 2シンガポールドル(約130円) | 2M1H |
1日 | 4シンガポールドル(約260円) | 2M1D | |
3日 | 10シンガポールドル(約650円) | 2M3D | |
5日 | 15シンガポールドル(約975円) | 2M5D | |
7.2Mbpsプラン | 1時間 | 3シンガポールドル(約195円) | 7M1H |
1日 | 6シンガポールドル(約390円) | 7M1D | |
3日 | 16シンガポールドル(約1040円) | 7M3D | |
5日 | 25シンガポールドル(約1625円) | 7M5D | |
※日本円換算は2011年7月の取材当時の価格 | |||
SingTel プリペイドSIMカード(音声対応)用APN | |
---|---|
APN | hicard |
ユーザー名 | (なし) |
パスワード | (なし) |
スマートフォン1台で、PCでのデータ通信も現地での通話用途も使いたいという人は多いだろう。この場合は、音声通話用のプリペイドSIMカードを購入することになる。音声用プリペイドSIMカードは定額データ通信には対応しないが、SingTelとStarHubに用意される“割り引きデータパッケージ”により、プリペイド残高の範囲内でデータ通信を利用できる。
SingTelのプリペイド音声SIMカードは、そのままでもデータ通信が行えるものの、料金は0.27シンガポールドル/kバイト(約18円/kバイト)の従量制となる。スマートフォン利用だけならまだしも、PCで普通にデータ通信を行うとなると少々割高。というわけで、上記の“データパッケージ”はそんな人に向く。料金は1シンガポールドル/10Mバイトまで・7日間(約65円)、あるいは7シンガポールドル/1Gバイトまで・7日間(約454円)から。短期滞在なら1Gバイトまでのプランでいたって普通に利用できると思う。
購入手続きは、スマートフォンより「*363」に電話発信。続いてSMSで指定文字列を記入して送ることで完了する。(ちょっと面倒だが)主な手順は以下の通り。
StarHub プリペイドSIMカード(音声対応)用APN | |
---|---|
APN | shppd |
ユーザー名 | (なし) |
パスワード | (なし) |
もう1つ、StarHubの音声対応SIMカードのデータパッケージ料金は、2シンガポールドル/30Mバイトまで・3日間(約130円)、4シンガポールドル/200Mバイトまで・3日間(約260円)、7シンガポールドル/1Gバイトまで・7日間(約454円)の3タイプがある。APN設定は右記の通りだ。
StarHubも、上記のSingTelの場合と同様に端末上の操作でデータパッケージの購入申請が行える。ただし、SingTelはSMSでのやりとりであるのに対して、StarHubはUSSDコードと呼ぶ方法を用い、メッセージのやりとりは記録されない。方法は以下の通り。
音声対応SIMカードにおけるデータプランの購入など、少し慣れない作業が発生するかもしれないが、シンガポール市街地でもおおよそ1日数百円程度とリーズナブルにデータ通信環境を整えられる。国内キャリアの国際データ通信ローミングサービスを利用するより割安に済ませられると思うので、シンガポール旅行や出張時は、ぜひ現地のデータ通信環境の実現にチャレンジしてみてほしい。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯コレクターとしても知られ、2008年は100台以上携帯電話を購入。所有する海外端末数は600台以上(2009年3月時点)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.