海外プリペイドSIM導入マニュアル──「アイルランド・ダブリン+ロンドンLTE 2013年」編「ローミングも安い!」な海外定額データ通信(3/3 ページ)

» 2013年09月27日 14時00分 公開
[山根康宏,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

隣国で使えるローミングも安価

 さて、ヨーロッパではここ数年、EUや業界団体であるGSMA(GSM Association)の勧告などにより他国でのローミング料金の引き下げが相次いでいる。VodafoneをはじめT-Mobile、Orange、Telefonicaなど各国で事業を展開する通信事業者は、他国グループ企業のローミング料金をかなり割安に設定している。今回購入したアイルランドのVodafoneのプリペイドSIMカードは、ヨーロッパ各国へ持って行ってもかなりお安くローミングデータ通信が行える。

Vodafone各店舗でも割安ローミングの「Redプラン」をアピールしていたphoto Vodafone各店舗でも割安ローミングの「Redプラン」をアピールしていた(写真=左) 申請後はSMSで確認メールが届く。申請認証まで最大24時間かかるので早めに登録しておこう(写真=右)

 このローミングプランは「Vodafone Passport MobileInternet」という名称で、料金は1日定額/50Mバイトまで2.99ユーロ(約399円)で利用できる。また、それよりもお得な「Redプラン」も期間限定で提供されている。ひとまず2013年12月末まで提供されるもののようだが、プロモーション期間の延長がたびたび行われているので、渡航時にはVodafoneアイルランドのWebサイトで確認してみてほしい。

 「Redプラン」は1日定額/100Mバイトまで3.99ユーロ(約530円)。ヨーロッパ約30カ国で利用可能だ。アイルランドから、近隣のイギリスや他国に出るときなど、現地でプリペイドSIMを買いなおさなくても済むのがとても便利である。このほかの利用可能な国はどこか、詳細は「Vodafone Red Roaming」を参照してほしい。今回はこの「Red」プランを利用してみた。

 (このローミングプランについて一部内容を加筆、修正いたしました。詳細情報をいただきました読者の方、誠にありがとうございます)

 登録はルータのWeb設定ツール/SMS機能で「50020」宛に本文「RED」と記載して送信するか、前述したMy Vodafoneから登録できる。Redプランは利用した日だけ課金されるので、他国へ行く予定が前もって分かっているなら早めに申請しておくといいだろう。一応……1日の上限100Mバイトの通信量を超えると使用量1Mバイトごと0.55ユーロ(約73円)の従量制課金となるので、ローミング中は使いすぎに注意してほしい。

イギリスのプリペイドLTEサービス最新情報(2013年9月版)

 では最後に、ついでに訪れたイギリス プリペイドSIMカード事情の最新情報も追記しよう。

 イギリスでのプリペイドSIMカード活用は2011年2月に掲載したが、それから約2年半が経ったので状況はかなり変わっていた。

T-Mobile、Orangeの店はすべて「EE」ブランドの店となった入手したEEのLTEプリペイドSIMカード 2013年9月現在、イギリスではT-Mobile、Orangeの店はすべて「EE」ブランドの店となった(写真=左) 入手したEEのLTEプリペイドSIMカード(写真=右)

 中でも2013年7月にOrangeとT-MobileによるLTEの合弁会社「EE」が新たにプリペイドでのLTEサービスを開始したのは大きなトピックだ。2013年9月現在、高速なLTEサービスをプリペイドで海外渡航者が利用できる国は限られるが、イギリスはようやくその仲間入りを果たした。

EE LTE対応プリペイドSIMカードのAPN設定
APN everywhere
ユーザー名 eesecure
パスワード secure

 SIMカードサイズはMicro/標準両用タイプと、Nanoタイプの2種類がラインアップされている。このプリペイドSIMカードはまだ発売されたばかりということもあるためか……ルータやスマートフォンにSIMカードを入れると、自動設定されるAPNは他の事業者のものになってしまうようだ。APNは手動で右記の文字列に設定し直してほしい。

 料金は、通信量2Gバイトまで15ポンド(約2375円)。ヒースロー空港Terminal 1の自動販売機ではSIMカード料金が別に20ポンド(約3166円)必要だった。スマートフォンやルータ、USBモデムで利用できるが、まずはブラウザを開きユーザー登録を行う必要がある。登録に必要な情報は氏名、住所、郵便番号。住所と郵便番号は英国の滞在ホテルのものでOK。今回は購入しなかったが、EEはルータセット、USBモデムセットも販売しているので、こちらもそこそこ使い勝手はよさそうだ。


photo

山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。




「海外プリペイドSIM導入マニュアル」バックナンバー

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月10日 更新
  1. 新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと (2024年05月09日)
  2. 個人が「Excel」や「Word」でCopilotを活用する方法は? (2024年05月08日)
  3. 「M4チップ」と「第10世代iPad」こそがAppleスペシャルイベントの真のスターかもしれない (2024年05月10日)
  4. M4チップ登場! 初代iPad Proの10倍、前世代比でも最大4倍速くなったApple Silicon (2024年05月08日)
  5. Core Ultra 9を搭載した4型ディスプレイ&Webカメラ付きミニPC「AtomMan X7 Ti」がMinisforumから登場 (2024年05月08日)
  6. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 6E対応のホーム無線LANルーター「Aterm WX5400T6」 (2024年05月09日)
  7. SSDの“引っ越し”プラスαの価値がある! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってみる【前編】 (2024年05月06日)
  8. iPad向け「Final Cut Pro 2」「Logic Pro 2」登場 ライブマルチカム対応「Final Cut Camera」アプリは無料公開 (2024年05月08日)
  9. これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け (2022年10月24日)
  10. “NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート (2024年05月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー