しがみついてやる518日間のはい上がり(3/3 ページ)

» 2010年10月22日 08時30分 公開
[森川滋之,Business Media 誠]
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 電卓に出てきた数字は「40500000」! 俺一応会計事務所にいたから数字は得意なんだよね。一目で分かった。4000とんで50万円! 借金を完済した上に、まだ2500万円以上も残る! 運が向いてきた? もしかして!?

 いかんいかん。また調子に乗るところだった。

 とはいえマーケットサイズはかなり小さめに見積もっているし、価格もリーズナブルだ。仮に話半分だとしても、借金を返すぐらいは稼げるんじゃないか?

 うん。そうそう。目標をそこに置こう。借金を完済しよう。となると、1500万円÷7500円=2000部。おお! その程度売れればいいのか。いけそうじゃん。

 いやいやいやいや、待て待て待て待て。経費を計算しないと。

 7500円も取るからには、一応ちゃんとした冊子でないとダメだろう。そこでA4で50ページの冊子はいくらかかるかを調べてみた。数千部刷れば、安いところで1冊200円ぐらいでできるようだ。2000部で40万円。送料はメール便で1冊80円。2000部で16万円。合わせて56万円。まず、これをどうするかだよ。人件費は2000部程度なら自分ひとりでやれるからかからない。

 となると最初は100部だけ刷っておいて、あとは注文が来てからだろうな。100部だと安いところで5万円ぐらいか。これなら、なんとかなる。

 誰がどう見ても、取らぬたぬきの皮算用だろうな。でも、考えているうちに楽しくなってきた。会社を作ったときには、まず資金ありきで考えたけど、なければないでいろいろと知恵が出てくる。あのときも先に知恵を出すべきだったな。そうすれば、こんな借金もなかったかもな。

 後悔はやめよう。前を向いていこう。禁煙の成功で、ちょっと前向きになったかな、俺。

 とにかく時間だけは有り余っている俺だ。一通り皮算用が終わるとすぐに禁煙のための教材作りをはじめた。ベースは竹下に書いてあげた10枚のリポート。これを誰にでも理解し、実行できる形に書き直して、50ページ以上にするんだ。

 禁煙までの手順を細かく細かく思い出し、書き出してみた。俺があたりまえと思うようなことでも読者はそうでないかもしれない。実際、マニュアルなんかそんなのが多い。書いてるやつが当然だと思って省略していることを、ユーザーがそれを知らないがために分かりづらいということがママある。

 これなら、誰にでも絶対にできると思うところまで詳細化するのは、かなり頭を使う作業だった。それでも俺はがんばった。1日数時間しか寝れない日が続いた。

 俺は、焦っていたんだ。

 だって、俺が考えつくようなことだもん。誰か気づいてるに違いない。俺のよりももっと画期的な禁煙方法を編み出したやつもいるかもしれない。

 そう考えると、1日でも早く完成させないといけない。世間がタバコの値上げで騒ぎ出したら、もうアウトだ。類似教材も出回り、何がいいかなんて判断つかなくなるだろう。

 早いもの勝ちなんだ。寝てなんかいられるか!

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 著者・森川滋之が、あの「吉田和人」のモデルである吉見範一氏と新規開拓営業の決定版と言える営業法を開発しました。3時間で打ち手が分かるYM式クロスSWOT分析と、3週間で手応えがある自分軸マーケティングと、3カ月で成果の出る集客ノウハウをまとめた連続メール講座(無料)をまずお読みください。確信を持って行動し始めたい方のためのセミナーはこちらです。

著者紹介 森川滋之(もりかわ・しげゆき)

 ITブレークスルー代表取締役。1987年から2004年まで、大手システムインテグレーターにてSE、SEマネージャーを経験。20以上のプロジェクトのプロジェクトリーダー、マネージャーを歴任。最後の1年半は営業企画部でマーケティングや社内SFAの導入を経験。2004年転職し、PMツールの専門会社で営業を経験。2005年独立し、複数のユーザー企業でのITコンサルタントを歴任する。

 奇跡の無名人シリーズ「震えるひざを押さえつけ」「大口兄弟の伝説」の主人公のモデルである吉見範一氏と知り合ってからは、「多くの会社に虐げられている営業マンを救いたい」という彼のミッションに共鳴し、彼のセミナーのプロデュースも手がけるようになる。

 現在は、セミナーと執筆を主な仕事とし、すべてのビジネスパーソンが肩肘張らずに生きていける精神的に幸福な世の中の実現に貢献することを目指している。


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