米国の電子書籍周辺事情を整理する(前編)Kindle、Sony Reader、iPad……(2/2 ページ)

» 2010年11月15日 15時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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そしてeBookリーダーは価格競争へ突入

2010年4月3日に販売がスタートしたiPad。Apple Store サンフランシスコ店での販売風景

 そして2010年4月、米国でいよいよiPadが発売されることになるが、Kindle優勢の市場を一気に塗り替えることは、今のところないようだ。iPadに用意された電子ブックリーダーアプリ「iBooks」と専用ストア「iBookstore」がKindle対抗ということになるが、品ぞろえはKindleのほうがまだ圧倒的に有利で、iPadの多目的汎用端末という性格に対し、専用端末という使いやすさの部分もメリットになっていると思われる。そしてKindleの地位を確固たるものとしているのが価格での優位性だ。

 6月になり、Barnes & Nobleは3G通信機能を取り除いた廉価版にあたる「nook Wi-Fi」を149ドルの価格で発表し、同時に既存の259ドルだった3G版も199ドルへと値下げした。これに対しAmazon.comはすぐに反応し、前世代にあたるKindle 2の価格を259ドルから189ドルへと緊急値下げしている。これが引き金となり、Kindleの販売台数は急激に伸び、1カ月を経ずに在庫切れとなる現象に見舞われた。このタイミングで現世代のKindle 3が発表され、この100ドル台の価格設定が電子書籍の専用端末の標準的なプライスラインとなっていく。この時期にKindleの販売台数が急激に増えたことから分かるように、普及における最大のポイントが価格であることが証明された形となる。

 コンテンツとそれを利用するための端末は「鶏と卵」の関係によく例えられるが、母数となる端末の台数が少なければコンテンツの販売も増えないわけで、利幅を削ってでも普及を優先するのはある意味で戦略の1つだ。一方でiPadは最も安いモデルで499ドルの設定のままであり、電子書籍という土俵で同等の勝負を行うにはまず価格がネックとなるだろう。これは今年末から続々と市場投入されるAndroidタブレットも同様で、400〜600ドルという価格は普及の大きなネックとなる可能性がある。iPadも現状のままでは価格設定で行き詰まる可能性があり、2011年初頭にも登場がウワサされる第2世代のiPadでは、このあたりで価格競争力をつけられるかがポイントの1つとなるだろう。

E InkのPearlを採用した「Kindle 3」(写真=左)。Wi-Fiモデルは139ドルに引き下げられた。Appleのブックストア「iBookstore」(写真=右)。

 今回は前編ということで、iPad登場前後におけるKindleを中心とした電子書籍市場の移り変わりについて簡単にまとめてみた。後編では電子書籍フォーマットにまつわる話や新しいタイプの電子書籍である「デジタル出版」、そして新技術や今後の展望について考察してみる。

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