ドコモとKDDIの決算会見で見えたもの/Xperiaの戦略を見直すソニー石野純也のMobile Eye(7月21日〜8月1日)(1/2 ページ)

» 2014年08月02日 08時29分 公開
[石野純也,ITmedia]

 ドコモ、KDDIと決算会見が続いた7月21日から8月1日の2週間。端末メーカーでは、ソニーが決算会見を開催し、ソニーモバイルの今後の方針を発表している。ほかにも、「らくらくスマートフォン3」の発売や、ケイ・オプティコムの新料金プラン発表、ワイモバイルのサービス開始などがあり、モバイル業界に動きの多かった2週間だった。今回は、ドコモ、KDDI、そして端末メーカーであるソニーの決算会見に焦点を当て、ここで明らかになったモバイル業界の動向をまとめていきたい。

新料金プランが好調のドコモ、MNPでのプラスも視野に

 ドコモの決算会見では、新料金プランや純増数、MNPの動向などが語られた。また、総務省が中心となって導入の義務化を進めている、SIMロック解除やクーリングオフについてのドコモの見解も明らかにされている。

photo 決算会見で新料金プランの成果を強調したドコモの加藤氏

 ドコモの代表取締役社長 加藤薫氏によると、音声定額と家族内でのデータシェアを軸にした新料金プランは6月末時点で467万件を突破。決算会見が行われた7月25日の前日までには、600万件を突破したという。加藤氏も、「順調な滑り出しであった」と自信をのぞかせる。当初は通話の多いユーザーが殺到したため、7月に入って徐々に伸びは減っているものの、「早く1000万を超えようというのが、社内のコンセンサスになっている」という。

photo 新料金プランの契約者数は、早くも600万を突破した

 音声定額プランはドコモが真っ先に導入したこともあり、ユーザーの認知度も一気に上がったようだ。なぜ、ドコモの新料金プランが突出して選ばれているのかという問いに対し、加藤氏は「私どもが一番先に出したので、それをご評価いただいているのだと思う」とコメント。データパックの選択肢を増やしてきたKDDIの新料金プランについては「1Gバイト単体で追加できるので、それほど変わらない」として、他社の追随の影響はあまり出ていないことを語った。

 新料金プランが好調なことで、純増数の増加やMNPの流出抑止にもつながったという。純増数については、「前年比で5倍以上」と大幅に増加。MNPはまだ転出が続いている状態だが、「第1四半期は改善度合いが大きくなり、5分の1程度の水準。新料金プランを開始した5月からは、改善がさらに顕著になっている」とした。

photophotophoto 2013年と比べ、純増数が大幅に増加。新規契約者数やMNPも改善した。これも新料金プラン導入の効果の1つだという

 一方で、新料金プランは「結果として、たくさん使っておられる方がセットされることが多い」と加藤氏が言うように、通話時間の多い(通話料が高かった)ユーザーが殺到している状況だ。6月と7月を比べたとき、数が徐々に減っていることからも分かるように、いつまでも増え続けるわけではないだろう。通話の少ないユーザーは旧料金プランに留まるか、より安価なMVNOに移る可能性もあるため、今後の動向にも注目しておきたい。

 決算会見では、総務省で方向性が示されたSIMロック解除の義務化や、クーリングオフの導入についても、加藤氏の考えが示された。ドコモは、2011年4月に以降に発売された機種のSIMロックを、原則として解除している。こうした状況を踏まえ、加藤氏は「3年前に議論があり、お客様のご希望があればいたしますと率先して申し上げた」と語っている。ドコモでこれまでSIMロックを解除してきたユーザーは、「20万件ぐらい」とのこと。その内、約8割程度は海外渡航時に現地のSIMカードを挿すためにSIMロックの解除をしているようだ。

 こうしたコメントからは、SIMロック解除の義務化が決定しても、影響はさほど大きくないと見ていることがうかがえる。ただし、SIMロック解除が提供されていないiPhone、iPadについての言及は避けており、「Appleさんが独自でSIMフリーモデルを販売している」と述べるにとどまっている。義務化に伴い、こうした例外となっている端末をどう扱うかが関心を集めそうだ。

 影響が小さいと見ているSIMロック解除の義務化に対し、クーリングオフについては「難しい話」と慎重な姿勢を示しつつ、次のように語っている。

 「どういう項目で何をするのか、お客様にとって混乱がないよう、窓口の対応も含めて工夫が必要になる。議論の最終段階を見極めながら、事業者として何ができるかを考えていきたい」

