今回はまず、6月3日にサービスの提供を開始した、ケイ・オプティコムの「mineo(マイネオ)」を紹介する。多くのMVNOはドコモのネットワークを借りてサービスを提供しているが、ケイ・オプティコムは、KDDIのLTEネットワークを借り受けてサービスを提供する初のMVNOとなる。
mineoでは、データ通信専用で月額980円(税別、以下同)の「シングルタイプ」と、音声通話に対応する月額1590円の「デュアルタイプ」の2つのサービスを用意。端末セットの場合は、それぞれ毎月2000円が追加される。セット端末は京セラの「DIGNO M KYL22」で、端末代の総額は4万8000円だ。
5月15日に予約受付、6月3日にサービスを開始した。6月2日までの先行予約期間中に予約すると、「シングルタイプ1GBコース」の月額基本料金に相当する980円を、最大で6カ月割引するキャンペーンを行い、サービス開始前に申込件数が1万5000件を突破するなど好調だ。
サービスの利用開始に必要となるクレジットカード登録がうまくいかない障害が発生するなどのトラブルもあったが、ケイ・オプティコムによると、同社が拠点とする関西エリア以外からも多くの申し込みがあったという。ほかのMVNOの多くがドコモのネットワークを借りている中で、mineoがユーザにどう評価されていくのかは興味深いところだ。
mineoがサービス開始当初から音声通話対応プランを提供しているように、従来はデータ通信向けがメインとなっていたMVNOからも、音声通話対応プランが続々と登場している。
ハイホーは5月12日に音声通話対応SIMカードの申込受付を開始。音声通話対応サービスは、データ通信専用サービスに加えて、SIMカード1枚あたり1000円の料金が追加で発生するため、最安プランの「hi-ho LTE typeDミニマムスタート」では月額1933円(税別、以下同)となる。また、So-netもデータ通信専用であった「So-net モバイル LTE」に音声通話に対応するプランを追加。月額料金が最も安い「+Talk S2」では月額通信料が1890円となる。
音声通話に対応するMVNOも増えているが、音声サービスの料金やサービス内容はあまり差異がなく、各社似たり寄ったりという状況なので、今後はサービスの差別化に期待したい。
一方で、MVNO利用によるデメリットについてもしっかりと認識しておく必要がある。ドコモは、Apple製のタブレット「iPad Air」と「iPad mini with Retinaディスプレイ」を6月10日に発売する。このドコモ版iPadの取扱い発表後に配信した「キャリアップデート」(ドコモ 16.2)を適用すると、過去に発売されたiPadを含めて、MVNOのSIMカード利用時にテザリングが利用できなくなる仕様に変更された。
この仕様変更は、ドコモが発売するiPadのテザリングをドコモが提供するISPサービスの契約時にのみ利用可能とすることが目的だと思われる。しかし事前のアナウンスもなく、これまでSIMフリー版iPadをMVNOのSIMカードで使っていた人にとっては、痛い変更となった。
キャリアアップデートの適用後も、LTEを含むインターネット通信は利用できるが、MVNOのSIMカードにおける「テザリング問題」は、通信事業者(ドコモなど)が販売する端末を利用する場合と異なり、MVNOのSIMカードでは一部機能が利用できなくなるリスクがあることを覚えておきたい。
ドコモやKDDIなどの大手通信事業者だけでなく、MVNOでもポストペイド(月額式)タイプのデータ通信サービスが大半となる中で「使い切り」タイプのプリペイドSIMカードがジェネットから発売される。販売価格は3980円(税込)。
ジェネットが発売する「88MOBILE PREPAID Data SIM 30d」は、ドコモのLTE/3Gネットワークに対応し、サービスを利用できる期間は利用開始から30日間、継続利用は不可の「使い切り」仕様となる。通信量は1日あたり100Mバイトまでに設定されているが、通信量が100Mバイトを超えても128Kbpsで通信を継続できるのは、特に外国人旅行客など通信手段の確保が難しいユーザ向けにはうれしい仕様といえるだろう。
申込Webサイトが8カ国語に対応するなど、訪日外国人向けの販売に力を入れたサービスだが、So-netの「Prepaid LTE SIM」が関西国際空港に設置するような自動販売機での販売は行わない。サービス内容が魅力的なだけに、取扱い店舗が広がれば、訪日外国人や、日本人が一時的に帰国する際の通信手段として人気のサービスになるかもしれない。
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