海外プリペイドSIM+無線LANルータ導入マニュアル──「インド・デリー」編「150円ほどで、多分……OK」な海外定額データ通信(2/2 ページ)

» 2011年12月21日 15時00分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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Bridge Allianceの定額SIMカードを購入

photo Bridge AllianceのAsiaRoam Data SIM

 さて、プリペイドSIMカードやUSBモデムは空港や市内で購入できるが、手続きに10分から20分程度と少々時間がかかる。空港で時間がない場合や、ツアーや出張で移動が多く、店舗に立ち寄れない可能性があるなら、あらかじめインドで利用できるデータ通信用プリペイドSIMカードを購入しておく手段もある。今回はこちらも紹介したい。

 それが、Bridge Allianceが販売する「AsiaRaom Data SIM」だ。

 Bridge Allianceはアジア圏通信事業者約10社の連合(日本の通信事業者は参加していないが、NTTドコモが別の連合であるConexus Allianceに参加している)。BridgeのAsiaRoam Data SIMカードは以下の11カ国・地域の事業者で利用できるのが特徴だ。

  • オーストラリア(Optus)、香港(CSL)、インド(Airtel)、インドネシア(Telkomsel)、マカオ(CTM)、マレーシア(Maxis)、フィリピン(Globe)、シンガポール(SingTel)、韓国(SK Telecom)、台湾(Taiwan Mobile)、タイ(AIS)

 これらのうち、いくつかの国・地域では現地で購入した方が容易だったり、安価だったりするのでこれまで本連載で取り上げることもなかったのだが、今回のインドのように購入が少し面倒な場合はこのAsiaRoam Data SIMを選ぶのも確実で手軽な手段である。


photo AsiaRoam Data SIM購入ページ。画面中央右の「Buy Now」から購入できる。ユーザー登録を行ってから購入する

 AsiaRoam Data SIMは、日本にいたままBridge AllianceのWebサイト(https://www.bridgealliance.com/datasim.aspx)からユーザー登録を行い、クレジットカードを利用して通販で購入できる。

 購入(登録)に身分登録として必要なパスポートのコピーデータを送る必要がある以外は、さほど面倒ではない。登録が終われば登録完了のメールが送られてくる。待っても送られてこない場合は、そのまま待ち続けるより改めてコピーを再送信すると確実だ。SIMカードはシンガポールから書留で発送され、日本へは3〜5日程度で到着する。余裕を持って、出発日の最低1週間前までには注文を済ませておきたいところだ。

 料金は、1日データ定額プランが15USドル(約1170円)。2日目からの定額料金は12USドル(約940円)/日となる。有効期限(残高追加が可能な期間)は30日で、残高を追加することで180日まで延長される。残高の追加作業はスマートフォンからのコマンド操作だけで行える。

 AsiaRoam Data SIMが到着したら、SIMカードが正常に登録されているか確認しておこう。Bridge AllianceのWebサイト画面右上の「My Account」からログイン、「Bridge AsiaRoam」→「My SIM」と進み、SIMカードの電話番号が表示されれば登録が完了している。残念ながら登録が済んでいなかったら、身分証明書(パスポートのコピーデータ)を再度送信して登録を行ってもらう必要がある。


photophoto SIMカードが到着したら、Webページで登録状況を確認しておこう。電話番号が表示されれば登録済みである

AsiaRoam Data SIMをデリーで使う

 では、デリーでAsiaRoam Data SIMを使おう。SIMロックフリーのスマートフォンにセットすれば、Airtelの電波をつかむはずだ。うまく捕らえない場合は手動でネットワークを検索して設定する。

 次に利用開始登録を行う。スマートフォンから「*113#」に電話発信するだけ。しばらくして、開通したとの旨のSMSが届くはずだ。

AsiaRoam Data SIM/AirtelのAPN設定
APN bridge
ユーザー名 (なし)
パスワード (なし)

 今回はなぜかエラーで開通できず初回は舌打ちする結果となったが、しばらく時間をおいて試したら大丈夫だった。ま、こういうこともあるのでご愛嬌(あいきょう)だ。ちなみに、このSIMカードはタイの事業者の電話番号が割り振られている。つまり、インドで使う場合は国際ローミングとなるわけだ。スマートフォンのメニューで「データローミング」をオンにしておく必要があるので、1つ覚えておこう。

 APN設定は右記。テザリング機能をオンにすれば、ノートPCなどからインターネットへのアクセスも可能になる。


photophotophoto イー・モバイルのSIMロックフリースマートフォン「Sony Ericsson mini(S51SE)」を利用した。このほか、Pocket WiFi S(S31HW)などSIMロックフリーのスマートフォンでも同様に利用可能だ。SIMカードを入れ、「*113#」への通話で開通作業を行う。初回はこのようなエラーが出た(写真=中央)が、少し時間をおいて再び試したらようやく受付中と画面が表示され、開通のメッセージが到着した(写真=右)
photo デリーでもかなり快適に3GによるPCデータ通信が行えた

 利用中、利用可能時間が少なくなると「残り**時間」、というメッセージが届く。残高の追加は、スマートフォンから「*113*112#」と発信する。これだけで登録されているクレジットカードから12USドルが引かれ、自動的にプラス1日分の利用時間が登録される。

 今回筆者が試した際には、ちょうど夜中がBridge Allianceのメンテナンス時間だったようで、メンテナンスの終わる朝7時まで料金が追加されなかった(トホホ)。AsiaRoam Data SIMは1日単位の課金。翌日も使うのであれば、当日の早い時間のうちに明日分を追加しておくのが確実だ。

photophoto 残高の追加はスマートフォン操作で簡単に行える

現地での入手はひと手間かかるが、3G速度は意外なほど快適

photo  

 ちなみに、デリー空港の到着ロビーにあるAirtelのカウンターは、国際線の出口のすぐそばということもあるためか来訪客も多いようだ。スタッフも愛想がとてもよく、テキパキと処理してくれるのが好印象だった。

 さて、インドでのプリペイドSIMカードの購入は、証明写真が必要などひと手間はかかる。ただ、3G/HSDPA回線でのネットアクセスは意外なほど快適で、やはり、国内事業者の海外データローミングサービスを利用するよりリーズナブルに済ませられる。また、現地購入に多少の手間がかかるので、あらかじめBridgeのSIMを買っておく手段があるのもポイントにしてほしい。


photo

山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯コレクターとしても知られ、2008年は100台以上携帯電話を購入。所有する海外端末数はもうすぐ1000台(2011年9月時点)。



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