 このほか、加藤氏からは、6月に初めて導入したiPadをはじめとしたタブレットが好調なことも明かされた。販売数は、29万台で前年同期比約30%増。実数では、29万台が販売された。6月に開催された株主総会では、ドコモの代表取締役副社長(現・ドコモCS 代表取締役社長)の岩崎文夫氏が「台数が数は申し上げられないが、売れ行きは非常に好調。Androidのタブレットに上乗せする形で、iPadが売れている。2台目のタブレットが新料金でお安く使えるようになったことも、背景にあると思う」と述べていたが、この発言を裏付ける数値といえる。

photophoto iPadの取り扱い開始に伴い、タブレットの販売数も拡大している

 また、NTT東西の光回線を借りて利用する「光コラボレーションモデル」については、引き続き導入を前向きに検討していく方針を語った。加藤氏は「東西がお決めになる条件を見てからでないと設計ができない」と前置きしつつも、「モバイルとフィックス(固定)をどうやるかを考えているが、一番のキモは料金」と語り、モバイルと固定のセット割引導入を示唆した。これによって、KDDIが好調な要因の1つである「auスマートバリュー」に対抗してく構えだ。

au WALLETが好調のau、新料金プランの影響はまだ様子見

 対するKDDIは純増数49万でドコモをわずかに上回ったが、前年同期比では減少傾向だ。この原因について、代表取締役社長 田中孝司氏は「前期に比べて減っているが、これまでのようにお客様の行き来が少なくなっている」と述べ、MNPの競争がひと段落したことが原因との見方を示す。4月以降、以前のように派手なキャッシュバック合戦が沈静化したことが、その原因。実際、KDDIの解約率は過去最低水準の0.54%まで低下している。

photophoto 売上、営業利益ともに拡大を続けるKDDI。田中氏によると、解約率も過去最低水準になった

 ドコモは、純増数が大幅に増えた理由を新料金プランの早期導入だとしていたが、田中氏はこれを否定。特にMNPにとっては「あまり影響がないという認識。(ドコモの)お客さんの中で、プラン変更されているのではないか」と語った。KDDIも8月13日から新料金プランの「カケホとデジラ」を導入するため、「3社間での競争環境の変化があったとは見ていない」とする。

photophoto データ量のきめ細やかさに重きを置いた「カケホとデジラ」を開始予定

 一方で、田中氏は新料金プランと既存プランのどちらが優勢になるのかは、まだ慎重に見ているようだ。「音声のMOU(平均通話時間)が多い方が動いているところ。どちらに入ってほしいというのはなく、電話が多い人は新プラン、少ない人は旧プランというだけのこと」として、なりゆきを見守っていく方針。他社とは異なり、旧プランを当面継続するのもそのためだという。

 付加価値サービスに力を入れるKDDIだが、実店舗での決済を可能にする「au WALLET」が好調。300万件の申し込みを達成するまでの期間が41日だったことを挙げ、「au史上最速」と胸を張った。3年後までに総額1兆円の流通総額を目指すとして導入されたau WALLETだが、現時点での決済額も「目標よりけっこう高かった」と順調な滑り出しを見せているようだ。ただし、開始当初は初回チャージボーナスがあり、じぶん銀行からのチャージで5%上乗せするなど、特典も多いため、こうしたキャンペーンが終わってからの動向にも注目しておきたい。

photophoto 5月に導入したau WALLETは、300万の申し込みを突破した

 SIMロック解除については、多くの機種が対応しているドコモや、一部機種で行えるソフトバンクと異なり、KDDIは今のところ全機種非対応となる。そのため、義務化の影響は未知数というのが田中氏の見解だ。SIMロック解除そのものより、MVNOの拡大の方が業界の構造を変える可能性があると考えていることもうかがえる。

 「(総務省の議論は)まだ中間段階で、どの方向になるのかははっきりしていない。それなりのものが出れば、対応していかなければならない。ただし、(KDDIの採用する通信方式は)3GはCDMA。SIMロックが仮に外れたとき、流動が起こるかというとそうでもないという理解でいる。どちらかといえば、今、SIMロックうんぬんとは別のところでMVNOが増えている。MVNOの新党の方が、旧来の3社の枠組み以外の形としての変化。(SIMロックを外しても)影響がないという見方もあれば、流動する端末が多くなり、MVNOが使える端末が増えるという見方もある」

 一方で、クーリングオフに関しては、「議論の先行きを見ていきたい」としながら、「それなに大きな影響が出る」とみているようだ。

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