Apple、「iOS 6」を発表 正式リリースは2012年秋開発者向けβ版の配布を開始(1/2 ページ)

» 2012年06月12日 06時45分 公開
[園部修,ITmedia]

 Appleは6月11日(現地時間)、米国サンフランシスコで開催したアプリケーション開発者向けのカンファレンス「World Wide Develpers Conference 2012」で、iPhoneやiPad、iPod touch向けの次期iOS「iOS 6」の概要を発表した。iOS 6は2012年秋のリリース予定で、開発者向けのβ版は11日から配布するという。対応機種は「iPhone 3GS」以降のiPhone、「iPad 2」「新しいiPad」と、「iPod touch(第4世代)」。

 iOS 6では、新たに200以上のユーザー向け機能を提供。新機能の追加だけでなく、細かな使い勝手の向上なども図っている。基調講演では、新しい機能のうち「Siri」「Facebook」「電話」「FaceTime」「Safari」「フォトストリーム」「メール」「Passbook」「アクセシビリティ」「マップ」の10の機能が特に大きく紹介された。

Siriがより賢く

Photo iOS 6で新たに用意される機能の数々。左から「マップ」「Siri」「Passbook」「Facebook」

 最初に発表されたのは、音声エージェントサービスの「Siri」の拡張だ。これまでよりもさらに多様な情報にアクセスして回答を提示してくれるようになる。

 例えばスポーツ、レストラン、映画などの情報が調べられる。スポーツは野球、サッカー、フットボール、バスケットボール、ホッケーの情報に対応しており、野球の試合の得点のようなニュース情報だけでなく、直近の試合の情報や過去の成績、統計情報なども回答する。レストランなら近隣の店舗をピックアップし、Yelpの情報も確認できる。OpenTableアプリと連携して席の予約も可能だ。映画については位置情報や上映時間からお勧めの映画や映画館を推薦。「Rotten Tomatoes」による映画のレビューがチェックできるほか、監督や出演俳優から映画のタイトルを答えるといったこともできる。

 またTwitterや、iOS 6で連携が強化されるFacebookへの投稿もSiriが行ってくれる。文字を打つことなく、ツイートしたり、Facebookのウォールに近況を投稿したりできる。またiOS 6ではSiriからのアプリの起動もサポート。操作しなくても、声で命令するだけでアプリが立ち上げられる。

 このほか「Eyes Free」として、自動車メーカーと連携し、ハンドルにボイスコマンドボタンを搭載する取り組みも推進する。講演ではBMW、GM、メルセデス、ランドローバー、ジャガー、アウディ、トヨタ、クライスラー、ホンダなどが12カ月以内の対応を表明していることが明らかにされた。

 これまで「iPhone 4S」でしか利用できなかったSiriだが、iOS 6になると「新しいiPad」(iPad 第3世代)でも利用可能になる。対応言語はさらに増え、スペイン語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、韓国語、台湾の北京語、香港の広東語、中国本土の北京語と広東語を始めとする15カ国語に対応する。ローカルサーチにも対応予定だ。

Facebookの統合

Photo Twitterに続いて、Facebookの機能もOSに融合され、投稿やシェアがさまざまなシーンからダイレクトに行えるようになる

 2つ目に紹介された新機能は、「Facebook」のiOSへの融合だ。すでにiOS 5でTwitterとの連携を深めたiOSだが、もう1つの世界標準とも言えるSNS、Facebookの機能をiOSと密接に連携させることで、近況の投稿やシェアなどが自在に行えるようになる。カメラを立ち上げ、撮った写真をそのままFacebookに投稿する、といったことも簡単にできる。手がふさがっているときは、Siriに投稿してもらうことも可能だ。

 FacebookのイベントはiOSのカレンダーと、友達のプロフィール情報は連絡先と同期させられる。iTunes StoreとApp Storeには、Facebookの「いいね!」ボタン(Like!ボタン)が用意されるので、気に入った楽曲やアプリの情報も簡単に共有できるようになる。

電話機能の強化

Photo 着信時にテキストメッセージを送ったり、後でリマインドしたりする機能も用意される

 これまであまり変化がなかった「電話」機能にも、iOS 6では大きく手を入れられる。電話の着信があったのに電話に出られない場合、これまでは「拒否」するしかなかったが、新たにテキストメッセージで返信したり、後でリマインドしたりする機能を用意した。これなら会議中などに電話があっても、「折り返し電話します」といった定型文をすぐに送れる。

 リマインダーにアラームをセットすることもでき、例えば「1時間後」にリマインドしたり、「現在地から移動」したときにリマインドしたり、あるいは「家に帰ったら」リマインドしたりできる。

 電話やメールの着信を完全にサイレントにする「Do Not Disturb」機能も用意する。手動でオンにした場合はもちろんだが、あらかじめセットしておいた開始時刻と終了時刻の間だけ有効になるような設定も可能。夜中に電話がかかってきても音を出さず、画面も点灯させない、といったことが簡単にできる。バイブレーターも動作しないので、まさにホテルなどによくある「起こさないでください」カードと同じような効果をもたらす。ただし、特定の「Favorites」(よく使う項目)に登録した人からの電話やメールのみ音を出す、といった設定もある。

3G回線でのFaceTimeサポート

 iOS搭載デバイス間で、テレビ電話ができる「FaceTime」は、これまでWi-Fi環境下でしかりようできなかったが、iOS 6では3GのネットワークでもFaceTimeが利用できるようになる。日本でリリースされるときにどのような対応になるかはまだ不明だが、Wi-FiがなくてもFaceTimeが利用できると、さらに利用シーンは広がりそうだ。

 また電話番号とApple IDを登録しておけば、iPhone宛てにかかってきたFaceTime通話をiPadで受ける、といった使い方も可能になる。

Safariの新機能

Photo Safariでは、他のデバイスで閲覧していたページをiCloudで同期させ、簡単に続きを読んだりできるiCloud Tabsという新機能を提供

 Webブラウザの「Safari」の使い勝手も、iOS 6でさらに向上する。Appleのクラウドサービス「iCloud」との融合を促進し、「iCloud Tabs」と呼ぶ同期型のブックマークを新たに用意。他のデバイスのSafariで閲覧していたWebページを、iCloud Tabsを経由し、別のデバイスで簡単に閲覧でき、家のiPadやMacで見ていたWebサイトを、外出先のiPhoneで確認する、といったことが容易に行える。

 「リーディングリスト」には、リンクだけでなくWebページのデータも保存するようになるんで、インターネット接続がない環境でも内容の確認ができる。eBayやCraigslistのようなサイトには、Safariから直接写真や映像のアップロードも可能だ。iOS 6では、Safariで端末の画面を横向きにすると、全画面モードになる。より広い画面でページを見たい場合になどに便利だ。

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