“Made in Japan”で生まれ変わったNetbook「FMV-BIBLO LOOX M」をめでるこの丸みがたまらない(2/3 ページ)

» 2010年03月16日 17時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

データ交換に便利な「USBメモリ機能」を搭載

付属のUSBケーブルとほかのPCを接続する「USBメモリ機能」が新モデルで追加された

 端子類では、左側面手前側に用意されたUSBクライアントポート(USBミニBコネクタ)が目新しい。USBケーブル(標準で付属)を使って別のPCに直接接続し、簡単にデータのやりとりができるようになっている。

 この機能を、富士通では「USBメモリ機能」と呼んでいるが、本機のHDD全体がほかのPCから見えるわけではなく、HDD内に作成された仮想ドライブ内部だけが見えるようになっている。使い方は簡単で、ほかのPCに接続すると「USBクライアント機能」のメニュー画面が立ち上がるので、「USBメモリ機能(またはDVDドライブ共有機能とUSBメモリ機能)」を選べばよい。すると接続したPCではUSBメモリを差したときのようにリムーバブルディスクが加わり、自動再生メニューが表示される。ドラッグ&ドロップでのファイルコピーなど、ほかのPCからはUSBメモリと同じように扱える。仮想USBドライブの容量はデフォルトで約4Gバイトだが、ユーザーが任意に指定することも可能だ。メインとなるPCが別にあってNetbookを併用する場合に、ネットワークのない環境でもUSBケーブル1本で簡単かつ手軽にデータ交換ができる点は魅力だろう。

LOOX Mのマイコンピュータ画面。「USBメモリ機能」の仮想USBメモリがリムーバブルディスクとして表示されている
付属のUSBケーブルでほかのPCに接続すると、LOOX M側で「USBクライアント機能」のメニューが立ち上がる
メニュー画面で「USBメモリ機能」を選ぶと、接続したPC側に仮想USBメモリが見える。普通のUSBメモリと同じように扱え、ファイルコピーなどもドラッグ&ドロップで行える

接続したPCから仮想USBメモリに対して、ベンチマークテストを実施した。高速タイプのUSBメモリと比較すると半分程度だろうか
USBメモリ機能のユーティリティーはタスクバーに常駐しており、仮想USBメモリへの書き込み中は、このようにタスクバーに通知が表示される
USBメモリ機能のユーティリティー画面から、仮想USBメモリの容量変更などができる

 従来機同様、「DVDドライブ共有機能」も備える。ネットワーク上にあるPCの光学ドライブを比較的簡単に共有して利用できるが、場合によってはコンピュータ名やIPアドレスの入力など多少のネットワークに関する知識は必要になる。前述の「USBメモリ機能」をサポートしたことにより、共有機能に使うための専用ソフトのインストールを(別途USBメモリなどを利用せずに)USBケーブル経由で行うことができるようになって手軽さが増した印象だ。

 なお、これらの機能がサポートしているPCとしては、Windows XP以降のOSを搭載したFMVシリーズに限られている。もっとも、試用した限りでは他社のPCでも問題なく使え、FMVシリーズでなければ利用できないプロテクトがかけられているわけではないようだ。FMVに限定しているのは、動作検証の手間やサポート上の理由からだと思われる。

 そのほかの端子類はNetbookとしては標準的で、3基のUSB 2.0やアナログRGB出力、サウンド端子、液晶ベゼル上部には有効130万画素のWebカメラとアナログマイク(モノラル)などを備える。ただ、メモリーカードスロットはSDHC対応SDメモリーカードのみ対応となり、これまで対応していたメモリースティックへの対応は省かれた。

従来モデル同様、ネットワーク上にあるPCの光学ドライブを比較的簡単に共有して利用できる「DVDドライブ共有機能」も備えている(画面=左)。ホスト用のプログラムをUSBメモリ機能を使ってインストールできるが、あくまでもネットワーク経由の共有機能であり、ネットワーク環境がないところでUSB経由での光学ドライブ共有ができるようになったわけではない(画面=右)

画面解像度が1366×768ドットにワンランクアップ

10.1型ワイド光沢液晶ディスプレイはそのままに、解像度がアップした。明るさは12段階に切り替えられる

 本機に採用されているOSは、Windows 7 Starterだ。これはマイクロソフトが定めるハードウェアスペック条件を満たした低価格PC(要するにあまり性能や機能が高くないPC)のみに提供される機能限定版のエディションである。コンシューマー機では一般的なWindows 7 Home Premiumと比べると、Aero Glass(半透明表示)、DVD-Videoの再生、マルチモニタの対応(ミラー表示は可能)、Windows Media Centerなどの機能が省かれている。デスクトップの壁紙変更やAero Peak/Shake、フリップ3Dなども利用できないので注意が必要だ。

