「IGZO」で巻き返すシャープ――「2012年度中にはシェアを挽回したい」(2/2 ページ)

» 2012年10月23日 19時56分 公開
[田中聡,ITmedia]
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冬モデルは省エネ性能、カメラ、Feel UXがさらに進化

photo 新機種の詳細な特長を説明するシャープの河内氏

 冬モデルの中でも、シャープが特に自信を持って投入するのが、4.9インチのIGZO液晶を搭載したAQUOS PHONE ZETA SH-02Eだ。クアッドコアCPU付きのQualcommのSnapdragon S4 Pro「APQ8064」や、2GバイトのRAMを備えるなど、IGZO以外のハードスペックも高い。さらに、2320mAhの大容量バッテリーとIGZOの省エネ効果により、シャープは「ハイパフォーマンスでも2日間使える」とアピールする。「Snapdragon S4 Proは、処理負荷に応じて最適な動作ができる仕組みになっているので、省エネ性能が高い。2Gバイトメモリは、複数のアプリを立ち上げているようなシーンで強い」(河内氏)。こうした省エネとハイパフォーマンスの両立は、先述した「Feel Meister(快適な余裕)」につながる部分だ。シャープの調べでは、2011年冬モデルの「AQUOS PHONE SH-01D」と比べ、SH-02Eの連続静止画表示時間は約3.6倍、連続動画再生時間は約2.8倍、AQUOS PADについては、2011年冬モデルのWiMAX内蔵タブレット「GALAPAGOS EB-A71GJ-B」と比べて連続静止画表示時間は約2.5倍、連続動画再生時間は約1.7倍に向上したという。

photophoto IGZOの特長(写真=左)。SH-02Eでは「妥協せずすべての機能を取り込んで2日間使える」ことを“Smart 2 Days”と訴求する(写真=右)
photophoto 静止表示時には画像の転送が従来の60分の1回になるので、車が止まるとエンジンも止まることになぞらえて「液晶アイドリングストップ」とシャープは説明する(写真=左)。IGZOではトランジスタが小型化されるので、1画素あたりの透過率がアップし、バックライトの省電力に貢献する。これにより、同じ電力でより高精細な表示が可能になる。IGZOに加え、SH-02EはクアッドコアCPU、2GバイトRAM、2320mAhバッテリーを備えるなどハード性能も高い(写真=右)
photophoto IGZO液晶を搭載したSH-02EとAQUOS PADは、従来機に比べてスタミナが向上している

 IGZO液晶でタッチ精度が向上したことに伴い、SH-02EとAQUOS PADには手書きメモを手軽に残したり、カレンダーに予定を書き込んだりできるアプリをプリインストールしている。「細いペン先でもちゃんと認識できるほど感度が良い。サクサクすらすら書ける感度を実現している」と河内氏も自信を見せる。音声認識機能も新たに搭載。画面消灯時に背面とトントンと叩くと音声ランチャーが起動して、あらかじめ登録した言葉を発してロック解除ができるほか、声でもアプリを起動できる。また「はい、チーズ」でカメラのシャッターを切ったり、「暗いな〜」と言うと明るさ調整してくれたりするなど、撮影も音声で操作できる。電話がかかってきたときには「もしもし」と言って応答できるので、手袋をしているときに役立つ。2012年夏モデルから取り入れた「Feel UX」は、ウェルカムシート(ロック画面)に置けるショートカットの変更や、3ラインホームの壁紙変更を可能にするなど、要望の多かった部分を改善した。これらは先述の「Feel Operation(直感)」につながる部分だ。なお、改善された3ラインホームを、夏モデルでアップデート対応するかどうかは「対応方法も含めて検討している」(シャープ説明員)とのこと。

photophoto IGZO液晶ならタッチペンで小さい文字も書きやすい(写真=左)。音声認識機能も積極的に搭載していく(写真=右)
photophoto カメラ撮影時や電話応答時にも音声操作が可能だ(写真=左)。2012年度グッドデザイン賞を受賞したFeel UXは、カスタマイズ性を高めてさらに使いやすくなった(写真=右)

 先述した「Feel Creation(新しい体験)」の1つとして、カメラ機能を強化した。まず画素数を1630万に引き上げ、SH-01Dや102SHなど2011年冬モデルで搭載したものの夏モデルでは見送られた「光学式手ブレ補正」を、SH-02E、SHL21、203SHで復活させた。電子式/光学式手ブレ補正とVoice Shotを加えた“トリプル手ブレ補正”を訴求する(SH21LはVoice Shotは非対応)。ちなみに、過去には光学ズームや3Dカメラを搭載したモデルも開発してきたが、「それよりも手ブレ補正の要望が非常に多い」(シャープ説明員)という。2010年冬モデルや2011年夏モデルで訴求していた「3D液晶」も、今回の新モデルには搭載していない。「3Dも訴求力はあったが、本体をもっと薄くしてほしいという声があった(3D液晶搭載の分、ディスプレイの厚みが増してしまう)ので、サイズとカメラスペックの方が、どうしても優先順位が高くなってしまう」(説明員)。カメラは「料理」のシーン自動認識の精度も向上させたほか、各種モードのカメラをワンタッチで起動できるウィジェットも新たに用意した。

 このほか、ディスプレイ面全体が音声通話のレシーバーとなる「ダイレクトウェーブレシーバー」(SH-02EとSHL21のみ対応)、プレイステーションのゲームを楽しめる「PlayStation Mobile」、カシオのG-SHOCKとも連携できるBluetooth 4.0、NFCやBluetooth経由で健康機器と連携する「SHヘルスケアインタフェース」も新たにサポートする。プリントサービスにも力を入れる。Wi-Fi対応のEPSON製プリンタで印刷ができる「ワイヤレスプリント」、ローソンとファミリーマートにてWi-Fi経由で印刷ができるコンビニプリントサービス「PrintSmash」も利用できる。

photophoto SH-02Eと203SHには光学式手ブレ補正対応の1630万画素カメラを搭載。起動は約0.4秒と速い(写真=左)。シーン認識はさらに精度が高まった。撮影モードのウィジェットも用意した(写真=右)
photophoto その他の新機能
photo スマートフォン、タブレット新機種の主な機能差

 「AQUOS PHONE、AQUOS PAD、IGZOの新しい技術でブランドの刷新を図っていきたい」と意気込みを話す河内氏。グローバルメーカーが日本の携帯市場でシェアを拡大しつつある中、シャープの技術力で王座を奪還できるか――。そのかじ取りが注目される。

photophotophoto ハイエンドスマホ3兄弟。左からSH-02E、SHL21、203SH
photophoto AQUOS PHONE si SH-01E(左)とPANTONE 6 200SH(右)
photophotophoto AQUOS PADは280グラムの軽さと、片手で握れることを訴求する
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