Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、右の画面の通りだ。グラフィックス/ゲーム用グラフィックスのサブスコアは、Intel GS45 Expressチップセット内蔵グラフィックスのため3.2と低いが、Windows 7を使う上で及第点以上のスコアはマークしているといえるだろう。
PC USERで定例的に行っているベンチマークテストのスコアもそれぞれグラフに掲載した。スペック的には目新しいものではないだけに、スコアもスペックなりという印象で、OSがWindows VistaからWindows 7に変わっても特にスコアに大きな変化は見られない。
PCMark05のスコアはAtom N280(1.66GHz)を搭載した一般的なNetbookの2倍弱といったところで、十分な基本性能を備えている。一方、チップセット内蔵グラフィックスだけに3D描画性能は低く、3DMark06では584と低いスコアしか出ていない。DirectX 8.1世代のゲームをベースにしたFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3でもHIGHで1615とやはり低いスコアで、オンラインベースのカジュアルゲームでも快適という水準ではないだろう。とはいえ、CULVノートPCと比較して遜色(そんしょく)はなく、モバイルPCとしての性能には満足できる。
バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏作)で行った。BBenchの設定は「60秒間隔で10サイトのWeb巡回」「10秒間隔でのキーストローク」、無線LANで常時接続し、電源プランは「バランス」(ディスプレイ輝度設定は50%)である。結果は387分(6時間27分)と、公称値の12時間には遠く及ばない結果となった(電源オプションの「バッテリ切れのレベル」が5%未満に設定できなかったので、バッテリー残量が5%の値)。CULVノートPCのFMV-BIBLO LOOX C/E50で同様の設定で5時間26分だったことを考えると、上位モデルの面目は保っており、評価機のバッテリー容量は10.8ボルト 5800ミリアンペアアワーで、スペックを考えればまずまず妥当な駆動時間でもあるといえる。
従来機は、長時間使用してもボディが熱くなりにくかったが、少しスリムになった本機もその点については優秀だ。室温24度の室内でPCMark05終了直後のボディ表面温度を放射温度計で測定したところ、手が触れる表面はキーボード左側の33度が最高と、ほとんど熱が伝わってこない。底面は一部が40度まで上昇したが、ヒザの上で使えないというほどではないだろう。
静音性も優秀な部類で、暗騒音32デシベルの環境で本体正面から5センチの距離で測定した騒音は、アイドル時で36デシベル、低負荷時で37デシベル、高負荷時の最高で40デシベルだった。ボディ左側面に搭載する冷却ファンは回転速度を負荷に応じて可変させるが、変化の度合いはマイルドで風切り音が不快に感じることはなかった。
店頭価格は、上位モデルのR/E70で約19万円前後、下位モデルでR/E50で15万円前後となっている。本機は、CULVノートPCの説明などでよく引き合いに出される「従来の高価なモバイルノート」にあたる製品である。約25万円(R/D70)、約22万円(R/D50)という高価な実売価格でスタートした前モデルに比べて大幅に低価格化されているとはいえ、CPU自体はCULVノートPCと同じだけに、基本スペックと価格のみで比較するとOffice Personal 2007 with PowerPoint 2007(SP2)をプリインストールしていることを考えても、どうしても割高に映る。しかし、本機を安価なCULVノートと同列に比較するのは無理というものだ。厚さ29.9ミリ/1.37キロのフルフラットボディで光学ドライブを内蔵し、公称12時間のバッテリー駆動時間、シビアな耐久試験をクリアする堅牢性も備えるという本機のスペックは、コストのかかる独自の研究開発を背景とした高度な技術力なくしては実現しえない。さらに、細部まで行き届いたデザイン、液晶やキーボードの品質の違いなど、全体にわたって差別化要素も備えている。
こういったワンランク上の携帯性、そして数字には表れない部分の要素に価値を見いだせるかどうかが選択のポイントとなるが、CULVノートPCの影響でこれだけの完成度を誇るモバイルノートがこのような価格で買えるようになったということは、大いに歓迎すべきことだろう。
最後に直販のWEB MARTならば、R/E50をベースにHDD容量を160Gバイトにし、標準バッテリーを軽量な内蔵バッテリパックに変更、Bluetoothや指紋センサー、オフィススイートを省いた最小構成で11万8800円から購入が可能だ。ほかにもストレージを256Gバイト/128GバイトのSSDに、液晶ディスプレイを非光沢タイプに変更できるなど魅力的なオプションメニューが用意されている。ハイエンドモバイルPCは高価だし……とあきらめたことがあるならば、まずは直販サイトを見てほしい。意外と手ごろな価格で、CULVノートPC以上の機能を備えたモバイルPCを入手することができる可能性がある。
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