では、速度はどのくらい出るか。SmartのLTE速度は最大42Mbps(2013年8月現在)だ。電波状況は“そこそこ”だったRobinsons Place Mall内では、上り/下り上下とも3M〜5Mbps程度。3Gも下りはこのくらい出ることがあるが、上りもMbpsクラスなのはLTEの恩恵と思える。
続いてSM Mall of Asiaへ向かう市内タクシー移動中は、電波こそ拾うがデータは流れず、結果としては不安定。とはいえ実際に使えるエリアは、SmartのWebサイトに記載されているエリアよりやや広めだなと感じる。
SM Mall of Asiaでは上下とも5M〜8Mbpsとかなりよい結果だ。参考として、3Gに切り替えると下り0.6M〜0.8Mbps、上りは0.1M〜0.2Mbps。ここでのLTEはなかなか快適であることが分かる。他国のLTEサービスと比べてしまうと速度の値はそれなりかもしれないが、確かに3G接続より高速で快適に利用できる。
さて、LTE対応モデムやルータが現地で入手しにくいならば、現地のLTEスマートフォンを購入してテザリングでまかなう手段も考えつくかもしれない。だがSmartのLTEプリペイドSIMカードはデータ通信専用であり、スマートフォンに入れると音声通話はもちろんだが、LTEでの接続もできないとのこと。ついでに今回購入したSmartのプリペイドSIMカードは、残高を追加するバウチャーもデータ通信専用のものを選ぶ必要があるので少しご注意願いたい。
このようにマニラでのLTEサービスは、実速度やカバーエリアに少し不満があり、少々ドタバタもあったものの、確かに3Gよりすこぶる高速。つながればかなり快適だった。
購入したSIMカードに残高を定期的に入れておけば有効期限を延長できるので、フィリピンに定期的に訪れる人であれば次回の渡航時にも再利用してもいいだろう。ただ……プリペイドSIMカードの有効期限についての説明がWebや説明書になく、正確な期間は不明。Smartの店舗では「残高を追加してから3カ月」と言われたので、ま、こんなところだろう。この点は次回渡航時に現地で確認してみようと思う。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。
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