ソフトバンクモバイルは、下り通信速度で最大165Mbps(上りは最大10Mbps)に対応するモバイルWi-Fiルーター「Pocket WiFi 303ZT」と、法人向けの「Pocket WiFi 304ZT」を9月26日に発売すると発表した。
端末価格は4万2000円(税込、以下同)で24回払いの月々支払い額は1750円。ただし端末価格と同額(1750円×24回、最大4万2000円)の月月割額が適用になるため、2年以上使った場合は実質0円になる。料金プランは2年契約の「4G/LTEデータし放題フラット」(6156円)で、特別キャンペーンとしてさらに2705円の割引を実施。端末代込みの月額料金が3991円で利用できる(3年目以降は月額4196円になる)。
従来、国内で販売されているモバイルWi-Fiルーターとしては、ドコモのモバイルWi-Fiルータが対応する下り最大150Mbpsが最速となっていたが、今回ソフトバンクモバイルより発表された両機種はそれを上回り、スペック上は国内で最速の下り通信速度に対応する。その下り最大165Mbpsは、AXGPのキャリアアグリゲーション(CA)によって実現。AXGPは従来、20MHz幅の周波数帯を利用して下り最大110Mbpsの通信速度を利用可能となっており、これに加えて10MHz幅をキャリアアグリゲーションで束ねて合計30MHz幅で利用することで、下りの通信速度を最大165Mbpsに高速化する。下り最大165Mbpsの提供エリアは東名阪の一部エリアから順次導入され、順次拡大予定とされている。
新発売される303ZTと304ZTは、ソフトバンクモバイルのモバイルWi-Fiルーターとしては初めて、AXGPの他にFDD-LTE方式のSoftBank 4G LTEにも対応した。対応するFDD-LTEの周波数は2.1GHz/1.7GHz/900MHzの3つで、2015年以降に開始予定とされているFDD-LTE方式のキャリアアグリゲーションにも対応する。FDD-LTE方式でキャリアアグリゲーションが始まれば、下り通信速度は最大で187.5Mbpsになるという。
キャリアアグリゲーションに対応するモバイルWi-Fiルーターは国内で初となるほか、ソフトバンクモバイルのモバイルWi-Fiルーターとしては初めてFDD-LTE方式にも対応する端末であり、同社から発売されるモバイルWi-Fiルーターとしては久々の“大幅進化”と言えるスペックだ。
両機種のように、通信速度が高速化されることは大いに歓迎したいが、通信速度については従来通り「直近3日間で1Gバイト」を超えると規制の対象となる可能性が高い。この種の制限については、ソフトバンクモバイル以外の携帯電話会社も設けているが、“通信の混雑状態によって”制限を行っている。ソフトバンクモバイルの場合は直近3日間の通信量が1Gバイトを超えると一律で通信速度に制限をかけるため、他社と同水準の制限に緩和されることを願いたい。
なお、個人向けモデルの303ZTと、法人向けモデルである304ZTは基本的に同じスペックとなっているものの、対応する3Gの周波数帯が異なっている。303ZTではワイモバイルの提供する1.7GHz帯に対応しており、304ZTではソフトバンクモバイルの2.1GHz帯と900MHz帯に対応している。AXGPとFDD-LTEの対応周波数は同一だ。
NTTぷららは9月1日より、通信速度が上下最大3Mbpsで、通信容量が無制限という「定額無制限プラン」の提供を開始した。月額料金は2980円で初期費用として3240円が別途必要となる。
通信速度が上下最大3Mbpsに制限されているものの、エリアの広いドコモのXi&FOMA網を利用可能な定額無制限プランへのニーズは大きく、一時は申し込みからSIMカードの発送まで約1カ月が必要――という告知がWebサイト上に掲載されていた。
NTTぷららは定額無制限プランの受付開始後、SIMカードのみの新規受付を一時停止。しかしすぐにSIMカードのみの新規受付を再開し、最終的には定額無制限プラン以外も含めて全プランで一時受付停止に至った。ユーザーとしてこうした流動的な対応にはやや不安を感じる部分はあるものの、容量無制限のプランはWiMAX/WiMAX 2+以外では貴重な選択肢。同社の試みを今後も応援したい。
日本通信は、主に訪日外国人向けサービスとして「PAYG SIM」の提供を開始した。有効期間は7日間で、国内&国際通話が60分、データ通信が3Gバイトまで利用できる。価格は9980円で、ヨドバシカメラや日本通信のWebサイトで販売されている。
PAYG SIMの最大の特長は音声通話にも対応している点で、国内の訪日外国人向けプリペイドSIMカードで音声通話が可能なサービスはPAYG SIMが初。7日間で9980円と安価ではないが、国内&国際通話が60分間使えるのは、日本で音声通話を使いたい旅行者にとっては貴重なサービスと言える。
なお、同サービスは日本人であっても申し込みが可能で、海外に常駐している日本人の一時帰国中の通信手段としても使うこともできる。ただし、アクティベーションの際には、「日本国内への上陸許可日から90日以内の入国スタンプ」を画像で送信する必要があるため、出入国を自動化ゲートで行っている場合は、日本入国の際にスタンプをもらうことを忘れないように注意したい。
そのほか、既存のプリペイドSIMサービスの取扱いカ所も拡大している。ソネットが提供するプリペイドSIM「Prepaid LTE SIM」は、京都駅前の京都駅前市バス・地下鉄案内所およびコトチカ京都駅・地下鉄案内所のほか、羽田空港国際線ターミナルのテレコムスクエアのカウンターでの取扱いを新たに開始した。
このSIMカードは4月の販売開始以降、徐々に取扱い店舗を増加させており、9月16日時点では新千歳空港、成田空港、羽田空港、富山空港、富士山空港、関西国際空港の6空港にて販売されているほか、東京駅や京都駅などの主要なターミナル駅でも販売。取扱い店舗の多さでは他のプリペイドSIMカードよりも優位な状況にある。
プリペイドSIMカード以外では、ドコモが公衆無線LAN「docomo Wi-Fi」の訪日外国人向けサービス「docomo Wi-Fi for visitor」を開始した。2015年3月31日までの期間限定で、料金プランは1週間が972円、3週間で1404円。プリペイドSIMの新登場や販路の拡大に加えて、Wi-Fiサービスの拡大など、訪日外国人向けの通信サービスは2014年に入って急速に多様化している。
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