HTC製の「HTC J ISW13HT」は、HTCが初めて日本市場に特化して開発したau向けのモデルだ。HTC Jの「J」は「Japan」を意味する。HTCはこれまでau向けに「HTC EVO WiMAX ISW11HT」「HTC EVO 3D ISW12HT」を投入していたが、いずれも海外で発売されたモデル“ほぼそのまま”で、日本向けのカスタマイズは乏しかった。今回はおサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信といった機能を搭載したほか、デザインや形状も日本のユーザーがなじみやすいものに作り込んだ。発売は5月下旬以降の予定。価格については、「毎月割」適用後の実質負担額が新規で2万円台半ば、機種変更で2万円台後半となる見込み。
HTC Jのベースモデルは海外で発売されている「HTC One S」。Mobile World Congress 2012のHTC Oneシリーズ発表時に明かされた供給先に日本の事業者が含まれていなかったが、そもそも異なる製品だったのでMWCでは伏せられていた。HTC One Sよりもスペックの高い「HTC One X」も発表されているが、なぜSがベースとなったのか。HTC Nippon関係者によると、Sの方がXよりも発売が早く、カスタマイズしやすかったという。またHTC One Xはディスプレイが4.7インチと大きく(SとJは4.3インチ)、KDDIとHTCがHTC Jのターゲット(の1つ)としている、フィーチャーフォンからの乗り換えユーザーには訴求しにくいとも考えたようだ。XとSの違いはCPUのコア数(Xはクアッドコア、Sはデュアルコア)や(先述した)ディスプレインのサイズと解像度(XはHD、SはQHD)程度で、後述するカメラや音楽機能、Sense 4.0などのUIは共通だ。HTC Jでは過度なスペックを追求するよりも、機能とサイズのバランスを重視したといえる。
では、HTC One SとHTC Jは何が違うのだろうか。HTC One Sには特殊な表面処理によるセラミック加工を施しているが、HTC Jのボディにはプラスチックを用いている。HTC One Sをはじめ、HTC端末のボディには金属を用いて高級感を演出しているものが多いが、重くなりがちなので、HTC Jではあえてプラスチックを採用した。ただ、HTC One Sの約119.5グラムに対して、HTC Jは約142グラムで20グラム以上重い。ワンセグチューナーやFeliCaチップの影響などもあるだろうが、もう少し軽量化してほしかったというのが正直なところだ。ちなみにワンセグアンテナは内蔵しておらず、同梱やその他のイヤフォンを挿すことでアンテナとして機能する。
ブラックはマット、ホワイトとレッドは光沢のある塗装がなされている。レッドは金の上に赤色を塗り、ラメも入れて深みのある仕上がりになっている。カラーバリエーションは3色とも日本独自のものだ。HTC Jのデザインは小牟田啓博氏が監修しており、同氏が台湾のHTC本社を訪ねるなど密にコミュニケーションを図ってきたようだ。裏面のラウンド形状はもちろん、表面はディスプレイ上のガラス4隅に丸みを持たせているユニークな形状となっている。表面にauやHTCのロゴが置かれていないこともauスマートフォンとしては珍しい。htcロゴは背面、auロゴは左側面に小さく入っている。防水機能を備えていないのが残念だが、「(防水については)検討はしたが、それほど必要だとは感じていない」とHTC Nipponの説明員は話していた。また防水対応となると「デザインも変えないといけない」(同)ため、発売スケジュールの問題もあったのだろう。ディスプレイ下部には左から戻る/ホーム/タスクキーを装備。MENUや検索キーはなくなり、アプリなどのサブメニューは画面右上のメニューボタンから呼び出す。
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