タイトル:うける記事を書くコツ
うける記事を書くコツっていろいろあると思うんだけど、まずアクセスを増やさないと受ける記事を書いてもしようがない。それには記事タイトルで惹きつけないとダメだよね。で、タイトルのコツなんだけど……(中略)
ただタイトルでアクセスが増えても、中身がしょぼいんじゃ二度と来るかってことになっちゃうよね。うける記事でないとダメだ。でも、お笑い芸人でもないんだし、うけるっていっても笑いを取りにいっちゃいけない。みんなだいたいそれで失敗する。
じゃあ、どんな内容がいいかというと、例えば「専門家のここでしか聞けない話」なんていうのが一番いい。(中略)
でも俺には専門性なんてって人も多いよね? そういう人にもできる「うける記事」の書き方があるんだ。
それは自分自身をさらけ出すこと。
失敗談なんかが最高! ただし、重たいのは引かれちゃう。
重たいかどうかは内容じゃないんだ。自殺寸前まで言ったとしても、何億円もの借金を抱えていてもいい。というかそのぐらいのインパクトがあるほうがいい。でも、そのまま書くと重たいでしょ?
じゃあ、どうするか?
笑い話にするんです。自分のことなんだけど自分のことでなく、バカな他人を笑い飛ばすように書く。こうすれば、重たくなくなるんだ。
専門的に言うと、「自分と距離を置く」って言うんだけど(後略)
そうか。「自分と距離を置く」か。自分を笑い飛ばせばいいんだな。それなら俺にもできそう。というか、俺にこそふさわしい気がする。
こう開き直ったとたん、事業に失敗した話などはもちろん、学生時代や会社員時代の失敗談をどんどん思い出した。それを週数回のペースで書いていったら、どんどんコメントが付くようになったんだ。
三田さんからの依頼も実行した。これはと思うようなブロガーの記事にはコメントしていった。すると相手もコメントを返してくれるようになった。よく見ていたら、イベントをやっているブロガーがたくさんいた。中には無料のものもあったので、そういうのには積極的に出かけていった。
すると名刺がたまりだした。俺は「悪習慣改善コンサルタント」と名乗った名刺を持ち歩いていたが、他にそんな人はいなかったので、けっこう相手のほうから話題にしてくれた。こうして人脈がどんどん広がっていくようになったときに、俺はあの人と出会ったんだ。
ある交流会だった。自己紹介があった。俺は最近定番にしている自己紹介をやった。「悪習慣改善コンサルタントの金田貴男と申します。悪習慣改善の手法を広めるために毎週セミナーをやっています。セミナーと言っても変な壺を買わされるようなやつではありません。よろしくお願いいたします」
「変な壺」というギャグはベタベタなんだけど、結構うけるんだ。この日も爆笑とまではいかないけれど十分な笑いが取れたようだった。
俺から3人ぐらいあとだったか、ちょっともっさりした感じの人が自己紹介を始めた。
「井戸敏夫と申します。Webマーケのコンサルやってます。最近はネットで教材を売る方法なんかも教えています。えー、僕の自慢ですが、それは運の強いことです。窓ガラスを拭くバイトをしていたときに9階から落ちたんです。当時バイトで忙しくて、ロクに寝てなかったせいで、命綱をしっかり締めてなかったんです。死ぬ前に走馬燈のように人生を思い出すって言うでしょう? あれ、本当です。ところが、下にワゴン車が停まっていて、その屋根の上にきれいにおちた。車の屋根っていいクッションになるんですね。おかげでちょっとした打撲ぐらいですみました。でも、真似をしないでくださいね」
驚きの声と爆笑が入り交じり、その後盛大な拍手となった。俺はとにかく運のいい人がいるんだなあと、ものすごく印象に残った。この井戸さんと話をしたいと思ったが、けっこう有名人らしく人が途切れない。俺は、ちらちらと様子を伺いつつ、他の人と話をしていた。
出版した本を名刺に刷り込んでいる人がいたので、自分も今度本を出す予定で執筆中だと話した。しばらくお互いの本の内容の話で盛り上がったが、そろそろ潮時だと思った頃、彼はこう言ったんだ。
「ところで、出版記念講演は、いつどこでやるんですか? 僕も招待してくださいよ」
「えっ?」
「処女作でしょ? 普通やるんですよ。僕のときは150人ぐらいだったかなあ」
「いや、そんな金ないですし」
「いや、もちろん有料ですよ。だって著者へのお祝いですから」
「有料の記念講演に自分で招待するんですか?」
「そうですね。自分で招待するのに抵抗があれば友人に名前だけ借りて発起人になってもらってもいい。大作家とか超有名コンサルなら出版社がやってくれるんでしょうけど、我々無名の人間はそんなものですよ。でも、そこで集めた人が、今後も応援してくれるんです。そう思えば、多少持ち出しでも安いもんですよ」
ふーん、そんなもんなのか。「いいことを教えてくれてありがとう」とお礼を言い、彼とはそこで別れた。その後、お目当ての井戸さんを探したが、いなかった。もう帰ったのだろう。たぶんネットで検索すればサイトが分かるだろう。連絡はそこからすればいい。
それよりも150人入る会場を押さえておかないと。
著者・森川滋之が、あの「吉田和人」のモデルである吉見範一氏と新規開拓営業の決定版と言える営業法を開発しました。3時間で打ち手が分かるYM式クロスSWOT分析と、3週間で手応えがある自分軸マーケティングと、3カ月で成果の出る集客ノウハウをまとめた連続メール講座(無料)をまずお読みください。確信を持って行動し始めたい方のためのセミナーはこちらです。
ITブレークスルー代表取締役。1987年から2004年まで、大手システムインテグレーターにてSE、SEマネージャーを経験。20以上のプロジェクトのプロジェクトリーダー、マネージャーを歴任。最後の1年半は営業企画部でマーケティングや社内SFAの導入を経験。2004年転職し、PMツールの専門会社で営業を経験。2005年独立し、複数のユーザー企業でのITコンサルタントを歴任する。
奇跡の無名人シリーズ「震えるひざを押さえつけ」「大口兄弟の伝説」の主人公のモデルである吉見範一氏と知り合ってからは、「多くの会社に虐げられている営業マンを救いたい」という彼のミッションに共鳴し、彼のセミナーのプロデュースも手がけるようになる。
現在は、セミナーと執筆を主な仕事とし、すべてのビジネスパーソンが肩肘張らずに生きていける精神的に幸福な世の中の実現に貢献することを目指している。
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