 液晶ディスプレイのサイズは10.1型ワイドで、画面解像度は1366×768ドットと、従来機の1024×600ドットに比べて約1.7倍の情報量があり、Webブラウズなども快適に行える。Windows 7では、標準状態でタスクバーやアイコンサイズなどが大型になっているため、使用感は格段に向上している。

 LEDバックライトを採用した光沢仕上げの液晶ディスプレイは映り込みが目立つが、明るくシャープな表示が好印象だ。ややあっさり目の発色で上下方向の視野角は狭いが、ヒンジの角度は160度近くまで開くので、ヒザの上など低い位置で使う場合にも見やすい角度に調整できる。125度程度までしか開かなかった前モデルに比べて、この点でも改善が見られる。

1基のメモリスロットやHDDベイには底面からアクセスできる(写真=左)。付属のACアダプタはFMV-BIBLO LOOX Uと同じ(FMV-AC326)で、サイズが38(幅)×87(奥行き)×28(厚さ)ミリ、ケーブル込みの重量が約200グラムと持ち運びやすい(写真=右)。標準バッテリーの容量は10.8ボルト 2800mAhで、公称の駆動時間は約5時間だ

Webブラウズを快適にするスクロールパッドを新たに装備

キーピッチ17.5ミリ、キーストローク1.9ミリの日本語86キーボードを新たに搭載した。円形のスクロールパッドの採用も目新しい

 キーボードは、主要キーの横ピッチが約17.5ミリ、キーストロークが約1.9ミリで、従来機のキーピッチが約17.2ミリ、キーストロークが約1.5ミリと比べて、少し余裕をもって入力できるようになった。縦方向のピッチも実測で約16.5ミリあり、窮屈な印象はない。左右の端で多少細いキーがあるものの配列は素直で、主要キーと同じ大きさを確保したカーソルキーも打ちやすい。ユニットのたわみも、キーを強く押し込めば少し感じる程度だ。キートップにも指が置きやすいカーブが付けられ感触も悪くないが、パームレストの奥行きは最大でも50ミリ弱とあまり広くない。

 ポインティングデバイスは、2ボタン式タッチパッドに加えて直径25ミリの円形スクロールパッドを装備している。タッチパッドはシナプティクス製ドライバが導入されており、パッドの右辺/下辺を利用した上下/左右スクロールが標準で有効になっているほか、ユーティリティーで設定することで、つまみズームや回転、2本指ではじくなど、おなじみのマルチタッチジェスチャー機能も利用可能だ。ただ、新設のスクロールパッドがある影響でパッドのサイズが45(横)×32(縦)ミリと小さく、ジェスチャー機能の使い勝手はいまひとつだ。逆に左右のクリックボタンは小型ながら独立しており、スイッチの高さも適度で押しやすい。

 上位モデルのFMV-BIBLO MGにも追加された円形のスクロールパッドは中央がややくぼんでおり、時計回りに円を描くようになぞると画面が下方向にスクロールし、反時計回りになぞると上方向にスクロールする(設定で左右方向に切り替えられる)。こちらにもシナプティクス製のドライバが導入済みで、スクロールパッドのタッピングに機能を割り当てることも可能だ。

 タッチパッドのみでの操作に慣れていると、最初はタッチパッドとスクロールパッドの移動がややもどかしく感じるかもしれない。例えば、スクロール操作をしたあとでカーソルを動かすつもりでそのままスクロールパッド上で指を動かしてしまうような場面があった。しかし、広いタッチパッドを用意するのが難しいNetbookの制約の中では、スクロールのしやすさという点ではかなりよいレベルにあり、慣れたあとでは非常に快適に操作できた。また、タッチパッドと別に用意されている分かりやすさも評価できるだろう。

小型タッチパッドの操作性を補うべく、直径25ミリのスクロールパッドを備えている
タッチパッドにはシナプティクス製ドライバが導入され、マルチタッチジェスチャーに対応する
スクロールパッドのドライバもシナプティクス製だ。スクロール機能が標準で有効になっており、タッピングに機能を割り当てることもできる

 次のページでは、ベンチマークテストで本機の実力をチェックしよう。

富士通パソコンFMVの直販サイト富士通 WEB MART

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