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“派手さ”とは無縁な「ThinkPad X201」の奥深さを知る元麻布春男のWatchTower(2/2 ページ)

» 2010年03月30日 16時16分 公開
[元麻布春男(撮影:矢野渉),ITmedia]
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標準構成モデルにモバイルWiMAXを内蔵

 さて、今回試したのは、トップセラーモデルのThinkPad X201 332375Jで、OSに32ビット版Windows 7 Professionalをプリインストールしたシステムだ。CPUは3Mバイトの3次キャッシュを内蔵するCore i5-540Mで、動作クロックは定格2.53GHz、Intel Turbo Boost Technology時で最大3.06GHzとなっている。パフォーマンスの優れた通常電圧版のCPUを搭載する点も従来通りというところだ。HDDは320Gバイト(5400rpm)、メモリは2GバイトのPC3-8500(DDR3-1066)DIMMを1枚インストール済みで、もう1枚のDIMMを空きスロットに増設することができる。無線LANモジュールは、WiMAXにも対応したCentrino Advanced-N + WiMAX 6250で、店頭販売もされる標準構成にWiMAXが採用されるのは、まだ珍しいのではないかと思う。

 実物を手にとっても、ThinkPad X200との差はすぐには分からない。ボディサイズも295(幅)×210(奥行き)×20.7〜35.3(厚さ)ミリと同じだ。なくなったLenovoロゴも、それほど目立つものではなかったし、パッと見てUSBポートの色が違うことに気が付くユーザーも多くないだろう。トップセラーモデルのキーボードがウルトラナビでないことも、違いを分かりにくくしている。内蔵の指紋リーダーは、X200のAuthen Tec製からUPEK製に置き換えられているが、これも地味な違いだ。

 重量も、実測値で本体が1180グラム、4セルバッテリーが198グラムで、X200比でわずかに軽くなっているものの、手に持って分かる違いではない(メーカー公称値は約1.41キロ)。液晶ディスプレイがLEDバックライト化されたことで、もう少し軽量化が図られるのではないかと思ったのだが、それほど大きな違いにはなっていない。

HDDベイや2基のメモリスロットは側面や底面から簡単にアクセスできる(画面=左)。標準4セルのバッテリーは容量が14.4ボルト 29ワットアワーで、BTOでは6セルや9セルタイプも選べる。65ワットのACアダプタは、サイズが43(幅)×105(奥行き)×29(厚さ)ミリで、電源ケーブル込みの重量は約300グラムある(写真=右)

※記事初出時、指紋リーダーの表記で誤りがありました。おわびして訂正させていただきます。

新CPUとチップセットの採用により性能は大幅に向上

 逆に大きな違いが現れるのは、中身の違いが差に出る部分、つまりは性能だ。簡単なベンチマークテストを実行してみたが、以前取り上げたThinkPad X200に比べて、大幅な性能向上が見られる。CPUで3〜5割の向上が見られるほか、HDD性能も大きく改善している。X200に対し、1世代新しいドライブを搭載していることが効いているようだ。

 PCMark VantageのTV and Moviesが大幅に伸びている一因は、X200のOSがWindows Media Centerを持たないWindows Vista Businessであったことが影響しているが、逆にPCMark(トータル)やCommunicationsのスコアが伸びているのは、Core i5が搭載するAES-NIのおかげだろう。米国政府が定めた標準的な暗号技術であるAESは、今後ビジネスの場で広範に使われるようになると考えられるから、そのアクセラレーションを行うAES-NIも重宝することになると思われる。

 残念ながら、今回のテストではCPUに統合されたグラフィックスの性能向上ぶりについては、あまり判然としないが、少なくとも悪くなっていないことは確実だ。また、ベンチマークには現れないが、Core i5が内蔵するグラフィックスコア(Intel HD Graphics)は、新たにマルチストリーム再生を行うBlu-ray Discに対応したとされる。これは1つのタイトル中で、ピクチャー・イン・ピクチャーのような形で複数のストリームを再生するもので、前世代のIntel GM45/GS45では対応できないことをインテルが認めている。筆者の手元にはこれを検証可能なタイトルがなかったため、確認することはできなかったが、タイトルとの互換性が改善するのだから悪いわけがない。

PCMark Vantage(1024×768ドット)のテスト結果
PCMark05のテスト結果
CrystalMark 2004R3のテスト結果

 ThinkPad X201は、従来のThinkPad X200とほぼ同じボディに、最新のプラットフォーム/テクノロジーを詰め込んだ、いわば古い革袋に新しい酒といった趣のPCだ。本機のターゲットであるビジネス市場を考えた時、メモリや周辺機器との互換性が1世代でなくなるなどあり得ない。それを考えれば、当然の選択であるとはいえるだろう。

 価格も、最小構成ならば直販サイトで10万円前後から購入可能となっており、ビジネスモバイルとしては比較的安価な部類に入る。CULV機では得られない高い性能、1.5キロを切る重量、そして価格の3要素がバランスのとれたシステムとなっている。本来のターゲットである企業ユーザーはもちろん、エンターテインメント性を重視しない個人ユーザーにもお勧めしたい1台だ。

「ThinkPad X201」をLenovoショッピングサイトで購入する
CPUにCore iファミリーを搭載してリニューアルされた「ThinkPad X201」。最小構成ならば直販サイトで10万円前後から購入可能だ。


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